
interview
<事例紹介:株式会社Gerald クルーガー・トビアス様>
株式会社Geraldが新規事業立ち上げフェーズに
インバウンドマーケティング支援を活用した経緯とその成果

新たな市場に進出し、拡大を図ろうとする事業において、十分なマーケティング・セールスのリソースや知見を保有出来ているケースは多くありません。
未経験のマーケットで、自社のサービスラインナップを見直しながら、新しい顧客を獲得していくためには、多くの課題を乗り越えていく必要があります。
インサイドセールスを実際に行うために、自社、顧客、競合を分析した上でマーケティング戦略の策定が必須となります。
株式会社Geraldがオフショア開発事業をメインに日本市場に進出し、事業成長を図っていくために、マーケティング・セールスをゼロベースで構築していく必要がありました。
今回は株式会社Geraldの代表クルーガーさんに、プロセルトラクションの代表である長谷川が話を伺いました。
1.事業内容
- 長谷川:
- 本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。まずは簡単に事業内容を教えて頂けますでしょうか?
- クルーガー:
- はい。株式会社Geraldでは、システム設計・開発からセキュリティ、マネージメントサービス、ITコンサルティングサービスを提供し企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。
ドイツ、日本、アメリカ、インドに拠点を持ち、最先端の技術情報を常にアップデートし高い技術力を強みとしております。
今回、インドに独自のネットワークを持っていることを活かし、オフショア開発の事業を展開し始めました。
オフショア開発とは、ソフトウェア開発やシステム開発などの業務を海外の会社に委任・発注する 開発手法です。近年のIT需要の高まりから、IT人材の人件費高騰や開発の複雑化により高騰しているコストを削減するためにニーズが高まっており、当社でもサービス提供を始めました。
- 長谷川:
- ありがとうございます。当社にご相談いただいたのは、2020年9月頃でしたが、当時事業はどのような段階だったのでしょうか。
- クルーガー:
- 当社は元々アメリカやドイツなどの拠点で事業をしていて、アメリカのクライアントの日本法人との仕事を弊社の日本拠点で行っていました。
既存クライアント向けの仕事のみを手掛けていたところから、日本での新規クライアントを開拓していきたいと考えていました。その際にB to Bマーケティングやリード獲得、アウトバウンドでのセールス経験が少なかったので、相談先の会社を探していたんです。
- 長谷川:
- その時に手段の選択や、選択した手段を実行するリソースの部分がお悩みだったと思いますが、それらの点に専門性があり、なおかつ実行まで行える会社を探されていたということでしょうか?
- クルーガー:
- はい。そうですね。
- 長谷川:
- その時は、弊社以外にも色々と探されていたんですか?
- クルーガー:
- いくつか見ましたね。ただ、当時弊社には、マーケティングをする担当がいなかったので、そういった領域には全く疎かったんです。例えばどうやってWEBで宣伝していくかとか、自分たちで調べても、逆にたくさん情報がありすぎて、選びきれないという状態でした。
- 長谷川:
- 自社のマーケティングやセールスの方がいない中で、外注先というか委託先、協力会社はどういう手段・チャネルで探されていたんですか?
- クルーガー:
- 探した方法はネット検索ですね。
実際にお会いしたのは御社を含めて2社です。御社に依頼する前に相談したところはIT専門のセールスもいる営業代行会社で、アウトバウンドセールスを頼もうと思っていたんですが、その会社のリソースが一杯で受けてくれなかったんです。
その後プロセルトラクションの話を聞きました。
- 長谷川:
- 元々アウトバウンドのセールスを考えてらしたのですか?リストをつくってアタックするといったイメージの。
- クルーガー:
- はい、アウトバウンドのセールスを考えていました。ただ、リストを作るところからというのはあまり想像できていませんでした。
IT業界の中では知人の繋がりで案件が進んでいくことが多いと思っています。紹介が一番効果があるということですね。弊社のサービスは説明の難易度が高く、ただ一方的に「これはいかがですか?」というような商品ではありません。お客さんの課題をヒアリングしてその対策を提案するという形になります。
- 長谷川:
- 元々お持ちのネットワークからの案件を受注されていたけれど、それだけだと中々新規開拓が日本国内で広がり切らないという中で、リード獲得する手段も、最初に何をしたらいいのかまだ分からない状態だったということで、どういったマーケティング手段や、セールス方法が御社の事業に適しているのかという部分から提案して欲しい、というご要望を頂きましたね。
- クルーガー:
- そうです。ちょうどご相談した時期にオフショア開発のサービスを、新規事業として立ち上げる段階でしたので、弊社に適したマーケティングやセールスを一からご支援いただきたく依頼させていただきました。

2.依頼理由
- 長谷川:
- その中で私達がご提案させて頂いて、選んで頂いた理由や、当時悩まれてたポイントがあれば教えて頂けますか?
- クルーガー:
- オフショア開発の事業内容は決まっていましたが、それをどのようにWEBページに載せたらいいのか、アピールポイントは何か、どう伝えるか、という点です。
最初はプロセルトラクションさんに協力いただいてまとめていただきましたね。
- 長谷川:
- オフショア開発の事業を中心に開発、拡販していこうとした時に、リードを獲得する手段やセールスの手段を考えることも必要です。
ただその前に、マーケティングでどういったポイントを訴求すれば良いか、それがちゃんとクライアントニーズにマッチしているか、競合他社と比べたときに、どこに御社の強みがあるのかといった点を考えなければならなかったということでしたね。
- クルーガー:
- その部分を悩んでいましたね。弊社のサービスを使うとなぜ良いか、という点ですね。
- 長谷川:
- なるほど。オフショア開発という事業自体はたくさんあるので、その中でどう強みを創り上げていくかということですね。
- クルーガー:
- 今まで弊社が開発に携わってきたクライアントが大手中心だったので、それを中小企業に展開していくのは初めての試みでした。
経験が無く、専任者もいないため、アピールの仕方がわからなかったということです。
- 長谷川:
- そうですよね。新しく開拓するとなると、やはりターゲットに中小企業が増えてくるので、そこに対するアピールポイントが何なのか、という点が重要になりますよね。
- クルーガー:
- 中小企業に対するアプローチで大切な点は、どうやったら使いやすく感じてもらえるか、だと思います。そういうところが大手との違いと思います。
中小企業がお持ちのニーズを、どんな風に表現すれば一番伝わりやすいかという所が最初難しかったですね。そういう部分を上手く手伝って頂けたらなという要望がありました。
- 長谷川:
- 事業の強みの抽出などをしない状態でマーケティング、例えば今実施しているSEO対策や広告配信をしても、他社との違いが伝わらないと結局価格が安いかどうかといった判断基準だけになってしまうということですよね。
そうならないようにしていくために、御社の強み、例えばインドでの開発というところや、御社のこれまでの実績をいかに強みに抽象化していくかということが必要ですね。

3.取組内容
- 長谷川:
- そういったオフショア開発事業の商品そのものの強み抽出から、それをどうマーケティングやセールスの施策に落とし込んでいくか。そこの部分もマーケティング専門の方がいらっしゃるわけではないですし、セールスに関しては実質一人体制とお伺いしました。
- クルーガー:
- そうですね。今までは大手向けの大きなプロジェクトの場合はコネクションをきっかけに進めていました。実際にセールスの人間が獲得に行くのではないんですよね。そういう方法でずっとやってきたので、新規顧客開拓は全くの初めてでした。
専門知識のあるものはおらず、どうしていこうかという悩みがあったんです。
- 長谷川:
- 例えばセールス時に必要な提案資料や会社紹介資料等からも検討が必要になりましたね。事業戦略の設計や強みの抽出から、資料のレビュー、メディア選定から運用、インサイドセールスまで一貫してお任せいただきましたね。
- クルーガー:
- 資料もサイトもサービスも、わかりやすいものをどうやって用意するかというところで悩んでいました。戦略設計の部分に一から入っていただけて非常に助かりました。
- 長谷川:
- 今既に実施頂いている中で、サービスページの流入がまず増えて、いくつか問い合わせも来て、商談にも繋がっていたりします。
その中で新しい業界とのコネクションというか、最初のきっかけとなるような取引も生まれそうですね。御社が今まで商談されている中で、元々私がご提案させて頂いていた、御社のオフショア開発の強みだったり、それに対するお客様のニーズ、そのあたりは実際いかがですか?
- クルーガー:
- そうですね。問い合わせが増えて、商談機会も増えました。
ただ、提案力がまだまだ不足しているなと感じています。弊社は幅広い案件に対応出来ますが、開発に関しては専門分野を設けてはいません。やはり案件ごとに提案を作らないといけないので他社と比べると、例えば教育アプリ開発案件の場合は、これまでずっと教育業界でのアプリ開発をやってらっしゃる会社の方が、その領域では提案力があると思います。
また、パンフレットの見た目だけで、他社の方が良く見えて、激しい競争になる。
あとは、接点を持った会社が、予算はいくら位でお考えなのか、実際に発注を検討頂いているのか、など本当に顧客が考えていることがまだ見えていない部分があります。
- 長谷川:
- そうですよね。最初はビジネスマッチング系のサイトとSEOの両方を実施していました。ビジネスマッチングだとどうしても価格比較になりがちです。
御社はどちらかというとクオリティが強みなので、クオリティより価格を重視されがちなメディアがビジネスマッチングには多く、その部分が自社に合わないからそこは一旦止めましたもんね。
- クルーガー:
- そうですね。やってみて分かりました。やはり弊社のような会社はインバウンドで獲得したリードの方が確実にビジネスに繋がると感じています。
- 長谷川:
- 御社の強みに合うお客様が来るチャネルが何なのか、ということがわかったということですね。それがやはりSEO。きちんと自社がやりたいことをやれる会社なのか、というようなことを自分達で能動的に調べてるような方々を狙うためにはSEOが有効だと思います。そういう方々ですと、サービスのクオリティもちゃんと判断基準に入ってきますね。
- クルーガー:
- ビジネスマッチングサイトだとそういうクオリティのところまで中々見せられないということがあります。そうするとまだ情報が少ない段階からホットかどうか分からないリードも含めた全リードに対して、提案を作るだけでも結構大変なので、弊社のような小さい会社だと時間のロスだけになってしまい、ちょっと駄目だなということがわかりました。
- 長谷川:
- そんな背景から、オウンドメディアの記事作成に舵を切っていきましたね。
- クルーガー:
- そうですね。
- 長谷川:
- オフショア開発のSEOは結構白地が多いので、やり続けたら上位表示になると思っています。
- クルーガー:
- はい、少しずつ実感してきています。
まだ受注数などは思った通りの結果になっていないところもあります。
それには色々な理由もあって、コロナの影響自体もどこまであるかまだわからないんですよね。例えば、初めてのお客様には直接会うことも重要と思っていますが、それが難しい環境なので、多少の影響があると感じています。
やはり最終的には契約出来るか出来ないかという点が一番重要になります。
商談1件で契約1件であれば、それで十分じゃないですか。商談10件でも契約0であれば意味は無いですよね。例えば、商談が10件に対して契約が2件ほど頂けると計算できると良いのですが。それがまだ見えないですね。
最初はビジネスマッチングサイトに頼りすぎていて、たくさん商談来て嬉しい悲鳴をあげていたのですけど、10社ほどの相見積もりだとか、基本的に価格が同等であれば、日本のベンダーが有利になると思います。また、大きいプロジェクトであれば大手に発注されると思うんです。大手だと新規では直接弊社みたいな小さな会社に発注しないんですよね。
- 長谷川:
- そうですよね、適したチャネルが見極められて、今後はSEO、オウンドメディアでいかに集客していくかというところですね。集客する事業はオフショア開発に留まらずRPAですとか、新しい事業だったりとかだと思うんです。

4.新たに見えた事業成長に向けた戦略筋
- クルーガー:
- 今新しく考えているのは、業務委託です。業務委託で一度受注出来れば、次の段階では、オフショアの一人の開発者と開発をやってみようとなると思うんですよ。それが上手くいけば、更に次の段階でプロジェクトも任せられるかなという進み方の戦略も考えています。
スタートは委託で弊社からクライアントに一人行って、業務をきちんとこなして仕事が増えれば、次の3、4人はインドでのオフショア開発はどうですか?と提案出来る。それがまたうまくいけば次はプロジェクト全部任せますとおっしゃって頂けると思うんですよね。
どうしても海外が絡んでくると不安をお持ちになる方が多いので、そういう場合は小さいところからスタートしたいです。
- 長谷川:
- そこも今後伸ばしていきたいというか、そういう入り方も武器として整えていくということですか?
- クルーガー:
- そうですね。パートナーネットワークが割と広がったので、パートナーの顧客に対して、サービスを提供出来るように動いていきたいです。
- 長谷川:
- なるほど。今後オフショア開発事業やRPA事業に加えて、開発プロジェクトを受注するために、まずひとりの業務委託として入って、ということですね。
その点はサイト上にそういうプランもありますという訴求をされてらっしゃいますか?
- クルーガー:
- あまり書いていないので、今後社内で話して増やしたいなと思っています。
今はパートナーさんを通じて顧客を獲得しているので、今後は直接アプローチしていきたいです。
- 長谷川:
- 良いですね。

- 長谷川:
- マーケティングの観点からの質問なのですが、御社に直接問い合わせが来るリードをどんどん獲得して、そこからの商談するとした時に、ある程度御社の強みをお客様のニーズにあわせてプレゼンテーション出来る準備はもう出来上がってる状態なのでしょうか?
- クルーガー:
- もうちょっとまだですね。
- 長谷川:
- なぜお伺いしたかと言うと、そういった方針の中で、今私たちはマーケティングメインで携わらせていただき、SEO対策記事を作成しています。もちろんこれからもクオリティの高いものをどんどん作っていき、実際に受注にも結びついているので今後もちゃんと伸ばしていくというところに加えて、何か他に弊社に期待して頂けることや、更なるご要望等があればお聞かせ頂きたいです。
- クルーガー:
- そうですね。今後は、ランディングページと、そこへの流入に効果がありそうなものはFacebook広告を検討しています。例えばRPAの情報を検索・閲覧すると、RPAのコマーシャルが出るようになるじゃないですか?そしてバナーをクリックするとわかりやすいLPになっていて、割とその情報を取り寄せる行動になる可能性が高いんじゃないかなと思うんですよ。
ただ、バナーを作って、LPをつくって、というところはまだ弊社が出来ていないんですね。加えてFacebookが良いのかLINEの広告が良いのか、どの媒体がいいのかも見極められていません。
自分自身もFacebookをやっているので感じることなんですけど、見ているところに的確なコマーシャルが出てきますよね。実際その広告のページがとてもわかりやすくて、自分もちょっと「詳しく」というボタンを押して、読んでみようという気になるものが多いです。
わかりやすいページをつくると、それに関心がある人は詳しく読むし、資料請求してみようとなるんだな、ということがよく分かります。ああいうものを弊社もつくりたいなと思っています。
- 長谷川:
- そうですね。BtoBの商材のWEBマーケティングの運用代行も弊社でも実施させて頂いてますが、BtoBの場合はWEBマーケティングの手段が限られています。ターゲットが特定のお客様だったりするじゃないですか?
SEO、リスティングはもちろん基本ですが、あとはもうFacebookです。Facebook広告は細かくターゲティングが出来るんですよね。行動履歴からというのもありますが、登録情報として「〇〇に勤めている」と勤務先を入れていたりするじゃないですか?そこで業界で括ってターゲティングすることが可能なんです。あとは年齢などの属性情報もFacebookはどの媒体よりも正確ですね。
今はリスティング広告はやっておられますか?
- クルーガー:
- 今はやっていないです。やり方がわからないし、RPAのLPはありますが他のサービスのLPは無いので、こういう感じでつくってください、と投げたい気持ちです。
RPAにしてもオフショアにしても、サービスごとにFacebookなどに出していけたらかなり良いかなと思うんですよね。
- 長谷川:
- Facebookはバナー広告からLPに飛ぶというのもあるんですけど、その広告からホワイトペーパーDLの申請とかも出来るんですよね。例えばRPAの○○事例集を欲しい人はここをクリック、といった感じです。
- クルーガー:
- ホワイトペーパーもつくる人が必要なんですよね。
何がやりたいかはわかっているんですけど、そのコンテンツをつくる人間がうちにいないんです。もうちょっとそこが強化出来れば、拡がるんじゃないかなという思いです。
- 長谷川:
- 前回オフショア開発のLPを御社でつくって頂いたかと思いますが、その時はリソースがあったということですか?
- クルーガー:
- はい、当時はありました。ただとても時間が掛かるんです。我々はLP制作に関しては素人なので。やっぱりアイデアを言って、それをつくってくれるところが欲しい。ネットで探しても山程あるからわからなくなってしまいます。
そういったところを今後サポートしてもらえたらいいなと思います。
- 長谷川:
- 今後も御社の課題に対してお手伝いさせて頂ければと思います。本日はありがとうございました。