マーケからCSまでの一気通貫支援を前提に、事業成長に耐えるCRMを設計・構築
1. 事例サマリー
| クライアント規模 | 大企業 |
|---|---|
| クライアント業種 | 不動産 / IT・通信 |
| 事業フェーズ | Growth / Scale / 既存事業拡大 |
| 対象プロダクト | 不動産領域の新規事業 マーケティング、セールス、カスタマーサクセスまでを一括でご支援 |
| 提供ソリューション | CRM(HubSpot)の設計・構築/営業支援とセットでの運用設計 |
| 直面していた課題 | ①スプレッドシート運用では、人数と顧客数の増加に耐えられなくなった ②マーケ・セールス・CSが分断され、どの数字を見て判断するかが定まらない ③ツールを導入するだけでは、どのフェーズで何を記録すべきかが決まらない |
| 実施した施策 | ①事業理解を前提とした商談フェーズの定義 ②各フェーズで取得すべきプロパティの設計 ③分析項目とKPIの定義 ④見る人と見る内容を分けたダッシュボードの構築 |
| 主要な成果 | ①スプレッドシート運用から脱却し、事業成長に耐える管理体制へ移行 ②マーケティングからCSまでを一本の数字で追える状態を構築 ③営業支援と一体で設計することで、現場の実態に合った項目定義を実現 |
2. ご依頼の背景:3つのボトルネック
クライアントは、不動産領域で新規事業を展開されている大企業です。当社は、この事業のマーケティング・セールス・カスタマーサクセスまでを一括してご支援していました。
事業が立ち上がり、関わる人数も顧客数も増えていくなかで、顧客と案件の管理をどうするかが新たな課題として浮上しました。
選定にあたっては、以下の点をご評価いただきました。
- 営業支援を担っているため、事業と業務プロセスへの理解がすでに深いこと
- ツールの設定作業ではなく、営業の工程そのものを定義するところから担えること
クライアントの課題としては以下の通りです。
2-1. スプレッドシート運用では、人数と顧客数の増加に耐えられない
事業の初期は、スプレッドシートでの管理で十分に回っていました。関わる人数が限られ、顧客数も把握できる範囲だったためです。
しかし事業の拡大とともに、関わる人数が増え、顧客数も増えていくなかで、誰が何を最新の情報として持っているのかが分からなくなる状態が近づいていました。運用の限界が見えた段階で、CRMへの移行が必要になりました。
2-2. マーケ・セールス・CSが分断され、どの数字を見て判断するかが定まらない
この事業では、リード獲得から商談、そして契約後のカスタマーサクセスまでが一連の流れとしてつながっています。ところが管理が分断されていると、どのリードがどう商談に進み、契約後にどうなったのかを追えません。
施策の良し悪しを判断する数字が定まらないため、次に何をすべきかの意思決定が感覚に依存する構造がありました。
2-3. ツールを導入するだけでは、何をどのフェーズで記録すべきかが決まらない
CRMの導入でつまずく典型が、ここです。ツール自体は契約すれば使えますが、「どんなフェーズを置くか」「各フェーズで何をヒアリングし、どの項目を残すか」が決まっていなければ、入力されないか、入力されても使えないデータが溜まるだけになります。
これを決めるには、実際の商談で何が交わされ、どの情報があれば次に進めるのかを知っている必要がありました。
3. 実施した4つの営業戦略
3-1. 【戦略①】事業理解を前提に、商談フェーズを定義する
最初に着手したのは、ツールの設定ではなく営業の工程そのものの定義です。
- リード獲得から受注までを、どの段階に区切るのか
- 各段階を次に進めるための条件は何か
- 契約後のカスタマーサクセスまでを、どこまで同じ流れとして扱うのか
当社は同じ事業の営業支援を担っていたため、現場で実際にどのような会話が交わされ、どこで案件が止まるのかを把握していました。その理解を前提にフェーズを引けたことが、この工程の精度を決めています。
3-2. 【戦略②】各フェーズで取得すべきプロパティを設計する
フェーズが決まると、各段階で「何を聞き、何を残すべきか」が決まります。
- 次のフェーズに進むために必要な情報を、必須項目として定義
- ナーチャリングや掘り起こしの判断に使う情報を、選択式で入力できる形に設計
- 現場の入力負荷が過剰にならないよう、項目数を絞り込み
使わない情報は項目にしないという原則で設計しています。項目を増やすほど入力されなくなり、結果としてデータが欠損するためです。
3-3. 【戦略③】分析項目とKPIを定義する
蓄積した情報を、どの単位で見るかを定めました。
- マーケティング施策ごとの、獲得から受注までの転換率
- セグメント別の受注率と、想定される受注時期
- 契約後の利用状況や継続に関する、CSが持つ情報との接続
マーケティングからCSまでを、一本の数字で追える設計にしたことで、施策の良し悪しを事後に検証できる状態をつくりました。
3-4. 【戦略④】見る人と見る内容を分けたダッシュボードを構築する
同じデータでも、必要な見え方は立場によって異なります。
- 現場の営業担当:自分の案件の進捗と、次に取るべきアクション
- マネジメント層:パイプラインの全体像と、着地の見込み(フォーキャスト)
- 事業責任者:施策単位の投資対効果と、次の意思決定に必要な数字
それぞれが自分の判断に必要な情報だけを見られる形にしたことで、データを見るために誰かに集計を依頼する、という手間をなくしました。
4. 導入効果
- スプレッドシート運用からCRMへ移行し、事業の拡大に伴う人数・顧客数の増加に管理体制が追従できる状態を構築
- フェーズ・プロパティ・分析項目・ダッシュボードまでを設計し、施策の良し悪しを感覚ではなく数字で判断できる状態へ移行
- マーケティングからカスタマーサクセスまでを、一本の流れで管理できる形に統合
- 現場が入力できて、かつ意思決定に使えるという両立を実現
- 営業支援と一体で設計することで、実態に合わないCRMになるリスクを回避
5. よくあるご質問(FAQ)
Q. CRM/SFAの導入・設定だけを依頼できますか?
A. 設定作業のみのご依頼は承っておりません。フェーズやプロパティの設計は、実際の商談で何が交わされ、どの情報があれば次に進めるのかを理解していないと正しく組めないためです。営業支援とセットでお引き受けすることで、現場の実態に合った設計をご提供しています。
Q. なぜ営業支援とセットである必要があるのですか?
A. CRMの設計とは、実質的に営業の工程を定義する作業だからです。どのフェーズを置き、何を聞き、どの数字で判断するかは、その事業の営業が実際にどう動いているかを知らなければ決められません。外部から設定作業だけを請け負うと、入力されない項目や、使われないダッシュボードができあがります。
Q. スプレッドシート運用からの移行はどのタイミングが適切ですか?
A. 関わる人数が増え、誰が最新の情報を持っているか分からなくなり始めたときが目安です。顧客数そのものよりも、情報を扱う人の数が増えたときに限界が来ます。本事例でも、事業の拡大に伴う体制の変化がきっかけでした。
Q. どのCRMツールに対応できますか?
A. 本事例ではHubSpotを使用しました。ツールの選定は、必要な機能とご予算に応じてご相談します。重要なのはツールそのものよりも、フェーズ・プロパティ・分析項目をどう設計するかであり、その設計はツールが変わっても共通です。