無数にある老舗製造業から「経営を変革している企業」を抽出し、アポ獲得率を向上
1. 事例サマリー
| クライアント規模 | 中堅企業 / 中小企業 |
|---|---|
| クライアント業種 | 製造 / コンサルティング |
| 事業フェーズ | 既存事業拡大 |
| 対象プロダクト | 事業承継を行った老舗の製造業を対象とした、組織コンサルティング・デザイン経営・ブランディング支援 |
| 提供ソリューション | インサイドセールス(BDR) |
| 直面していた課題 | ①行政経由・紹介経由の商談しかなく、業績が安定しない ②「老舗の製造業」は数が多すぎて、そのままではターゲットにならない ③無形のコンサルティング商材で、どの切り口が刺さるか分からない |
| 実施した施策 | ①経営を変革しているフェーズの企業を炙り出すシグナルを定義 ②補助金申請・展示会出展などの動きからリストアップし、ターゲット精度を向上 ③組織活性化・新規事業開発・人材育成という3つの切り口でスクリプトを分けて検証 ④反応データをもとに切り口とリスト条件を継続的に更新 |
| 主要な成果 | ①アポイント獲得率を向上 ②自社で安定的にリードを獲得できる手段を構築 ③無形商材において、どの切り口が刺さるかを検証可能な形に整理 |
2. ご依頼の背景:3つのボトルネック
クライアントは、事業承継を行った老舗の製造業を対象に、組織コンサルティングやデザイン経営、ブランディング支援を提供している企業です。
老舗の製造業では、長年同じ事業を続けてきたことでルーティンワークが定着し、マネジメント層が育ちにくいという構造があります。そこに対して、創業の歴史や「なぜ自社が顧客に選ばれ続けてきたのか」を紐解くことで組織の理解度を高め、活力を生む支援を行い、そこから新規事業のコンサルティングにもつなげていく、というサービスです。
選定にあたっては、以下の点をご評価いただきました。
- 無数にある対象企業から、ニーズのある層を絞り込むターゲット設計ができること
- 複数の切り口を並行して検証し、刺さるものを特定する進め方ができること
クライアントの課題としては以下の通りです。
2-1. 行政経由・紹介経由の商談しかなく、業績が安定しない
商談の入り口が、行政機関からの紹介や既存のつながりに限られていました。紹介は質が高い一方で、量とタイミングを自社でコントロールできません。そのため業績が安定せず、自社で能動的にリードを獲得できる手段の構築が必要でした。
2-2. 「老舗の製造業」は数が多すぎて、そのままではターゲットにならない
対象は「事業承継を行った老舗の製造業」です。しかし、この条件に当てはまる企業は日本中に無数にあります。条件を満たす企業が多すぎて、リストとして機能しないという状態でした。
数を絞らずに当たれば、話を聞く必要のない企業に大量にアプローチすることになり、効率が著しく低下します。
2-3. 無形のコンサルティング商材で、どの切り口が刺さるか分からない
組織コンサルティングは無形商材であり、しかも提供できる価値が複数あります。組織を活性化させることなのか、新規事業を生み出すことなのか、人材を育てることなのか——どの入り口から話せば経営者に届くのかが、事前には分かりません。
3. 実施した4つの営業戦略
3-1. 【戦略①】経営を変革しているフェーズの企業を炙り出す
ターゲット設計の考え方を、業種や規模ではなく「いまその会社に何が起きているか」に切り替えました。
老舗の製造業のなかでも、話を聞いていただけるのは「現状を変えようとしている会社」です。そこで、外から観測できる動きのうち、経営変革の意欲を示すシグナルを定義しました。
3-2. 【戦略②】シグナルからリストアップし、ターゲット精度を上げる
定義したシグナルをもとに、具体的なリストを作成しました。
- 老舗企業向けの補助金を申請している会社
- 老舗でありながら、展示会などに積極的に出展している会社
- 事業承継のタイミングにあり、新しい取り組みを対外的に発信している会社
いずれも「変わろうとしている」という意欲が外から見える動きです。同じ老舗製造業でも、この条件で絞った母集団は、そうでない母集団とは反応がまったく異なりました。
3-3. 【戦略③】3つの切り口でスクリプトを分けて検証する
どの入り口が刺さるかが事前には分からないため、切り口ごとにスクリプトを作り分けて並行して検証しました。
- 組織の活性化:ルーティンワークが続き、マネジメント層が育たない状態への課題提起
- 新規事業開発:自社の強みを生かした新しい事業の芽をどうつくるか
- 人材育成:次世代を担う人材をどう育てるか
3つを同時に走らせ、どの切り口でどのセグメントが反応するかを集計しました。仮説を1つに絞って外すリスクを避け、検証そのものを設計に組み込んだ進め方です。
3-4. 【戦略④】反応データをもとに、切り口とリスト条件を更新する
検証は一度で終わりではありません。
- 切り口ごとの反応率を継続的に集計し、有効なものへ配分を寄せる
- お断りの理由を分類し、リストの条件そのものを見直す
- 反応の良かった企業属性を、次のリストアップの条件に反映
このサイクルを回すことで、アポイント獲得率を段階的に向上させました。
4. 導入効果
- 3つの訴求の切り口を並行検証して反応の傾向を特定し、切り口の見直しとリスト条件の更新によりアポイント獲得率を改善
- 無数にある対象企業を、「変わろうとしている企業」という外から観測できる条件で絞り込む設計を確立
- 紹介・行政経由に依存していたリード獲得に、自社でコントロールできる手段を追加
- 無形のコンサルティング商材について、どの切り口が刺さるかを検証可能な形に整理
- 事業承継という時流のある領域で、外から見えるシグナルを使ったターゲティングの型を構築
5. よくあるご質問(FAQ)
Q. 対象企業が多すぎる場合、どうターゲットを絞りますか?
A. 業種や規模といった静的な条件ではなく、「いまその会社に何が起きているか」という動的な条件で絞ります。本事例では、補助金の申請や展示会への出展といった、経営を変えようとしている意欲が外から観測できる動きをシグナルとして定義しました。同じ母集団でも、この条件の有無で反応はまったく異なります。
Q. 無形のコンサルティング商材でも、アウトバウンドは有効ですか?
A. 有効です。ただし、提供価値が複数ある無形商材では「どの入り口から話すか」で反応が大きく変わります。切り口を1つに絞らず、複数のスクリプトを並行して検証し、反応データから有効なものを特定していく進め方をおすすめしています。
Q. 紹介経由の商談だけでは、なぜ不十分なのですか?
A. 紹介は質が高い一方で、量とタイミングを自社でコントロールできません。事業計画に対して必要な商談数を、必要な時期に確保することが難しくなります。紹介を止める必要はなく、それに加えて自社で獲得できる手段を持つことで、業績の安定につながります。
Q. 事業承継の領域に知見はありますか?
A. 事業承継を行った老舗製造業へのアプローチについて、ターゲット設計から訴求の検証までを実行した実績があります。承継のタイミングは経営の方針が変わりやすく、外部の支援を検討いただきやすい時期でもあるため、そのシグナルをどう捉えるかが成果を左右します。