競合ひしめくATS市場で、導入検知にもとづく個社別トークにより目標以上のアポを獲得
1. 事例サマリー
| クライアント規模 | 中堅企業 |
|---|---|
| クライアント業種 | 人材 / IT・通信 |
| 事業フェーズ | Growth / 既存事業拡大 |
| 対象プロダクト | 採用における全てのデータを収集し、高度な分析とAIによる提案を行う採用統合プラットフォーム(ATS) 人材紹介事業を本業とする企業が展開 |
| 提供ソリューション | インサイドセールス(BDR・成果報酬型) |
| 直面していた課題 | ①ATSと相性が良い企業=採用数の多い企業は、すでに何かしらのATSを導入済み ②競合が非常に多く、製品説明では差別化にならない ③HR領域はデジタル化が進んでおり、効率化訴求ではリプレイス負荷のほうが重く映る |
| 実施した施策 | ①競合との差別化ポイントを洗い出し、採用担当に響くものを選別 ②採用ページのURLからATSの導入を検知し、個社ごとにトークを構築 ③「すでに導入している前提」で事前調査してから接触する運用 ④効率化ではなく、母集団形成と質の強化=分析・意思決定支援を中心訴求に転換 |
| 主要な成果 | ①目標以上のアポイントを提供 ②導入検知にもとづく個社別トークの型を確立 ③リプレイスが起きにくい領域における、訴求の切り替え方を実証 |
2. ご依頼の背景:3つのボトルネック
クライアントは、人材紹介を本業としながら、採用データの収集と分析を行う採用統合プラットフォーム(ATS)を展開している企業です。顧客数も増えてきたなかで、さらに開拓を進めるためのインサイドセールスをご相談いただきました。
選定にあたっては、以下の点をご評価いただきました。
- 競合が多い領域で、製品説明ではない訴求を設計できること
- 事前調査を前提とした個社別のトーク構築を、実行可能な工数で回せること
クライアントの課題としては以下の通りです。
2-1. 相性の良い企業ほど、すでにATSを導入している
ATSが効果を発揮するのは、採用人数が多く、採用業務の負荷が大きい企業です。しかし採用人数が多い企業は、当然ながら以前からその負荷を抱えており、ほとんどが何かしらのATSを導入済みです。
つまり、最も相性の良いターゲットが、そのまま「すでに他社製品を使っている企業」と重なるという構造がありました。
2-2. 競合が非常に多く、製品説明では差別化にならない
ATS市場には多数のプレイヤーが存在します。相手はすでに製品を知っており、検討したこともあり、実際に導入もしている。この状態で「弊社のATSはこういう機能があります」と説明しても、話が前に進みません。
差別化のポイントを洗い出し、そのなかでも採用担当の方に響くものを選び取る必要がありました。
2-3. 効率化訴求では、リプレイスの負荷のほうが重く映る
HR領域はデジタル化がすでに進んでいる領域です。いま使っているツールでも、ある程度は便利に業務が回っています。
その状態で「もっと効率化できます」と伝えても、ツールを入れ替えるためのオペレーション変更の負担のほうが重く感じられ、検討には至りません。「今より少し便利になる」では、動く理由にならないという構造がありました。
3. 実施した4つの営業戦略
3-1. 【戦略①】差別化ポイントを洗い出し、採用担当に響くものを選別する
まず、競合製品との違いを一つひとつ洗い出しました。そのうえで、機能としての違いではなく、採用担当の方が日々困っていることに接する違いを選別。
製品の優位性としては正しくても、相手の業務実感につながらない差別化ポイントは、トークからは外し、よりメリットをわかりやすくしました。
3-2. 【戦略②】採用ページのURLからATS導入を検知する
この案件で特徴的だったのが、事前調査の方法です。企業がATSを導入している場合、採用ホームページから募集要項へ遷移するとURLが変わります。このURLのパターンから、どのサービスを使っているかを推測できます。
- AIエージェントを用いて、対象企業の採用ページと募集要項の遷移を確認
- URLのパターンから、導入しているATSを事前に推測
- どのサービスを使っているかを前提に、その企業に対して何を押し出すかを組み立て
「導入しているかどうか」を電話で聞き出すのではなく、コールの前にこちらが把握している状態をつくったことで、会話の入り口が変わりました。
3-3. 【戦略③】「すでに導入している前提」で調査してから接触する
ATSそのものの説明をしても刺さらない、という前提に立ちました。相手はすでに知っているからです。
そこで、基本的には「入れている前提」で事前に調査を行い、その企業にとって何が刺さるのかを確認してから接触するという運用にしました。個社ごとに押し出すポイントが変わるため、トークは画一的なスクリプトではなく、調査結果に応じて構成を変える形にしています。
3-4. 【戦略④】効率化ではなく「分析・意思決定支援」を中心訴求に据える
最も大きな転換点がここです。
いまの採用環境では、母集団形成の難易度が上がっています。欲しい人材を集めること、そして集めた中からきちんと採用に至ることの、その率をどう上げるかが採用担当の関心事です。そして率を上げるために必要なのは、傾向を捉えて対策を打つための分析です。
- 効率化・利便性の訴求は、リプレイス負荷に負けるため中心には置かない
- 母集団の質を高め、意思決定を支援できるという点を中心訴求に据える
- 収集したデータをどう分析し、どう次の打ち手につなげられるかを具体的に提示
この訴求の切り替えにより、目標以上のアポイントを提供できる状態になりました。
4. 導入効果
- 目標以上のアポイントを提供
- 「すでに導入済み」が前提となる領域において、接触前に対象企業のATS導入状況を確認する事前調査の型を確立
- 製品説明ではなく相手の業務課題から入る訴求へ転換し、導入状況に応じた個社別のトーク構成へ移行
- 効率化訴求が通用しないデジタル化済みの領域で、分析・意思決定支援という切り口の有効性を実証
- 競合が多い市場において、差別化ポイントの取捨選択の基準を明確化
5. よくあるご質問(FAQ)
Q. ターゲット企業がすでに競合製品を導入している場合、どうアプローチしますか?
A. 「導入しているかどうか」を聞き出すのではなく、接触前に調査して把握しておきます。本事例では、採用ページから募集要項への遷移でURLが変わることを利用し、どのATSを使っているかを事前に推測しました。そのうえで、その企業にとって何が刺さるかを組み立ててから接触します。
Q. 製品説明が刺さらない場合、何を話せばよいのですか?
A. 相手がすでに知っている製品カテゴリでは、機能の説明に意味がありません。相手がいま何に困っていて、それに対してどう効くのかという話から入ります。本事例では、採用人数の確保そのものではなく、その率を上げるための分析という切り口に置き換えました。
Q. デジタル化が進んだ領域では、どう差別化しますか?
A. 効率化や利便性を訴求の中心に置かないことです。すでにある程度便利に回っている状態では、入れ替えの負担のほうが重く映ります。いまのツールでは満たせていない、意思決定の質そのものを高める価値を提示することで、検討の土俵に乗ります。
Q. 成果報酬型での対応は可能ですか?
A. 案件の内容によってご相談を承っています。本事例では、ご要望のすべてに固定費用の形で対応することが難しかったため、成果報酬型でお取り組みを開始しました。ターゲットの母数や商材の特性を踏まえて、最適な契約形態をご提案します。