テナントマッチングPFで、質を重視し成約課金モデルの成果創出に貢献
1. 事例サマリー
| クライアント規模 | 大企業 |
|---|---|
| クライアント業種 | 不動産テック |
| 事業フェーズ | 新規事業 |
| 対象プロダクト | テナントを探したい事業者と物件を貸し出したい不動産会社をマッチングするプラットフォーム |
| 提供ソリューション | インサイドセールス(BDR) 商談・クロージング(未公開物件の掲載交渉) |
| 直面していた課題 | ①成約課金モデルのため、物件掲載数だけでなく「成約につながりやすい物件」を集める質の設計が必要だった ②会員限定サイトという特性上、自社管理物件や専属媒介物件など未公開物件の獲得が成約率の鍵となるが、その交渉ノウハウが社内で確立されていなかった ③営業活動の成果がそのままプロダクト価値(物件ラインナップ)に直結するため、量と質を両立したKPI設計と運用が必要だった |
| 実施した施策 | ①物件数という量のKPIだけでなく、未公開物件獲得数・成約につながりやすい物件数を戦略KPIとして再設計 ②会員限定サイトの強みを活かし、自社管理物件・専属媒介物件など未公開物件の掲載交渉を商談プロセスに組み込み ③不動産会社開拓・物件掲載提案・商談・クロージング・未公開物件交渉までを一気通貫で実行 |
| 主要な成果 | ①量と質を両立したKPI設計により、成約課金モデルに最適化された物件ラインナップを構築 ②未公開物件の獲得交渉までを営業プロセスに組み込み、エンドユーザーから見たプロダクト価値の底上げに貢献 ③過去の新規事業立ち上げ実績に続く再依頼として、長期的なパートナーシップを実現 |
2. ご依頼の背景:成約課金モデル特有の3つの壁
クライアントは、テナントを探したい事業者と物件を貸し出したい不動産会社をつなぐマッチングプラットフォームを展開する大企業の新規事業部門です。過去に別サービスの新規事業立ち上げを弊社が支援した実績から、本案件でも改めてご相談をいただきました。
2-1. 成約課金モデルにおける「量だけでは勝てない」構造
本サービスは成約時に仲介手数料の一部が収益化される成約課金型ビジネスです。物件掲載数だけを追っても、成約に繋がらない物件をいくら集めても収益化に直結しません。量を担保しながら「成約に繋がりやすい物件」をいかに集めるかという質の設計が、事業成立の前提条件でした。
2-2. 未公開物件の獲得交渉ノウハウが未確立
本サービスは会員限定サイトという形態を取っており、一般公開されていない自社管理物件や専属媒介物件こそが価値の源泉となります。誰でも他サイトで見られる物件ばかりでは差別化できないため、未公開物件を掲載してもらう交渉が必要でしたが、社内に未公開物件獲得の交渉ノウハウは未確立でした。
2-3. 営業活動がプロダクト価値そのものを左右する構造
通常のSaaS営業と異なり、本案件では営業活動の成果(獲得した物件ラインナップ)がそのままプロダクト価値になります。物件の量・質・未公開比率が、エンドユーザーから見たサービスの魅力度を直接決定するため、営業の現場運用とプロダクト戦略を一体で動かせるパートナーが必要でした。
これらを解決するため、不動産業界の構造理解と、過去の新規事業立ち上げ実績を持つ弊社へご依頼いただきました。
3. 実施した3つの営業戦略
3-1. 【戦略①】成約課金モデルに最適化したKPI再設計
成約課金モデルにおいて、物件掲載数という単一のKPIだけを追うと、量を稼ぐために魅力の薄い物件まで集めてしまい、最終的な成約数に貢献しない構造に陥ります。本案件では、KPI設計そのものを成約課金モデルの構造に合わせて見直しました。
そこで、物件数という量のKPIを下限として担保しつつ、未公開物件の獲得数・成約に繋がりやすい物件の獲得数を戦略KPIとして並列に設置しました。営業現場では、量だけを追っていた状態から、「どの物件を獲得すればエンドユーザーにとってのサービス価値が高まるか」という視点で物件選定と交渉優先順位を判断できる運用に転換しました。
このKPI再設計により、営業活動そのものがプロダクト価値を作る投資行為として位置づけ直され、量と質を両立した物件ラインナップを構築する基盤が整いました。成約課金モデルでは、KPIを量のみに置くと事業構造と運用がねじれるため、最初から成約構造に整合した戦略KPI設計を持つことが、再現性のある収益化の前提条件となります。
3-2. 【戦略②】未公開物件の獲得交渉を商談プロセスに組み込み
会員限定サイトという特性上、未公開物件こそがサービスの差別化の源泉です。自社管理物件・専属媒介物件など、一般公開されていない物件の掲載交渉を、通常の物件掲載提案とは別軸の商談プロセスとして組み込みました。
| 物件カテゴリ | 交渉の重心 |
|---|---|
| 一般公開物件(他サイトでも掲載済み) | 量の担保として掲載してもらう。差別化価値は限定的 |
| 自社管理物件 | 不動産会社が単独で管理する物件のため、会員限定サイトでの限定露出という付加価値で交渉 |
| 専属媒介物件 | 専属媒介で囲い込まれた高価値物件。エンドユーザーの成約意欲が高い層に直接届けられる価値で交渉 |
特に未公開物件の交渉では、「他サイトでは取り扱われていない物件をどう活用するか」という観点で会話を組み立てました。誰でも見られる物件として埋もれさせるのではなく、会員限定サイト経由で意欲の高いテナント候補と直接マッチングできるという価値提案を行うことで、不動産会社側にとっても掲載する合理性が成立する設計としました。
3-3. 【戦略③】営業からプロダクト価値強化までの一気通貫運用
本案件では、不動産会社開拓・物件掲載提案・商談・クロージング・未公開物件交渉までを弊社が一気通貫で担当し、営業活動の成果がそのままプロダクト価値強化に転化する運用を実装しました。
| 実行領域 | 弊社の役割 |
|---|---|
| 不動産会社開拓 | ターゲットリスト構築と「店舗出すで物件を掲載しませんか」の初回提案 |
| 物件掲載提案 | 不動産会社側の物件構成を踏まえた掲載提案と契約締結 |
| 未公開物件交渉 | 自社管理物件・専属媒介物件などの追加掲載交渉 |
| KPIモニタリング | 物件数・未公開物件獲得数・成約に繋がりやすい物件数の継続モニタリング |
| プロダクト価値への還元 | 営業現場の声をプロダクト側に共有し、ラインナップ戦略の継続改善に貢献 |
特に重要だったのは、営業現場で得られる「どの物件カテゴリの掲載が進みやすいか」「どの不動産会社が未公開物件の掲載に前向きか」といった一次情報を、プロダクト戦略にフィードバックすることでした。物件ラインナップを単なる「集めた結果」ではなく「設計して作る対象」として扱うことで、エンドユーザーから見たプロダクト価値を継続的に底上げできる体制を構築しました。
4. 導入効果
4-1. 定量的な成果
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| KPI設計 | 物件数に加え、未公開物件獲得数・成約に繋がりやすい物件数を戦略KPIとして並列運用 |
| 未公開物件獲得 | 自社管理物件・専属媒介物件など、他サイトでは扱われていない物件の掲載を実現 |
| 一気通貫実行 | 不動産会社開拓・物件掲載提案・商談・クロージング・未公開物件交渉までを一気通貫で運用 |
4-2. 定性的な成果:「営業がプロダクト価値を作る」支援モデルの確立
- 成約課金モデルの構造に最適化されたKPI再設計を行い、量だけを追うことで生じる事業構造とのねじれを回避。
- 会員限定サイトの強みを活かす未公開物件獲得交渉を営業プロセスに組み込み、エンドユーザーから見た差別化価値を底上げ。
- 営業活動が単なる物件数稼ぎではなく、プロダクト価値を作る投資行為として位置づけられる運用を確立。
- 営業現場の一次情報をプロダクト戦略に還元し、ラインナップを設計して作る対象として扱う体制を構築。
- 過去の別サービス新規事業立ち上げ支援に続く再依頼として、長期的なパートナーシップを実現。
5. よくあるご質問(FAQ)
Q. 成約課金モデルのサービス営業はどう設計しますか?
A. 物件数・リード数・契約数といった量のKPIだけを追うと、成約に繋がらない案件を集めても収益化しない構造に陥ります。本事例では、量を下限として担保しつつ、未公開物件獲得数・成約に繋がりやすい物件数といった質のKPIを戦略指標として並列に設置しました。成約構造に整合した戦略KPI設計を持つことが、再現性のある収益化の前提です。
Q. マッチングプラットフォームの物件・案件獲得はどう進めますか?
A. 単に量を集めるのではなく、エンドユーザーから見た差別化価値を生む案件を優先的に獲得します。本事例では、自社管理物件・専属媒介物件など、他サイトでは扱われていない未公開物件の掲載交渉を商談プロセスに組み込みました。会員限定サイトという特性を活かす形で、不動産会社側にも掲載する合理性が成立する価値提案を設計しました。
Q. 「営業活動がプロダクト価値そのものを左右する」案件はどう支援できますか?
A. 通常のSaaS営業と異なり、マッチングプラットフォームのような案件では、獲得した案件構成がそのままプロダクト価値になります。本事例では、不動産会社開拓・物件掲載提案・未公開物件交渉までを一気通貫で担い、営業現場の一次情報をプロダクト戦略に還元する運用を実装しました。営業とプロダクトを分断せず統合運用することが鍵です。