介護レクリエーション支援の新規事業で、短期のテストセールスにより事業検証を成功させる
1. 事例サマリー
| クライアント規模 | 大企業 |
|---|---|
| クライアント業種 | メディア / 福祉・介護 / 医療・ヘルスケア |
| 事業フェーズ | 新規事業立ち上げ / PMF検証 |
| 対象プロダクト | 大手メディア企業が保有する過去コンテンツを活用し、高齢者向け施設のレクリエーションプログラムを簡単に作成できるサービス |
| 提供ソリューション | テストセールス(ニーズ検証) |
| 直面していた課題 | ①レクリエーションのネタ切れという課題は存在するが、有料で解決するニーズがあるかが不明だった ②介護現場は多忙で、新しい仕組みの検討自体が難しい ③施設の予算構造上、レクリエーションに割ける支出の余地が読めない |
| 実施した施策 | ①「課題があるか」と「お金を払ってでも解決したいか」を分けて検証する設計 ②施設の種別・規模でセグメントを分け、反応の差を比較 ③お断りの理由を分類し、事業判断に使える形で整理 |
| 主要な成果 | ①課題は存在するが、有料化のニーズは限定的という結論を短期間で提示 ②事業継続の判断材料を、実際の顧客の声にもとづいて提供 ③追加投資の前に、筋の良し悪しを見極める機会を創出 |
※ 本サービスは現在提供を終了しています。
2. ご依頼の背景:3つのボトルネック
クライアントは、大手メディア企業の新規事業部門です。自社が長年にわたって蓄積してきた過去コンテンツを活用し、高齢者向け施設のレクリエーションプログラムを簡単に作成できるサービスを構想していました。
高齢者施設では、日々のレクリエーションのために職員がネタを考え、準備する必要があります。「この日はどんな出来事があったか」といった過去の記事を使えば、入居者の方が青年期を過ごした時代の話題を拾うことができ、会話が生まれやすくなるという発想です。
ご依頼の目的は、拡販ではなく新規事業としての筋の良し悪しを検証することでした。
選定にあたっては、以下の点をご評価いただきました。
- 同社での既存プロジェクトにおける支援実績
- 新規事業の検証を目的としたテストセールスの経験
クライアントの課題としては以下の通りです。
2-1. 課題は存在するが、有料で解決するニーズがあるかが不明
レクリエーションのネタ切れや準備の負担が現場にあることは、事前の調査からも明らかでした。しかし、課題があることと、お金を払ってでも解決したいと考えることは別です。
「困ってはいるが、なんとか自分たちでやっている」という状態にとどまるのであれば、事業として成立しません。この見極めが検証の主目的でした。
2-2. 介護現場は多忙で、新しい仕組みの検討自体が難しい
介護施設の職員は日々の業務に追われており、新しいサービスを検討する時間そのものが確保しづらいという前提があります。良い提案であっても、検討のテーブルに乗らない可能性がありました。
2-3. 施設の予算構造上、レクリエーションへの支出余地が読めない
介護施設の予算は、人員配置や設備に優先的に配分されます。レクリエーションのコンテンツに対して、どれだけの支出余地があるのかが、事前には見通せませんでした。
3. 実施した3つの営業戦略
3-1. 【戦略①】「課題の有無」と「支払意思」を分けて検証する
テストセールスの設計として最も重要だったのが、この2つを混同しないことです。
- 課題の有無:レクリエーションの準備に負担を感じているか
- 支払意思:その負担を、費用を払って解決したいと考えるか
課題の有無だけを聞けば、多くの施設が「困っている」と答えます。しかしそれは事業の成立を意味しません。会話のなかで、実際の予算感と検討の主体まで確認する設計にしました。
3-2. 【戦略②】施設の種別・規模でセグメントを分け、反応の差を比較する
また、一律に当たるのではなく、施設の属性ごとに反応を比較しました。
- 施設の種別(入居型・通所型など)
- 運営規模(単独施設か、複数施設を運営する法人か)
- レクリエーションに専任の担当者を置いているかどうか
特定のセグメントであれば成立する可能性がないかを確かめるための分割です。全体としてニーズが薄くても、特定条件下で成立するのであれば、事業の設計を変える余地があります。
3-3. 【戦略③】お断りの理由を分類し、事業判断に使える形で整理する
テストセールスの成果物は、アポイントの件数ではなく判断材料です。
- 「必要性を感じない」のか「予算がない」のか「決裁の主体が別」なのかを分類
- セグメントごとに、どの理由が支配的かを集計
- 現場で実際に語られた言葉を、そのまま報告に残す
これにより、なぜ成立しないのか、どこを変えれば成立しうるのかを、推測ではなく実際の反応にもとづいて提示できる状態にしました。
4. 導入効果
- 短期間の検証で「課題は存在するが、有料化のニーズは限定的」という結論を提示
- 追加の開発投資や人員配置を行う前に、事業の筋を見極める判断材料を提供
- セグメント別の反応とお断り理由の分類を成果物として提出し、「課題がある」ことと「対価を払う」ことの差を、実際の顧客の声で示した
- 撤退という判断を、感覚ではなくデータにもとづいて行える状態を実現
5. よくあるご質問(FAQ)
Q. テストセールスの目的は、受注を獲得することではないのですか?
A. 受注が取れればもちろん望ましいのですが、テストセールスの本来の目的は事業として成立するかどうかを見極めることです。成立しないという結論も、追加投資の前に得られれば十分に価値があります。本事例は、まさにその判断材料をご提供したケースです。
Q. 結果がネガティブだった場合でも意味はありますか?
A. あります。新規事業でコストが大きくなるのは、筋の悪い方向に投資を続けてしまった場合です。早い段階で「このままでは成立しない」と分かれば、撤退するにせよ、設計を変えて再挑戦するにせよ、意思決定の質が上がります。
Q. 「課題がある」ことと「お金を払う」ことの差は、どう確かめますか?
A. 会話のなかで、予算の所在と決裁の主体まで踏み込みます。課題の有無だけを聞けば多くの相手が「困っている」と答えますが、それは事業の成立を意味しません。実際にいくらの予算が、どこから出るのかを確認するところまでが検証です。
Q. どのくらいの期間で結果が出ますか?
A. 商材とターゲットの母数によりますが、数か月単位で一定の判断材料をご提供できます。重要なのは期間の長さよりも、検証の設計です。何を確かめれば判断できるのかを事前に定義しておくことで、短期間でも意味のある結論を出せます。