営業やマーケティングの用語としてBANT条件という用語があります。最近は、BANTCなどと呼ばれますが、営業先の情報・状況を把握することで成約率は飛躍的に向上します。BANTCを正しく把握することが、長期的な営業成果を大きく左右すると言っても過言ではありません。

今回は、そんなBANTCの基礎知識から、どのようなメリットがあり、活用する際のポイントなどをまとめて解説しました。BANTCに関する知識を高めて、営業活動で成果を出せるようになりましょう。

BANTCを理解するための基礎知識

BANTCは、商談の際に相手にヒアリングしておくべき5つの情報をまとめたものです。主に法人営業の際に使われるケースが多くなっています。この項目では、BANTCを理解し、活用するための基礎的な知識を解説しますので確認しましょう。

BANTCとは?

BANTCの【BANTC】は

【Budget(予算)】

【Authority(決裁権)】

【Needs(必要性)】

【Time Frame(導入時期)】

【Competitor(競合)】

この5つの文字の頭文字を取った用語です。

売り込みたい商品やサービスがある場合、取引先で予算が確保されていなければなりません。予算がどのくらいなのか把握したうえで、導入の決定権を持つ人間が誰なのかを確認する必要があります。

さらに、取引先が持つ必要性を理解し、導入がいつ頃になりそうか予測し、最終的に商品を売り込んでいくのです。この一連の流れが、BANTCを使ったヒアリングになります。

BANTCが必要になる理由

営業活動で重要になるのは、クライアントの見込度の確認です。営業担当者の勘も必要にはなるのですが、それだけに頼っていてはいけません。営業活動で成約を取るためには、勘以上に見込度を具体的に判断できる基準が必要になるのです。

BANTCを活用すると、クライアントの見込度をより明確にできます。BANTCの5つの要素のうち、どれが欠けても成約には結びつかないでしょう。クロージングをかける際には、BANTCがすべてクリアされていることを明確にしなければなりません。

営業担当者が、決裁権を持つ人間にプレゼンをして、相手のニーズを確認したとしても、予算の中に組み込まれていなければ、成約には至らないでしょう。逆に予算が取れたとしても決裁権のある人間から承認を得られなければ、話はストップしてしまいます。

さらに、企業として商品やサービスの導入の必要性がなければ、こちらも成約には至らないでしょう。商品やサービスの導入時期や競合の存在も重要になってきます。BANTCを確認し、成約の見込度合いを把握しておく必要があるのです。

BANTCで得られる2つのメリット

BANTCを活用すると、どんなメリットがあるのかは、ビジネスパーソンなら気になるところです。そこでこの項目では、実際にBANTCを活用すると得られるメリットを2つに絞り、それぞれ解説していきます。

成約基準を明確にできる

BANTCを活用すると、成約基準を明確にできるでしょう。商談する相手によって、成約までのプロセスというものは変わってきます。この時、BANTCを活用し、課題を明確にしておくと、案件ごとにどんな対応をすればいいのかがハッキリするようになるのです。

対応の方法さえ判れば、受注につなげるのが容易になり、商談相手に対し、より精度の高い提案や、案内を行えるようになるでしょう。

チーム全体の成約率向上につながる

BANTCを通した情報共有も大切になってきます。なぜなら、情報共有ができると、チーム内で情報を円滑に広められ、全体の成約率が向上するためです。BANTCに対する認識を各営業チームで共有し、すり合わせておくとさらに効果的に営業活動を進められます。

例えば

「A社はこの商品の必要性を感じていないから、同業他社の事例を見せてみよう」

「B社は決裁者が欠けているから、次回の商談の際は決裁者も同席してもらおう」

など、各営業チームで話を合わせられるようになるでしょう。これが、チーム全体の営業成績の向上に繋がっていくのです。

プロセルトラクションがBANTCを活用するサポート

この記事でBANTCの概要は説明していますが、新規事業のビジネスでBANTCを活用し、成約を取るのはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたインサイドセールスのご提案から実践までサポートしています。

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BANTCを法人営業に活用する5つのポイント

BANTCを活用するためには、BANTCを構成する5つの用語

【Budget(予算)】

【Authority(決裁権)】

【Needs(必要性)】

【Time Frame(導入時期)】

【Competitor(競合)】

これらをすべて正確に把握しておく必要があります。この項目では、上記で紹介した5つの用語をそれぞれ解説し、BANTCを法人営業に活用するためのポイントをまとめていきますので確認しましょう。

[Budget]予算を聞き出す

営業で成約を取るためには、早い段階で取引先企業の予算がどのくらいなのか把握しなければなりません。なぜなら、いくら良い提案をしたとしても、予算の面で導入が難しければ意味がないからです。

予算は最初の段階で聞き出すのが難しい質問でもあります。そのような時は

「提案の内容を反映させますので、10万円台か100万円台か、それ以上でも可能かどうかお聞かせ願えますでしょうか?」

などと、相手の希望予算に沿った提案をしていく気持ちをみせると、相手も予算について話しやすくなるでしょう。

[Authority]決裁権を持つ人を確認する

商談では決裁権のある人間が誰なのか、正確に把握しておく必要があります。なぜなら、決裁権を持たない担当者と話し合いを重ねていても、最終的な成約には至らないためです。スムーズに商談を進めるためには、決裁権のある人間に直接プレゼンテーションしなければなりません。

仮に、決裁権の持たない人間との商談であっても、決裁権のある人間と同席の機会をもらえるように工夫する必要があります。相手が決裁権があるかどうか判断するのは難しいのですが、具体的には

「このくらいの金額になると、上席の方の承認が必要になりますか?」

「今度の検討材料にするための資料をお持ちしたいのですが、承認フローはどのようになっているでしょうか?」

など、自然の流れで聞き出せるようになると、効率的な商談ができるでしょう。

[Needs]必要性を探る

自社の商品やサービスが、相手の抱えている問題解決のために必要なモノでなければ成約には至りません。なぜなら、ニーズとマッチングしていなければ、いくら商品が良くても購入してもらえないためです。ヒアリングをして相手のニーズを正確に把握しておくと効果的です。

例えば「グループウェアの導入をしたいのだけど」という声があったとしましょう。この時「社内での情報共有が上手くいかないため改善の方向に導きたいという意味でしょうか?」などと、どうして必要だと思ったのか、その理由を探っていき、必要性を引き出すのが1つのコツとなります。

[Time Frame]導入時期を定める

営業活動を行っていると「導入時期はまだ未定です」などと言われるケースがあります。これは逆にチャンスと考えるといいでしょう。具体的な返し方としては

「〇月頃には導入しておくといいかもしれませんよ」

「〇月までに△△する形はどうでしょうか?」

このように、こちらからスケジュールを提案していけばいいのです。スケジュールを設定し、商談を進めていくのは、法人営業では必須のスキルになります。スケジュールが決まっていない場合でも、提案をしながら導入時期を決められるように、サポートするのがポイントです。

[Competitor]競合の存在を調べる

営業活動を行っているのでは、自社のみというケースはあまり多くありません。顧客のもとには、同じような商品やサービスを提供している競合他社が、営業をかけている可能性も充分に考えられるのです。

競合は主に2つに分けられます。具体的には、直接的な競合と間接的な競合の2つです。同種類の商品やサービスを売っている他社は、基本的に同じ業界でしのぎを削っているため、直接的な競合相手といえるでしょう。

これに対し、間接的な競合の存在もあります。取り扱っている商品やサービスの種類は違うのだけど、問題解決のための効果が同じである場合は、間接的な競合が営業をかけている場合があるかもしれないのです。

特に間接的な競合の存在を意識する必要があるでしょう。なぜなら、間接的な競合に気を配れないと、顧客のニーズの本質を見逃しているケースが多いからです。間接的な競合を把握しないと、いつの間にかニーズがなくなっている事態になりやすいため注意しましょう。

事前に競合の存在をリサーチするようにすると、より一層顧客に対し、丁寧なヒアリングができるようになり、営業を活動を上手く進めるための参考にもなります。特にニーズの中で顧客がどんな点を優先しているのかが判るようになるので、競合のリサーチは必須です。

BANTCが揃わないと起こる5つの問題

BANTCは、1つでも条件が欠けてしまうと効果を発揮しません。この項目では、BANTCを構成する5つの条件が欠けてしまうと、どのような問題が発生するかをそれぞれ解説していきます。

[Budget]が揃わないと商談が先延ばしになる

いくら商談相手が自社の商品やサービスに関心を持っていたとしても、予算が足りなければ商談は成立しないでしょう。関心が非常に高かった場合であれば、次年度に再検討してもらえる可能性もありますが、通常は商談自体が破談になってしまいます。

事前に予算を丁寧にヒアリングしておくといいでしょう。予算が成り立たないのであれば、その商談は無駄になってしまいやすくなるので、早々に撤退し、別の確度の高い商談に時間を割くようにすると効果的です。

[Authority]が揃わないと最終決定を否決されやすい

仮に予算が十分にあり、自社の商品やサービスに関心が高い状態であっても、商談相手に決裁権がなければ商談は成立しません。交渉成立には、決裁権のある人間にいかにアプローチできるかがカギになってきます。

最終決定を否決されないためにも、決裁権のある人間は早めに把握しておき、その人物に直接自社の商品やサービスのプレゼンテーションができるようになると、商談は上手くまとまりやすくなるでしょう。

[Needs]が揃わないとニーズが合わず成約に至らない

予算をクリアし、決裁権のある人間にアプローチできたとしても、自社の商品やサービスが、相手企業のニーズに合っていなければ、購入してもらえません。相手側のニーズを見極め、課題を正確に確認しなければ、営業活動は上手くいかないでしょう。

相手企業の課題をクリアできるような、商品やサービスを提案し、それらをマッチさせなければなりません。相手のニーズに沿った商品やサービスを提案できれば、商談の成約率はグッと高くなります。

[Time Frame]導入時期が定まらず失敗する可能性がある

商談相手に予算があって、決裁権のある人間にもアプローチできて、尚且つ商品やサービスの必要性を感じ取ってもらえても、導入時期が合わないと成約には至りません。

導入可能時期は必ず確認するようにして、相手に時間的な余裕がない場合は、いつ頃なら可能なのかを聞き出し、スケジュールの調整をする必要があります。仮に導入時期が今はないと判断された場合、それ以降は無理な提案はしないで、直近で検討している別の顧客へアプローチする方が合理的と言えるでしょう。

以上のように、BANTCは1つでも欠けると商談が不成立になってしまうため、それぞれの条件をもう一度確認し、正確に把握しておくと商談を効率的に進められます。

[Competitor]競合を上回らなければ失注の恐れがある

競合の存在があるというのは、顧客が本気で商品やサービスの導入を検討している証です。本気度が高いからこそ、競合の商品やサービスも検討するのでしょう。自社の商品やサービスを買ってもらえる可能性がある一方で、競合を上回らなければ失注の恐れがあるわけです。

仮に競合の提案力が予想以上に高い場合、自社を選んでもらえず失注につながるケースもあるかもしれません。特にコンペなどで特定企業に対し勝率が極端に低かったとしましょう。この場合、競合の提案内容や商品やサービスの特徴などを、顧客から教えてもらえるといい勉強になります。

顧客から競合の情報を聞き出すのは難しいかもしれませんが、関係性がある程度構築されているのであれば、教えてくれるケースもあるでしょう。潔く勉強をして、次は競合を上回る提案ができるように努力を重ねていけばいいのです。

いずれにしても、競合を上回る提案ができなければ失注の恐れがあります。事前によくリサーチを重ね、顧客の抱えている問題やニーズを正確に把握し、顧客の目を惹くような提案ができるようになりましょう。

BANTCを適切に揃えて営業で成果を残そう

BANTCの活用は、営業活動を有利に進めるために重要になってきます。しっかり活用できれば、自社の商品やサービスを売り込みやすくなりますし、成約率の向上にもつながっていくでしょう。

今回の記事では、営業成果を上げるために必要なBANTCに関する基礎知識や、活用するメリットとポイント、BANTCが揃わなかった時はどうなるのか、など幅広く解説してきました。本記事を参考にして、営業活動で成果を残せるようになりましょう。

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