近年、利用が高まっている営業リソース活用方法の一つにフリーランスの営業代行があります。活用する企業にとっては、フリーランスの営業代行を活用することで、人材や営業ノウハウの不足を解消し、利益を最大化させられる可能性があります。

一方で、専門の営業代行会社ではなく、個人であるフリーランスの営業パーソンに業務を依頼することに対し、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ営業フリーランスは、費用面も比較的安くおさえられ、繁忙期だけ人員を増強できるなど使い方次第で大きな強い味方となるでしょう。

この記事では、フリーランスの営業代行の概要やメリット・デメリットについて紹介します。企業が依頼する場合の依頼方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスの営業代行とは?

近年、営業代行を請け負う個人の営業パーソンが増えています。まずフリーランスの営業代行が増加している理由について考察したうえで、営業フリーランスの概要について紹介します。

フリーランス営業代行とは、企業が個人の営業パーソンに営業業務を委託する契約形態です。

外部から営業人員を調達する点で「営業派遣」と似ていますが、営業派遣は依頼元のオフィスで指揮命令を受けて業務するのが一般的。対して「営業代行」では依頼元が細かな指揮命令を行いません。独自にセールス活動を行い、製品の成約やアポイント獲得など事前に取り決めた成果を出すのです。

フリーランスの営業代行が増加している背景

フリーランス実態調査結果」(内閣官房・2020年)によると、フリーランスの人口は約462万人(本業214万人/副業248万人)です。その後、同じ方式での調査がないためフリーランス人口の増減は比較できません。ただし、クラウドソーシングサービスの登録者や取引件数などが増えていることからフリーランス人口は増加していると言えそうです。(2021年12月現在)

フリーランスの中で、営業代行を担う人が増えていると推測され、その背景には次の要因が考えられます。

  • クラウドソーシングやマッチングサイトなど、個人が営業力を提供できるプラットフォームが増えた
  • 副業をはじめ個人の多様な働き方が認められるようになった
  • 営業職の労働人口は減少を続けていて、企業側に営業代行のニーズが高まっている

フリーランスという働き方を選ぶ人が増えている一方、企業としても新たに社員を雇用するよりも手軽に営業力を増強できるため、営業フリーランスの活用は時流にマッチした手段だと言えそうです。

フリーランス営業代行を利用する企業のメリット

フリーランスの営業代行を効果的に活用することの企業側のメリットを見ていきます。これから営業代行を活用しようと考えている企業は、メリットを意識すると活用の仕方がイメージしやすくなるでしょう。

営業人員の確保

営業活動を強化したいのに、社内の人員不足や、スキルを持った社員がいないなどのケースがあります。そんなときフリーランスの営業代行を依頼すれば、契約締結後すぐにでも営業活動がスタートできます

また、遠方にいる顧客、見込み顧客に対してアプローチする際にもフリーランスの活用は効果的です。営業フリーランスは地域を問わずに全国に点在しています。そのためオンラインセールスならば、住まいは問題になりません。また顧客のそばに居住するフリーランスを雇えば「直接会って商談したい」ケースに対応もできるでしょう。気軽に営業エリアを広げられるのです。

スキルの高いプロに依頼できる

営業スキルが高く成果につながるプロフェッショナルと契約できるかもしれません。

営業フリーランスの中には、企業での営業経験やマネジメント経験の豊富なプロも多く活躍しています

  • マッチングサイトで経験や保有資格によって絞り込んで検索
  • 募集の際に歓迎要件・必須要件を記載し、欲しい資質を明示

などによって、自社のニーズにマッチした人材に巡り合える可能性が高まります。

営業代行会社と契約する際は通常、個々の営業スタッフのスキルまでチェックするのは困難です。しかし、フリーランス営業は「その人が一人で」営業に関わるため、直接チェックできるでしょう。

自社に教育のノウハウがないときや教育のための時間を確保できない場合には、「即戦力」スタッフのニーズは大きいでしょう。

また、テレアポのようにやってみるまでスキルの高さを判断しづらい場合は、成功報酬を設定すると企業側のリスクを軽減できます。

人件費の削減

一般的にフリーランスの営業代行は人件費のコスト低減につながるでしょう。

社員を直接雇用したときと比較すると、福利厚生(各種保険・年金・住宅手当など)の負担が不要です。また、仕事量に応じて労働時間を設定可能なので、過不足なく仕事を依頼できるという点でもコスト削減に効果的です。

またフリーランスと直接契約を結ぶため、営業代行会社や営業派遣と異なり中間マージンも発生しません。クラウドソーシングやマッチングサイトには仲介手数料が発生するものの、それでも企業への契約より低額になることが多いでしょう。

タイミングに合わせた依頼が可能

特定の忙しい時期だけ業務依頼が可能です。

新商品発売・広告掲載・メディアでの特集など、一部のタイミングのみで受注や問い合わせが増加するケースもあるでしょう。また季節商品などは、基本的に販売・営業の繁忙期は決まっています。

需要変動をリスクとして捉えると、フリーランスの営業代行は理想的な解決策の一つであると言えるでしょう。直接雇用ではないので、期間限定の契約も可能です。

フリーランス営業代行を利用する際の注意点

フリーランスの営業代行を利用する際には、注意点もあります。

注意点を理解したうえで仕事を依頼することにより、予期せぬトラブルや損失を未然に防ぐことにもつながります。

ルールの作成が必須

ルールを記した契約書を作成し、委託業務の開始前にフリーランスとの契約を締結しましょう。委託したフリーランスが、企業の意向を守らずに営業活動を行うと顧客からの信用低下を招く可能性もあります。

前提として誠実かつ熱意のあるフリーランスを選ぶことはもちろん大事ですが、こちらが依頼した通りに仕事が行われるように一定のルールを作成して守ってもらう必要があります。

主要なクラウドソーシングやマッチングサイトでは、サービス会社が契約フォーマットを用意しています。ひな形に沿って契約するだけで一定のルールを課せます。ただし、どのような契約になっているかは自身の目でも必ず確認した方がよいでしょう。

また情報漏えいを防ぐために、秘密保持契約(NDA)も結んだ方がよいでしょう。自社の営業ノウハウや顧客情報の持ち出しや悪用を抑止するためです。

マニュアル整備が必要

リスク回避のため、トークスクリプトや禁止事項などマニュアル作成は不可欠です。依頼したフリーランスが、知識不足などで意図せずに自社利益に反する営業活動を行ってしまう可能性があるからです。

企業によって仕事の進め方や案件獲得のために注意すべき点は異なります。以前に業務委託した経験のある人、また資格保有者に依頼する場合でもマニュアルを読み込んでもらうようにしましょう。

また「どこまでマニュアル化するか」の線引きが重要です。

規定が細かすぎると、営業パーソンはマニュアル把握のために時間がかかるため、営業時間が削られてしまう懸念があります。一方、マニュアルに漏れが生じると、「マニュアルに書いてないため、フリーランス側の責任ではない」となり効力を発揮できません。

スキルの見極めが難しい

個々の営業パーソンのスキルを正確に見極めるのは困難です。

過去の営業実績や資格の保有状況を参考にし、書類選考や面接を行いますが「実際に稼働してみたら期待外れ…」ということは起こり得ます。求人のハードルを上げ過ぎて、まったく紹介や応募が上がってこないケースもあるでしょう。

対策として以下のようなことが考えられます。

  • 募集の際に、過去の仕事の実績や体験談を詳しく記載してもらい、厳密に選定をおこなう
  • 営業力による差が生じにくいように、周到なトークスクリプトを作成する
  • テストとして短期間依頼をしたうえで、本格的に依頼するかを見定める
  • 研修を実施し、底上げを図る。研修終了時に水準に達していない人員は入れ替える

まず企業側としては、営業パーソンがもつ能力が最大限に発揮される環境を整えることが重要です。スキルによる結果のばらつきを低減し、ミスマッチの可能性も少なくできるでしょう。

委託する業務の切り分けが必要

営業活動のどの部分を委託するか、見極めた上で業務を切り分ける必要があります。

フリーランスに限らず営業代行には、営業活動を部分的に依頼するケースが一般的です。営業の業務内容は幅広く、委託すべき業務、自社で行うべき業務は会社によって異なるでしょう。

一般的に営業フリーランスへの委託が多い業務は、以下の例が挙げられます。

  • 見込み顧客に対するテレアポやメールの送付
  • メールやフォームで問い合わせをしてきた人へのリアクション営業
  • BtoC型で個人をターゲットとしたフルコミッション型営業

一方で、営業フリーランスにマッチしづらいのは次のような例があります。

  • 高度な業界知識を前提とした営業(業界経験者以外の参入が難しい)
  • アタックリストが極端に少ない(ニッチな業界・商材)
  • 販売単価が安い(営業のコミッション単価も低くなる)

営業代行会社ならば、業界知識のある人材をアサインする、アタックリストの作成も得意などの特徴があります。個人で活動するフリーランスは自身以外のパワーがないので彼らが得意業務に専念できる状態を作るのがよいでしょう。

自社の業務フローを点検して、どの業務がフリーランスに適しているのかを判断する姿勢が大切です。

業務報告を過不足なく受ける

業務報告を過不足なく受けることは、営業活動そのものと同じくらい重要です。

一般的な業務報告では以下の内容を行います。

  • 営業パーソンが自社の規定に沿っているか確認
  • 得られた成果について自社に円滑に引継ぐ
  • 顧客から聞いた「声」を共有する
  • 営業内容や活動方針について、必要に応じたフィードバックの実施

的確な報告を受けるためには、営業パーソンに過度の負担をかけない仕組みを導入すると良いでしょう。売上や成約件数、稼働時間を、数値だけ入力すると自動計算されるフォーマットなどの用意は必須です。

報告業務に手間がかかると、双方にとってストレスとなります。正常に稼働している営業パーソンからの報告には、接した見込み客の「生の反応」など、有益な情報が含まれています。

必ず報告を受けるとともに、彼らの成果がより上がるような適切なフィードバックも心掛けましょう。

プロセルトラクションが営業代行の活用をサポート

この記事でフリーランスの営業代行を活用する方法は理解できますが、それを自社に当てはめることはかんたんではありません。プロセルトラクションではあなたの会社にマッチした営業方法のプランニングから実践までサポートしていますので、お悩みの方は是非一度ご連絡ください。

まずは話を聞いてみる

フリーランス営業代行の求人の流れ

企業が、フリーランス営業代行を使って仕事を依頼する際の流れは、以下の通りです。

  1. 社内でのマニュアル・ルール作成

外注する業務内容が決まったら、ルール、マニュアルを作成します。トラブルを防ぎ、営業フリーランスがスキルを最大限発揮してもらえることを意識して、分かりやすく漏れのない文書を作ります。

社内の複数によるチェックを経て、必要に応じて社外の専門家チェックを加えるとよいでしょう。

  1. 募集プラットフォームや媒体の選定

新規依頼の場合には、自社の「理想のフリーランス」と巡り合えるプラットフォームを選定します。

プラットフォームや募集媒体によって、登録者数や強みなどが異なるため、自社のニーズにマッチした媒体を選定しましょう。フリーランスの営業代行に特化したプラットフォームを使用すると、募集時に営業に特化した条件設定が可能です。

仕事内容や報酬を詳細に記載すると、応募件数の増加が期待できます。初めてのフリーランス営業代行を依頼するときはとくに丁寧な記載が重要です。

  1. 営業代行者の選定+契約

応募者の中から、委託する営業代行者を選定し、契約します。

書類選考、面接では人柄、スキル、実績のほか、自社との相性もチェックするとよいでしょう。仲介のプラットフォーム上で契約書を交わして、具体的な業務の流れについて打ち合わせを進めましょう。

フリーランス営業代行の依頼費用相場

営業代行の費用相場は、扱う案件の単価や業務内容によって相場が異なります。条件によって変動があることを前提としたうえで、費用相場を紹介します。

<固定報酬>
  • 1日あたり2.5~3.5万円
  • テレアポ(コールのみ)…1件あたり50~100円
  • DM(メール・郵送のみ)…1件あたり10~50円

<成功報酬>

  • 成約   … 販売額の20~50%
  • アポ取得 … 1.5~2万円

※テレアポやDMを代行する場合、後日に資料請求などアクション・反響があったとき、別途成功報酬が発生するケースがあります。

最近は、固定報酬と成功報酬を組み合わせたタイプも増えています。一般的に、商材の専門性が高いときや獲得難易度が高いものほど、費用相場が高くなる傾向があります。

まとめ

フリーランスの営業代行を活用すれば、自社のリソースが不足していても見込み顧客へアプローチできます。効果的に活用できれば、コスト削減・人手不足の解消をしつつ、売上拡大も期待できます。

フリーランスならではの難しさもあります。よい人材に巡り合えずに頭を悩ませている企業もいるでしょう。ただクラウドソーシングやマッチングサイトなどが発達し、着実に成功率も上がっているようにも感じます。

自社の営業リソースや営業コストなどに課題を感じている企業の方は、フリーランス営業代行を活用してみてはいかがでしょうか?

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