自身の磨いてきた営業スキルを活かして「フリーランスや個人事業主として独立したい」と考える人が増えています。当然、自分自身で営業としての実績をアピールして仕事を獲得することが欠かせませんが、マッチングサービスも充実してきました。
「営業人材が足りない」と考える企業は多く、しかし「雇用して育成まで自社で行うのは躊躇する」組織も多いものです。こうした企業からすれば、業務委託として自社の売上拡大に貢献してくれる営業フリーランスは心強いパートナーとして魅力的に映るでしょう。
この記事ではフリーランスが企業の営業代行を受託して活躍するための活動を解説します。
この記事の目次
フリーランス・個人事業主が行う営業代行の業務
営業代行とは、企業の代わりにさまざまな営業活動を行うことです。営業代行専門の会社もありますが、フリーで活動する営業フリーランスも最近は増えてきました。
営業代行を受託する側の仕事には、主に次のような業務があります。
- 見込み客へのアプローチしアポイントを獲得する(テレアポ)
- 見込み客に直接訪問またはオンラインでセールスしてクロージングする
- 既存客へのフォロー、次の仕事の受注をはかる
- セミナーやイベントを行う際の集客サポートや運営準備
- リファラル営業を行い、友人や個人的なつながりのある人へ商品を販売する
- 営業戦略を企業のマネージャクラスと一緒に考案する
フリーランスの場合、自分自身が商品となるので、上記に挙げたような具体的な業務をできることを示さなくてはなりません。
自動的に仕事が舞い込んでくる売れっ子でなければ、過去に営業パーソンとして自身が残した実績を明示する必要があるでしょう。
企業がフリーランスに営業代行を依頼するメリット
企業側が、営業を専門とする組織ではなくフリーランスに業務を発注するメリットを解説します。
今は売上がまだ十分にあげられなくても、営業代行の活躍次第で将来の売上をアップさせられる可能性があります。
すぐにスポットで業務を依頼できる
フリーランスや個人の魅力は、フットワークが軽いことです。専門の営業代行会社もスピード感をもって業務にあたる企業が多いものの、組織として動くのはどうしても意思決定や社内手続きなどに時間がかかります。
初めての取引の際には秘密保持契約など書面の取り交わしに多少の時間が必要と予想されますが、個人なら企業相手と比べてもスムーズに手続きが進むと期待できるでしょう。
初期費用を抑えられる
個人単位で、しかも短期間のみの依頼も可能です。また営業代行企業に比べると、直接個人に報酬を支払うほうが平均単価も抑え目で済みます。
代行企業によっては、「最低でも数か月」「総額100万円」以上などの最低保証を求められる場合もあります。一方で、個人のなかにはクライアント側の要望に沿って案件をカスタマイズできる人もいるため、初期にかかる費用を抑えたいと考える企業にはおすすめです。。
時間の短縮化、本来の業務に専念できる
営業代行に依頼することで自社が別の業務に専念できるため生産性が高まります。
営業代行フリーランスのなかでも、上で示した業務のうち複数を一人で引き受けられるなど多彩な能力と豊富な経験がある人は、広範囲の仕事を任されるため企業からも重宝されるはずです。
VoC(顧客の声)を吸収できる
企業の規模や取り扱う製品の内容によらず、顧客の声を収集することは重要です。
Voice of Customer(=VoC)と呼ばれ、何が評価されているのか、それはなぜなのかなど「生の情報」が得られるため、商品改良のヒントにもつながります。ただし自社の顧客が多くても、営業の手が回らなければ直接声を聴く回数は増えません。
その点、フリーランス営業代行に多くのお客様と接点をもつことで、本当の評価を引き出すことも可能です。
こうした自社のパワーを投下せずにVoCが得られ自身の能力をどのように表現すればより評価が高まるか、ブランディング戦略にも生かせるはずです。
フリーランスが営業代行の業務を行う際の注意点
営業代行を行ううえで気をつけたいのは受注の見通しが立ちづらいことです。営業の難しさとして、顧客が迷い始めると商談が長期化してしまうリスクがあります。導入時期を、営業側がコントロールするのは困難です。
以下では、フリーランス営業代行にとっての注意点を解説します。
受注の見通しが把握しづらい
成約時期を完全にコントロールするのは困難です。やがて成約に結び付けば問題ありませんが、商談が長期化して結果的に失注した場合には、期待されたインセンティブ収入が得られません。仮にフルコミッションの契約を結んでいれば、惜しい商談も時間と手間がかかった案件もすべて収入ゼロになってしまいます。
また企業側も受注できそうか、営業は順調なのかが気になるため、定期的な報告が求められます。甘い見通しを伝えると過度に期待されてしまい、過度に厳しめの報告を行うと「正しく活動していないのでは?」と疑念を持たれてしまいかねません。
軌道に乗るまではコミュニケーションを取りながら適切なバランスを探る必要があります。
顧客の社名を名乗る場合には細心の注意が必要
契約形態によって異なりま名乗る営業代行として個人の名前で営業活動を行う場合と、依頼元の社名を名乗って営業するケースとがあります。
顧客の社名を名乗る際には、他社の看板を背負っているという自覚が必要です。とりわけ新規セールスでは、営業に落ち度がなくても相手が気分を害するとクレームなどにつながってしまう可能性があります。
個人でセールスする時とは責任の範囲が異なるので、過度なセールスは控えるなど一層の注意が必要です。
契約が途切れる可能性は常にある
個人でフットワーク軽く営業代行する存在は、企業側からすれば依頼しやすい反面、カットしやすい対象でもあります。
・営業代行として十分なパフォーマンスを残せていない
・自社で営業人員を採用することになった
・営業戦略を見直して外注をストップすることになった
…など、短期間で方針が根本的に変わるケースもあるでしょう。
常に営業結果を出し続けることで、顧客から必要とされる存在になるポイントです。
インサイドセールス人材の需要が増えている
インサイドセールスは年々需要が高まっていますが、人材の供給が追い付いていません。一方でインサイドセールスは、勤務地の制約を受けずに働けるためにフリーランス人材からの人気も向上しています。
スキルさえあれば業務受注できる
フリーランスでインサイドセールスを行うのに必要なものは、電話とPC、インターネット環境のみです。
インターネットツールが必要なケースもありますが、無料で利用できるツールも豊富にあり、有料の場合も依頼主からアカウントを支給されるのが一般的なようです。したがってワーカー側の負担になることはないでしょう。
自宅にいながら働けるスタイルなので、費用も手間もかけずに仕事をスタートできます。
ただしインサイドセールスが未経験でも、少なくともフィールドセールスの営業経験は求められることが多いでしょう。
ライフスタイルに合わせて働ける
フリーランスは働き方の自由度が大きいのが魅力とされます。
副業として収入を増やす、育児・介護との両立を図るため自宅で働くなど、個人の事情に合わせた働き方が可能です。また、スキルや経験次第では、単価を高く設定し収入アップを狙うこともできるでしょう。
電話営業のように、相手に時間を合わせなければならないものもありますが、基本は場所も時間も自分で選べます。
営業パーソンとしてスケールアップできる
フリーランスとして仕事を受注することで、実績や興味・関心を活かして自身が得意なフィールドで幅広く活躍できます。
また、フリーランスのインサイドセールスとして実績を残せれば、その次の仕事をさらに獲得しやすくなります。実績を重ねるほどに受注数や収入額は安定、向上するでしょう。
受注から業務開始までの具体的な流れ
営業代行フリーランスとして、クライアントの意向を受けながらよい成果を上げるには、実際の業務の流れを知っておくことが大切です。発注元と営業代行はパートナーであり、業務開始前に発注元のチェックが必要なこともあるでしょう。
主に次のような業務フローが想定されるので、順番に確認していきます。
ヒアリング・レクチャー
最初に行われるのは業務のレクチャー・ブリーフィングです。営業代行側が主導する場合はヒアリングとも言われます。
商品の情報、獲得してほしい顧客の種類、期限、価格なスキルなどを発注元が定義します。
他にも競合となる企業の情報、普段の営業先の探し方、導入実績、値引きの可否や希望金額なども欠かさずに聞きましょう。
契約内容の確認
固定給や出来高(インセンティブ)の条件提示を受け、その後、業務委託契約を結びます。開始時期や報告方法、スケジュール、営業体制などは必ず確認しておきます。
契約を取り交わして以降は、直接面談する機会は多くないかもしれません。しっかりとこちらの熱意、成約に向けたイメージを今一度伝えるとよいでしょう。
事前準備:チーム編成やセールスツールの支給
発注元の窓口や営業責任者らが、営業を行うセールスパーソンに対しツールを支給します。契約書の文面、契約後の事務手続きなどは確認しておくとよいでしょう。
1つの案件で複数名の営業フリーランスが同じチームを作ってプロジェクト化されるケースもあります。ただし、あくまでも個人として営業結果が問われるのがフリーランスの世界です。
営業実行:初期はまめなチェック体制を作る
営業代行がアポイントを獲得して、実際に見込み客を訪問し商談することになったら、当初は発注元の社員に同席してもらうパターンもあります。実際の営業場面を見てもらい、互いの認識のズレを減らせます。こちらが周到な準備を行い、熱意あるセールスを行っていれば、当然ながら発注元からの評価も高まるでしょう。
発注元のマネージャクラスが顧客にどのような質問を投げるかなども、よく観察してください。
フィードバック内容を報告する
営業件数を重ねてくると、客先から出てくる要望や受注金額などで市場とマッチしている点、ミスマッチな部分も分かってきます。より有利な受注を獲得するためには、フィードバックやアドバイスを発注元に伝えることも重要です。
その結果、製品の改良、受注条件の見直しができれば、売上も上がっていくことが期待されます。
仕事を取れるか、取れないかだけではなく、自身のどんな点を強調すればより有利に事が運ぶかなど、「売り方やブランディング戦略」を一緒に考えてもらうことも有効です。長期的に自身の商品力アップを手伝ってくれる代行企業を選ぶのが重要だと言えるでしょう。
プロセルトラクションが営業代行としてサポート
この記事でフリーランス営業代行の活用方法は理解できますが、実際にすべて一人で業務委託を受けるのはリスクも伴います。プロセルトラクションでは多数の営業フリーランスに業務を発注しています。仕事の獲得に興味のある方は是非一度ご連絡ください。
フリーランス向け営業代行の相場
料金体系としては、固定報酬と成果報酬、両方をミックスしたハイブリッド型の3種類に大別されます。最低金額保証の上で、「固定金額にプラスして、1件売るごとに成果金額」とするのがおすすめです。依頼側と代行企業の間の信頼関係も強くなり、長期的な営業戦略が構築できるでしょう。
中小企業やフリーランス向けの代行企業を選んだ場合の初期費用は5~10万円程度が相場です。加えて、アポイントを取ったら1~5万円程度の成功報酬を支払うこととなります。
アポイント獲得までを目的とした、テレアポ代行では3~5万円程度の予算でスタートできるほか、代行会社によっては1件あたり100円前後という格安のお試しプランを用意している企業もあります。ただ、アポイントを獲得できた場合の成功報酬が設定されているケースも多くあるので、総額がいくらになるか見通しは欠かさないようにしましょう。
「営業フリーランス」におすすめのプラットフォーム
フリーランスの方が営業代行として活躍するケースが増えています。
多いのは、個人が培ってきた営業スキルを使って、企業の依頼を受けて現場に常駐したり、外回りしたりするスタイル。実績のある方だと、営業研修など若手の営業社員に向けた講義を行う仕事もあります。
これから営業代行をスタートしたいというフリーランスの方は、まず専門のエージェントに登録するのが仕事獲得の近道でしょう。
依頼側には「営業代行企業に発注するほど大掛かりではない」ものの、ピンポイントで営業経験が豊富なセールスパーソンを一時的に補強したいニーズがあります。この場合、自然とフリーランス営業に白羽の矢が立ちやすくなるのです。
成果報酬型が多く、フリーランスとしては売った分だけ収入と実績が増えます。比較的気軽に受注でき、やりがいにもつながりやすいでしょう。
こうした企業案件を受注するために、とくに有力な「リファラル営業サイト」を2つ紹介します。
セールスハブ
セールスハブはフリーランス営業と委託先を探したい企業のマッチングを行うプラットフォームです。
審査を通過すると限定的な案件を紹介してもらえる制度があります。
報酬の相場は、アポイント1件獲得で¥10,000~¥30,000程度。また成約したら成約額の5~10%程度が成功報酬というケースが多いようです。会員数、登録企業数とも多く、初めて営業代行をやってみるという方におすすめです。
サイドビズ
サイドビズも同じく、アポや受注などの成果によって報酬が増える仕組みです。
通常は法人でなければ扱えないような高額な商材の登録もあるほか、報酬も1件で¥20,000を超える高額の案件が多いという評判があります。
案件を選ぶ際、自分がやりやすい分野や、都道府県エリアでふさわしい案件を絞る便利な検索機能がついています。「成果が出せる」と思える分野、商材を選ぶとよいでしょう。
まとめ
営業代行のメリットや注意点を、フリーランスの目線で紹介しました。自分自身という「商品」の魅力を最大化するにはプロの客観的な目と、営業の腕を借りるのは重要な一手です。
フリーランスの方こそ、営業代行によるビジネス拡大のチャンスは大きい可能性があります。ぜひ検討、活用してみてください。