嫌われない架電とは、営業トーンを排して業界の関係機関と同じフラットな話し方で接触し、断られても関係を切らさずに再接触の余白を残す架電設計です。「断られないトーク」を磨いてもアポが伸びず、量を増やせばリストが疲弊する──この停滞は、トークの巧拙ではなく関係構築が仕組みとして設計されていないことに起因します。本記事では、ある3ヶ月で受注金額達成率147%、インサイドセールス(IS)全体平均との比較で受注率136%を実現した担当者の運用を、①フラットトーン、②タイミングNGのポジティブ変換、③資料送付ナーチャリング、④TODO駆動の約束履行、⑤量×トーク改善のサイクル、という5つの設計原則で解説します(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)。
最終更新: 2026年8月
この記事の目次
なぜ「量だけ」ではアポも受注も伸びないのか──架電が切られる4つの構造
架電の成果が伸びない組織の多くは、原因を「トークが弱い」「架電数が足りない」に求めます。しかし実際の停滞要因は、「買い手が電話を受けた最初の数秒で何をしているかを設計していない」ことにあります。
量を増やしても受注に繋がらない構造は、次の4つに整理できます。
- 買い手は入電を数秒で分類している──毎日複数本の営業電話を捌くために、買い手は「営業/関係機関/取引先」を瞬時に振り分けており、「営業」に分類された瞬間にほとんどの会話は短時間で終了する
- 全顧客に同じトーンでかけている──「お世話になっております」で入り、ハキハキと用件を伝え、アポ打診を直球で行う運用は、トーンだけで「いつものパターン」と判定される
- 断りが「永遠のNO」として処理される──一度の断りでリストが死に、再アプローチの余地が失われるため、架電量に比例してリストが枯渇していく
- 量と質が二項対立で語られる──量を追えばリスト消費が加速し、質を追えば行動量が落ちてパイプラインが痩せる。どちらかを選ぶ限り停滞は解けない
つまり成果を伸ばすには、トークを磨くことに加えて、「買い手の分類軸の中でどう扱われるか」を設計する必要があります。
買い手が抱えている4つの本音
毎日同じトーンの営業電話を受けている買い手からは、次のような声が繰り返し出てきます。
- 「営業電話とすぐ分かるトーンの電話は、用件を聞かずに切りたい」
- 「忙しい時間帯にハキハキした営業トーンで来られると、心理的に身構える」
- 「業界に必要な情報なら知りたいが、押し付けに感じると話を聞きたくない」
- 「うち今必要ないんで大丈夫です(=今この瞬間の話であって、永遠にNOとは言っていない)」
この状態を放置すると、どれだけ架電数を積んでも、最初の数秒で切られる会話が母数だけ増えていく構造が固定化します。
売り手の認識と買い手の実態のギャップ
売り手は「丁寧に話せば聞いてもらえる」「商材の魅力を伝えれば興味を持ってもらえる」という前提で架電します。しかし買い手の側では、まったく別の処理が走っています。この時間軸と評価軸のズレが、接続率と受注率の両方を押し下げます。
| 局面 | 売り手の認識 | 買い手の実態 | 本来打つべき手 |
|---|---|---|---|
| 入電の数秒 | 丁寧な第一声で好印象を作る | 「営業/関係機関/取引先」に瞬時に分類する | 関係機関と同じフラットトーンで入る |
| 用件の提示 | 商材の魅力を伝えれば興味を持つ | 売り込みと判断した時点で聞く姿勢を降ろす | お役立ちスタンスで現状ヒアリングに転換する |
| 断りの返答 | ニーズなし。リストから外す | 今は忙しい/今期は予算がない、だけの状態 | 「タイミングNG」として記録し再架電を予約する |
| 資料送付の直後 | 読んだはずなのでアポを打診する | 届いたばかりでまだ中身を見ていない | 到着確認のみで接触し、訴求は期間を空ける |
| 1ヶ月後 | 失注リストとして放置 | 状況が変わり、検討余地が生まれている | 約束を履行する形で状況確認の再架電を行う |
このギャップを埋めることが、関係構築設計の本質です。誰に・どの順で・どの深さで接触するかを先に定義してから架電するABM設計〜テレアポ代行の一気通貫の考え方も、この前提に立っています。
設計原則①:警戒を解く「フラットトーン」の3つの要素
フラットトーンとは、営業の決まり文句を排し、業界の関係機関・同業者が電話をかけてくるときと同じ自然な話し方で入る話法設計です。買い手の分類軸で「営業」に振り分けられないための最初の手法であり、今回の事例で最も再現性が高かった要素です。この設計は、次の3要素に分解できます。
| 設計要素 | 具体的な行動 | 買い手側で起きる変化 |
|---|---|---|
| 1. 第一声のフラット化 | 「お世話になっております」ではなく「こんにちは、○○の××です」で入る | 近所の人や関係機関からの電話に近い印象になり、警戒が一段下がる |
| 2. 業界トーンへの同調 | その業界に日常的にかかってくる関係機関・同業者の話し方に揃える | 「営業ではない電話」として処理され、用件を聞く時間が確保される |
| 3. お役立ちスタンス | 「弊社のサービスのご案内です」ではなく「御社向けにお役立ちできることないですか?」と問いかける | 「自社の状況を聞こうとしている人」と認識され、断る前に状況を話してくれる |
「お世話になっております」と「こんにちは」の違い
違いは一言だけですが、買い手の受け取り方には大きな差が出ます。
| 比較軸 | 典型営業トーン | フラットトーン |
|---|---|---|
| 第一声 | 「お世話になっております。○○の××と申します」 | 「こんにちは、○○の××です」 |
| 買い手の分類 | 営業 | 関係機関・同業者 |
| 用件の伝え方 | ハキハキと商材を訴求する | 自然な会話のトーンで現状を尋ねる |
| 入りの一言 | 「弊社のサービスのご案内なのですが」 | 「御社向けにお役立ちできることないですか?」 |
| 会話の主導権 | 売り手の説明 | 買い手の状況説明 |
| 断られた後 | 会話終了・リスト消費 | 現状ヒアリングに転換し、関係が残る |
業界の関係機関と同じトーンに揃える
フラットトーンが機能する理由は、その業界に毎日かかってくる電話の構成を理解すると見えてきます。たとえば福祉施設には、次のような関係先からの電話が日常的にかかります。
- 関連事業所からの問い合わせ
- 自治体・行政機関からの確認連絡
- 医療機関からの照会
- 業界の研修案内
- 既存取引先からの連絡
これらに共通するのは、近所の人や同業者と話すような自然な話し方です。営業トーンとは明確に異なるため、買い手は瞬時に「営業ではない電話」として処理します。
この構造は業界を問いません。不動産業界でも、業者間で「これ、空いてますか?」というフラットな問い合わせが日常的にかかっており、業者同士のトーンに揃えると接続率が上がります。関係機関・同業者間のトーンに揃えることは、初動の警戒を解く普遍的な設計です。セグメントごとに言葉を作り分ける発想は、リードセグメント別スクリプト作成・改善スキームと同じ構造にあります。
「うち今必要ないです」に対する3つの対応
お役立ちスタンスで入っておくと、断り文句が出た瞬間に会話を終わらせずに済みます。具体的な対応は次の3つです。
- 相手の言葉を否定せず「分かりました、そうですよね」と共感する
- すぐに切らず「今どんな状況ですか?」と現状ヒアリングに転換する
- 自然な会話の中で、サービスの話題が買い手側から出る流れを作る
一方的な訴求ではなく相手の状況把握から入ることで、断り文句の先にあるニーズを引き出せます。
架電トークの設計や、セグメント別スクリプトの整備でお悩みでしたら、プロセルトラクションの営業代行にご相談ください。
設計原則②:タイミングNGをポジティブに変換する4つの行動原則
営業の現場で最も多い返答は、断りです。「今は必要ない」「他社で検討中」「忙しい」をどう受け止めるかで、リストの寿命が変わります。今回の事例では「断られてから勝負」というマインドセットを徹底し、断りを「今この瞬間のNO」として記録・再訪する運用に変えています。
「断られてから勝負」の4つの行動原則
- その場で粘らず一旦引く──押し返した瞬間に「いつもの営業」に分類され、再架電の芽が消える
- 断られた理由を「タイミングNG」として記録する──失注ではなく、時期の問題としてデータ化する
- 数週間〜1ヶ月の期間を空けて、状況確認の名目で再架電する──訴求ではなく確認として接触する
- 再架電時は前回の会話内容を踏まえた具体的な切り口で入る──「覚えていてくれた人」として認識される
1ヶ月後に戻ってくる買い手心理
この発想が機能するのは、買い手の状況が時間とともに変わるからです。実際の現場で観測される本音は、次のようなものです。
- 「今日は忙しくて聞けないけど、落ち着いたら話を聞きたい」
- 「今は必要ないけど、来期の予算で検討する可能性はある」
- 「他社で検討中だが、結果次第では別の選択肢も見たい」
これらの状況は1ヶ月後・3ヶ月後には変わっていることが珍しくありません。今回の事例でも、一度断られた後に1ヶ月後に問い合わせが来るケースや、買い手側から「あらためて話を聞きたい」と戻ってくるケースが複数発生しています。断りは「永遠のNO」ではなく「今この瞬間のNO」という前提で動くことが、長期的な受注率を押し上げます。
嫌われずに終わる「再架電の余白」4つの設計
再架電を可能にする絶対条件は、初回の架電で嫌われずに終わることです。粘りすぎたり押し付けたりすると、次の電話で「また同じ営業」と認識されて即座に切られます。
- 断られた瞬間に、相手の言葉を受け止めて引く
- 「またタイミングが合うときに、状況をお聞かせください」と次の余白を作る
- 押し売りで終わらせず、後味の良い印象で電話を終える
- 通話後にTODO設定を行い、次回の架電タイミングを予約する
ここまで徹底すると、買い手側に「あの会社の人は押し付けてこなかったから、今度話してもいいかな」という状態が維持されます。
設計原則③:アポの35%を生む資料送付ナーチャリングの4ステップ
架電以外でアポを生む経路として、今回の事例では資料送付(郵送・メール)の運用を徹底しています。実際にアポの35%が資料送付経由で発生しており、架電と並ぶ主要なアポ獲得チャネルとして機能しています(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)。
送付直後に訴求してはいけない理由
この運用で最も重要なのは、「資料を送付したらすぐにアポ打診をしない」という設計です。
- NG:資料送付の翌日に「ご覧いただけましたか?お話聞きませんか?」と訴求する
- OK:資料送付後、まずは「届きましたでしょうか?」と確認のみで接触する
訴求を急ぐと「やっぱり営業の押し付けだった」と認識され、その後の関係性が切れます。一方、確認だけで終わる接触は、「資料を送ってくれた人が、ちゃんとフォローしてくれている」という印象を残します。買い手の実態は、送付直後の時点では次の通りです。
- 「届いたばかりで、まだ中身を見ていない」
- 「興味はあるけど、忙しくて読めていない」
- 「読んでみて気になる部分はあるけど、優先度が低い」
資料送付ナーチャリングの4ステップ
| ステップ | タイミング | やること | やらないこと |
|---|---|---|---|
| Step1 | 起点 | 資料を送付する(郵送 or メール) | 送付と同時にアポを打診しない |
| Step2 | 1週間以内 | 「届きましたでしょうか?」と到着確認する | 感想を求めない・訴求しない |
| Step3 | 2〜4週間後 | 「その後いかがですか?」と状況を確認する | 読了を前提にした提案をしない |
| Step4 | 状況に応じて | 変化のあった論点に絞って再フォローする | 一律の定型フォローで終わらせない |
適切な期間を空けて状況確認することで、「読んでみたら気になった」「最近、課題が顕在化してきた」というタイミングに当たる確率が上がります。送付直後の訴求では捕捉できない検討タイミングを、後追いで拾う設計です。
「アポ獲得の材料」から「育成中の見込み顧客プール」へ
資料送付は単発のアポ獲得施策ではなく、リストを育てるナーチャリングの一部として位置付けます。
- 一度送付したリストを、定期的に状況確認する
- 状況の変化に応じて、追加情報や事例を提供する
- アポに繋がらないリストでも、関係を切らずに維持する
この運用を続けると、リストの意味が「アポ獲得の材料」から「育成中の見込み顧客プール」へ変わります。プールを育てることで、ある日突然「やっぱり話を聞きたい」「状況が変わったので説明を聞きたい」という問い合わせが、リストの側から発生する状態が作れます。実際に今回の事例でも、期間を空けたフォローを継続した結果、買い手側からの問い合わせが増え、アポ率の上昇に繋がっています。どのリストを優先して育てるかの判断は、高受注率×高LTVリードの見極め・スコアリングの発想と直結します。
設計原則④:TODO駆動の約束履行で「名前を覚えてもらう」3段階
フラットトーンと資料送付ナーチャリングを支える運用基盤が、TODO駆動の約束履行です。小さな約束を守り続けることで、接触の位置付けが「営業のフォロー」から「約束履行の連絡」へ変わり、断られにくい構造になります。
約束履行を成立させる4つの運用
- 通話中に「○月○日頃にお電話します」と日付を明示して約束する
- 通話終了後にTODOを設定し、約束の日時を予約する
- 約束日に必ず架電する
- 約束を守ったことを、買い手側にも分かる形で伝える
名前を覚えてもらうと、本音と業務負荷が見える
約束履行を継続すると、ある段階で買い手から「○○さんね、また電話くれたのね」と名前を覚えてもらう瞬間が訪れます。ここから関係性が一段深くなり、次のような情報が出てくるようになります。
- 「実はこういう状況で困っているんだよね」
- 「現場ではこんな業務負荷があって、困っている人が多い」
- 「上長にはまだ言えていないけど、本当はこの部分を変えたい」
これらは典型的な営業トーンの電話では出てきません。フラットトーンと約束履行で関係性を作った後にしか聞けない情報であり、「業務上、何が痛いのか」「現場の本音はどこにあるのか」を踏まえた提案ができるようになるため、商談での説得力が一段上がります。
角度の高いトスアップが受注率を押し上げる構造
インサイドセールスの最終的な役割は、フィールドセールスへ商談を引き渡すトスアップです。この「角度の高さ」が、その後の受注率を決定づけます。
| 比較軸 | 角度の低いトスアップ | 角度の高いトスアップ |
|---|---|---|
| アポの実態 | 相手が話を聞きたいだけの状態 | 課題が明確で、検討意欲がある状態 |
| 持っている情報 | 企業属性と表面的な関心 | 現場の本音・業務負荷・社内の力学 |
| 関係性の深さ | 初回接触に近い | 名前を覚えてもらっている |
| FS側の初手 | ヒアリングからやり直す | 課題に対する提案から入れる |
| 受注率への影響 | 平均水準にとどまる | 平均を上回る水準まで押し上がる |
関係性を育てた上で角度の高いトスアップを行った結果、定量成果は次のように現れました。
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 3ヶ月の受注金額達成率 | 147% |
| 3ヶ月の受注率達成率 | 106.6% |
| IS全体平均受注率との差 | +6.0pt(全体平均16.6%) |
| IS全体平均受注率との比較 | 平均比136% |
| 資料送付経由のアポ比率 | 35% |
(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)
平均より6pt以上高い受注率は、量だけでも質だけでも作れない数字です。関係構築の運用ループが、フィールドセールスの受注率まで押し上げた結果として現れています。
ナーチャリングから商談トスアップまでの運用設計でお悩みでしたら、プロセルトラクションのインサイドセールス支援にご相談ください。
設計原則⑤:量×トーク改善を回す4フェーズのサイクル
ここまでの設計を機能させる前提として、十分な行動量があります。今回の事例では、アポ獲得目標の倍の架電量を設定し、接触機会を最大化しています。
目標の倍の架電量が生む4つの副次効果
- 多くの担当者と会話することで、業界の生情報が集まる
- NGの理由パターンが蓄積され、トーク改善の素材になる
- 関係構築の対象となる「育成中リスト」が増える
- 量の中から質の高いアポを抽出できる
行動量は関係構築の前提条件です。少ない接触から関係を作ろうとしても母集団が小さすぎて偶然性が下がります。この前提で見ると、架電数は単なる「がんばり」ではなく、トーク改善・関係構築・育成リスト形成の母数を作る経営的な投資として位置付けられます。量それ自体を目的化せず、選別と育成の母集団を確保する手段として設計することが重要です。
フィードバックを「全実行」するトーク改善サイクル
- リーダー・メンターをはじめ、チームメンバーほぼ全員に自分の架電を聞いてもらう
- もらったフィードバックを全て実行に移す
- 実行結果を踏まえて、自分の形にカスタマイズする
- 翌週のフィードバック・サイクルに反映する
ポイントは、アドバイスを取捨選択せず、まずやってみて結果を見て判断する姿勢です。このスピード感がトーク改善の速度を上げ、自分の型を早期に固める要因になります。顧客の生の声を訴求改善に接続するVOC起点のPDCAを、個人の架電レベルで回している状態と言えます。
量から質へ──関係構築の4フェーズ
量だけを追求するとリストが薄まり成果が頭打ちになります。一方で、商品・競合・顧客環境が変わるたびに新しいニーズが生まれるため、それをキャッチアップできる関係性をリスト内に仕込んでおくことが、長期成果の前提になります。この構造は、次の4フェーズで整理できます。
| フェーズ | やること | 得られるもの | 主な責任者 |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | 量で接触機会を作る | 母集団と業界の生情報 | 新人・若手 |
| フェーズ2 | トーク改善で質を上げる | 再現可能な自分の型 | 新人・若手 |
| フェーズ3 | 関係構築で長期育成リストを作る | 育成中の見込み顧客プール | マネジメント層 |
| フェーズ4 | 環境変化を察知して再アプローチする | リスト側から発生する案件機会 | マネジメント層 |
担当者個人の伸びを「量からトーク」に閉じず、「関係構築の運用設計」と「環境変化のキャッチアップ」までスコープを広げることで、属人的な成功体験を組織の標準オペレーションに変換できます。このサイクルを回し続ければ、リストが枯渇しても新しいアポが発生し続ける構造が作れます。
まとめ:達成率147%・受注率平均比136%を作った5つの設計原則
本記事で紹介した取り組みから抽出できる設計原則は、次の5点に整理できます。
- フラットトーンで業界の関係機関と同じ入り方を作る──「お世話になっております」ではなく「こんにちは」で入り、買い手の警戒を初動で解く。業界を問わず使える普遍的な設計
- お役立ちスタンスで一方的な訴求を回避する──「弊社のサービスは」ではなく「御社向けにお役立ちできることないですか」で、訴求の方向を売り込みからヒアリングへ逆転させる
- タイミングNGをポジティブに変換し、再架電の余白を作る──断りを「永遠のNO」ではなく「今このタイミングのNO」として記録する。嫌われずに終わる初回架電が、再アプローチの可能性を残す
- 資料送付で「育てる」ナーチャリング運用を回す──送付直後の訴求を避け、期間を空けた状況確認に徹する。リストを「アポ獲得の材料」から「育成中の見込み顧客プール」へ変える
- TODO駆動で約束を守り、名前を覚えてもらう──小さな約束履行の積み重ねが、買い手の本音と業務負荷を引き出すパスを開き、角度の高いトスアップを生む
5つの原則が接続する経済合理的価値
| 分類 | この設計で生まれる効果 |
|---|---|
| 売上アップ | 受注率の向上(IS全体平均比136%)により、同じ商談数でも売上が押し上がる |
| コスト削減 | リストを枯渇させずに育てる運用で、新規リスト調達コストを抑制する |
| リスクヘッジ | 競合の機能アップデートや顧客の業務環境変化に対するキャッチアップ網を関係性として張り、案件機会の取りこぼしリスクを低減する |
定量結果として、ある3ヶ月の受注金額達成率は147%、受注率はIS全体平均16.6%に対して+6.0pt(平均比136%)という形で現れました(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)。これらの数字は属人的な気合やセンスではなく、関係構築の運用設計によって作られた再現可能な成果です。同じ設計を組織内の他メンバーやマネジメント層に展開できれば、個人の達成だけでなくチーム全体の数字を引き上げる前提として機能します。
変化対応力のある営業設計が長期成果を作る
本事例の最大の示唆は、関係構築が「変化対応力」を生むという点です。商品はバリューアップし、競合の機能は増え、顧客の業務環境も変わり続けます。変化が起きるたびに新しいニーズと商談機会が生まれますが、この変化情報は、関係性を切らさずに維持しているリストにしか入ってきません。
短期のアポ獲得施策ではなく、長期の関係構築インフラを持つこと。リストの母集団に対して関係性を仕込んでおけば、競合の値上げ・撤退・機能変更といった外部要因が起きるたびに、自社にとっての追い風を案件として刈り取れる構造が作れます。属人的な営業センスではなく再現性のある設計として整っているからこそ、組織として横展開し、マネジメント領域でのレバレッジに繋げていけます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 嫌われない架電とは何ですか?
嫌われない架電とは、営業トーンを排して業界の関係機関と同じフラットな話し方で接触し、断られても関係を切らさずに再接触の余白を残す架電設計です。買い手は入電を数秒で「営業/関係機関/取引先」に分類しており、「営業」に分類された瞬間に会話は短時間で終了します。そこで、①フラットトーンで警戒を解く、②お役立ちスタンスで訴求方向を逆転させる、③断りを「タイミングNG」として記録し再架電する、④資料送付で期間を空けて育てる、⑤TODO駆動で約束を守り名前を覚えてもらう、という5つの設計により、量を成果へ変換します。本事例では3ヶ月の受注金額達成率147%、IS全体平均比136%の受注率を実現しています。
Q2. テレアポで警戒されない話し方の作り方は?
3つの要素で設計します。第1に第一声のフラット化で、「お世話になっております。○○の××と申します」ではなく「こんにちは、○○の××です」で入ります。第2に業界トーンへの同調で、その業界に日常的にかかってくる関係機関・同業者の話し方に揃えます。第3にお役立ちスタンスで、「弊社のサービスのご案内です」ではなく「御社向けにお役立ちできることないですか?」と問いかけ、訴求の方向を売り込みから現状ヒアリングへ逆転させます。「うち今必要ないんで大丈夫です」と言われた場合も、否定せず共感し、「今どんな状況ですか?」と転換することで、断り文句の先にあるニーズを引き出せます。
Q3. 「お世話になっております」と「こんにちは」では何が違うのですか?
買い手側の分類が変わります。「お世話になっております」は典型的な営業の決まり文句であるため、買い手はトーンだけで「営業」と判断し、用件を聞かずに断り文句を返します。一方「こんにちは」は、近所の人や関係機関からの電話に近いトーンとなり、「営業ではない電話」として処理されるため、用件を聞いてもらう時間が確保されます。これは特定業界に限った話ではありません。福祉施設には関連事業所・自治体・医療機関から、不動産会社には業者間で「これ、空いてますか?」というフラットな問い合わせが日常的にかかっており、その業界の関係機関・同業者と同じトーンに揃えることが、初動の警戒を解く普遍的な設計になります。
Q4. 資料送付後は、どのくらい期間を空けてフォローすべきですか?
4ステップで運用します。Step1で資料を送付し、Step2として1週間以内に「届きましたでしょうか?」と到着確認のみを行います。ここで訴求はしません。Step3として2〜4週間後に「その後いかがですか?」と状況確認を行い、Step4として変化のあった論点に絞って再フォローします。送付翌日に「ご覧いただけましたか?お話聞きませんか?」と打診すると、「やっぱり営業の押し付けだった」と認識され関係が切れます。買い手の実態は「届いたばかりでまだ見ていない」「興味はあるが忙しくて読めていない」であり、期間を空けることで読了後の検討タイミングを拾えます。本事例ではこの運用でアポの35%が資料送付経由で発生しています。
Q5. プロセルトラクションのインサイドセールス支援の特徴は何ですか?
プロセルトラクションは、300社以上のBtoB営業支援実績(出典: プロセルトラクション、2026年)をもとに、ターゲット設計から架電・ナーチャリング・商談トスアップまでを一気通貫で支援します。ABM設計〜テレアポ代行の一気通貫で狙うべき企業へ接触し、高受注率×高LTVリードの見極め・スコアリングで長期で育てるべきリストを特定し、リードセグメント別スクリプト作成・改善スキームで業界・役職ごとのトーンと訴求を作り分けます。ナーチャリング→商談トスアップの運用では、断りを「タイミングNG」として記録・再訪する仕組みまで含めて設計し、VOC起点のPDCAで現場の生の声をスクリプトと資料の改善へ接続。属人的な勝ち筋を組織の再現可能なナレッジへ変換する伴走を行います。
架電の第一声をどう設計するか、断られたリストをどう資産に変えるか、資料送付からアポを生む運用をどうルール化するか──インサイドセールスのトーク設計や関係構築運用でお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。量に依存しない、再現性のある営業の型を一緒に描いていきます。
この記事の執筆者
長谷川 裕樹(はせがわ ゆうき)
株式会社プロセルトラクション 代表取締役
リクルートにてSMB〜エンタープライズの新規開拓・ソリューション営業・マネジメント・営業企画を経験後、新規事業責任者としてBtoB新規事業横断セールス統括を歴任。複数事業のセールス・マーケティング組織およびCSチーム立ち上げを経て、2018年コムレイズ・インキュベート設立、2021年プロセルトラクション設立。200を超えるBtoB新規事業のセールス・マーケティング支援実績を持つ。







