パイプライン管理とは、アポイント設定から商談、フォロー、成約まで一連の営業プロセスをパイプに見立てて可視化する方法です。課題のあるプロセスを明らかにして、改善を繰り返すための管理手法のことを指します。
自社の営業プロセスを可視化し観察を続けることで、営業の生産性を下げているセールス行為や個々のメンバーが苦手とするプロセスを特定できます。プロセスを分解して捉え、改善ポイントを明らかにするとともに重点的な改善に努めることで営業成果の向上を図れます。
当記事では、パイプライン管理の実施により受けられる恩恵や具体的な実施方法について、留意すべきポイントを解説します。
・パイプライン管理について
・実施により受けられる恩恵
・具体的な管理方法
・スムーズに管理するためのポイント
この記事の目次
パイプライン管理について
パイプライン管理とは、アポイントを獲得する段階から、初回の商談、受注にいたるまでの営業プロセスを可視化し、改善や情報分析を繰り返す手法です。
本来パイプラインは、石油や天然ガスなどエネルギー資源を消費地まで輸送する管を意味する言葉です。パイプのどこかに欠陥や詰まりが起こると、エネルギー源は期待通りには輸送できません。営業プロセスも同様で、一連の流れの中に著しく効率が低い箇所があると営業成果という最終的な結果が、期待値を下回ることとなります。
営業というパイプが機能するためには、パイプライン管理を行ってプロセスを分解することで、どこに問題があるのかを正しく把握する、不備などのミスを予防する必要があります。
パイプライン管理の要素
営業プロセスを可視化する際、一つひとつの業務工程を時系列に沿って細分化することが重要です。
細分化の一例として、以下6つの要素を時系列に沿って挙げます。
・問い合わせ
・アポイントの設定
・初回商談
・見積もりの提示
・クロージング
・受注
上記のパイプラインでは問い合わせを起点としていますが、企業によっては、起点のポイントが異なる場合があります。
そのため、案件の進み具合や企業の業態などに応じて、パイプライン上での動かし方を変える必要があります。
パイプライン管理を実施する目的
パイプライン管理を実施する目的の1つは、営業活動の生産性を上げることです。
パイプライン型の表を使って可視化することにより、「どの段階で受注を逃してしまったのか」といった、自社の問題点を洗い出せます。
問題点を早急に明らかにできる点において、パイプライン管理は企業全体の成長を促すために有効的な手法と言えるでしょう。
パイプライン管理を実施するメリット
パイプライン管理を実施することにより、「メンバーに適切なアプローチを行える」「課題解決に向けた素早い行動ができる」「効率的なマーケティング活動ができる」これら3つのメリットを受けられます。
以下で順に解説します。
メンバーへの指導やフィードバックを適切に行える
パイプライン管理によって、メンバーの営業活動の成功確率が可視化されます。その結果、営業パーソン別にさまざまな得意、不得意が浮き彫りになるでしょう。
<例>
・アポイント取りが得意で数多く商談はしているがクロージングが苦手
・初回商談後の見積もり提示が遅く商談数が多いのに受注件数は少ない
・クロージングがうまく、顧客へのクロスセルでも高い成果。ただ提案数が少ない
このようにあるセールスの成果が思うように出ていない場合にも、原因はさまざまです。各工程で評価することで、どのタイミングで何が原因で失注しているかを、明らかにしやすくなります。
その結果、メンバーによって異なる問題点を克服するために適切なアドバイスを行える点が魅力です。パイプライン管理は業務フローを可視化すると同時に、各メンバーの活動状況も把握できます。
課題解決に向けて素早く行動できる
パイプライン上のデータを常に最新な状態で共有できる環境を整えることで、問題が発生しそうなタイミングを予測でき、早期に対策できます。
経験の浅い若手メンバーは、自身の課題を把握できていないことも多く、また課題を感じながらも自らの手で改善できない場合も少なくありません。ここでパイプライン管理を行うことで早期に課題を発見できるほか、プレーヤー側から相談を受けるよりも前に課題解決に向けたアプローチができます。自チームの弱みや不足している要素があれば、改善へ繋げられます。
効率的なマーケティング活動ができる
パイプライン管理を正しく運用することで、マーケティングにもプラスの効果が見込めます。
パイプライン管理をしていない組織では、顧客から問い合わせがあった場合もどの流入経路をたどってきたのか特定できないものです。これらがパイプライン管理によって業務フローを可視化でき、商談が成立しやすい流入経路を絞ることができます。
商談が成立しづらい流入経路を特定しコストパフォーマンスに優れた手法に多くのリソースを割けば、より効率的に営業活動を進められます。
プロセルトラクションがパイプライン管理の設計をサポート
この記事でパイプライン管理の概要は説明していますが、新規事業でパイプライン管理の設計をすることはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたパイプライン管理のご提案から実践までサポートしています。
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パイプライン管理の具体的な方法
パイプライン管理において営業プロセスの「細分化」と「定義づけ」が重要なポイントとなります。
営業プロセスの細分化・定義づけを行うことにより、メンバー間における認識のずれを予防できます。
営業プロセスの細分化と定義づけ
営業プロセスの細分化と定義づけをする際に留意すべきポイントは、「顧客の行動を中心にして進めること」です。
留意すべきポイントを押さえた上で、以降より細分化と定義づけの具体的な実施方法を解説します。
< 細分化 >
細分化とは、問い合わせ時〜受注までの工程を細かく分け、パイプライン状のグラフに起こすことです。
そして、パイプライン管理を用いて生産性の向上を図るためには、顧客の行動を軸にして考えることが重要です。
購買の決定権を持っているのは、営業側ではなく顧客です。したがって、自社の提供するサービス・商品に対して、顧客から満足いただけないと、商談成立には繋がりません。
顧客の状態・状況をよく考え、細分化しましょう。
< 定義づけ >
顧客の「ニーズ」や「予算」といった情報を基に、細分化した各項目に対して定義をつけます。
メンバー間の業務に対する認識の整合性を保つために、各項目の定義づけは重要です。
定義づけの一例を紹介します。
・ヒアリングフェーズ
顧客情報が明らかになっていること
・提案フェーズ
リスナーが決裁者であること
営業活動のゴールを設定する
パイプライン管理の目的を理解していない状態で導入・実施を開始している企業が多く見られます。
目的を把握していない企業は、営業プロセスの細分化と定義づけが完了した時点で管理を終えてしまうといった、本来の目的が果たせていないケースがほとんどです。
パイプライン管理の目的は、営業の方針を明確化し、生産性の向上を図るものです。
この目的から逸れないために、営業プロセスの細分化・定義づけが完了した時点で、各工程にゴールを設定しましょう。
ゴールを定める際、指標となる要素を4つ紹介します。
・顧客の予算
・顧客の決裁権限
・顧客のニーズ
・顧客が希望する導入時期
顧客情報の中で最も重要な、上記4つの要素を総じて「BANT条件」と呼びます。
不透明なゴールを設定すると、メンバー全員の認識にずれが生じる可能性があるので、顧客の目線から考えられるBANT条件を用いて定めるとよいでしょう。
パイプライン管理をスムーズに進めるためのポイント
パイプライン管理をスムーズに進めるためには、「営業活動の進捗情報をリアルタイムで共有すること」と「メンバー全員が同じ認識を持つこと」これら2つを意識して取り組むことが大切です。
2つのポイントをそれぞれピックアップして解説します。
正確な情報をリアルタイムで共有する
パイプライン管理はグラフや表を用いて管理するため、対象の機能が備わっているソフトを準備する必要があります。
グラフや表の機能が備わっているソフトの中にも、オフライン状態で作業するものと複数人がオンライン上で同時に作業できるものがあります。
営業活動の進捗を把握するために、パイプライン管理に用いるソフトの「リアルタイム性」を重視することが大切です。
そのため、「最新の情報をリアルタイムで共有できる」「複数人で同時に編集ができる」これら2つの機能を基にソフトを探すことが良いでしょう。
チームのメンバー全員が同じ認識を持つ
セールス担当者と営業マネージャーの間でパイプライン管理の情報を共有できていないと、各営業活動の評価を正確に数値化できません。
営業活動の生産性を向上させるために、セールス担当者と営業マネージャーの双方がパイプライン管理の情報を把握し、認識の整合性を保つ必要があります。
パイプライン管理で、営業活動の効率化を図ろう
パイプライン管理を実施することで、自分の組織が持つ、強みと弱みのそれぞれに気づくことができます。
強みと弱みから明らかになった情報を基に、「非効率である工程を省いて、効率化を図る」といった適切なアプローチができます。
そして、得た情報をチームメンバーにリアルタイムで共有できる環境をつくりましょう。
パイプライン管理の目的や方法に対する認識を深めた上で実践し、営業活動の効率化を図りましょう。
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