最終更新: 2026年6月

複数PJ同時進行のタスク管理とは、限られた稼働時間を色分け管理・追客ルール・リスト優先順位で設計し各PJの目標達成を実現する手法です。

複数のプロジェクトを同時に担当しながら、各プロジェクトで初月から目標を達成するためには、限られた稼働時間を「どこに・いつ・どう使うか」を精緻に設計する必要があります。プロジェクトごとに稼働時間が異なる中で、全PJで目標達成を維持できるかどうかは、タスク管理・追客設計・リストの優先順位の3つの設計精度で決まります。スクリプト構築からKPI設計・仮説検証まで一気通貫で支援する株式会社プロセルトラクションにて特別賞を受賞した担当者の実践事例から、7件のプロジェクトを同時進行しながら各PJで初月から目標達成を実現した手法を解説します。

1. 複数プロジェクト同時進行の構造的な難しさ

少ない稼働時間での高い目標達成が求められる

インサイドセールスの現場では、担当者が複数のプロジェクトを同時進行で担当するケースがあります。1つのプロジェクトに集中している状態とは異なり、各プロジェクトに割ける稼働時間が限られる中で、それぞれのプロジェクトで目標を達成する必要があります。

この状況で生じる典型的な問題は以下の通りです(プロセルトラクション実績, 2024年度)。

  • 問題1:「どのPJを今やるべきか」の判断が難しくなり、作業が停滞する──複数のタスクが並行して存在すると、「次に何をすべきか」の判断コストが増します。この判断コストが積み重なると、実際の架電や追客にかけられる時間が減少します
  • 問題2:追客先の管理が追いつかず、見込み客を取りこぼす──複数PJにわたって多数の見込み客を管理する場合、「この会社には資料を送ったが、その後フォローしたか」という状態管理が難しくなります。追客のタイミングを逃すと、見込み客がそのまま失注になります
  • 問題3:リストへの架電タイミングが最適化されず、接続率が下がる──架電先リストへの接続率は、「いつ架電するか」によって大きく変わります。業種・業態によって担当者に繋がりやすい時間帯・時期は異なりますが、複数PJを抱えた状態でこの最適化を行うことは仕組みなしには難しい状態です

2. タスク管理の設計──カレンダーによる色分け管理

複数PJの仕事を「見える化」して管理する

複数のプロジェクトを担当しながら仕事の抜けもれを防ぐために有効な手法が、カレンダーツールを活用したタスク管理の視覚化です。

カレンダーを使ったタスク管理の設計:

PJごとに色を分けてカレンダーに登録することで、「今週どのPJにどれだけ時間を使うか」が一目で把握できます。タスクを細分化してカレンダーに入れることで、「○○PJの架電を今日の何時から何時まで行う」という時間の確保ができます。

色付けの運用ポイント:

  • PJごとにカレンダーの色を固定して、どのPJの作業かが瞬時に判別できるようにする
  • 架電時間・追客フォロー・報告・管理業務など、タスクの種類ごとにも区別する
  • 前日の夜または当日の朝に翌日・当日のカレンダーを確認し、優先順位を整理する

この仕組みによって、「次に何をすべきか」の判断コストが大幅に削減され、実際の行動にかけられる時間が増えます。また、複数のPJを同時に抱えていても、「このPJの稼働が薄い」という状態に気づきやすくなります。

タスクの優先順位の判断基準:

  • 期限が近いタスクを優先する
  • PJの達成率が低い方を優先する
  • 追客タイミングが来ている見込み客への対応を、新規架電より優先する

この優先順位の基準を自分の中で明確にしておくことで、複数のPJを抱えた状態でも作業が停滞しない状態を維持できます。

3. 追客設計──見込み客を取りこぼさない仕組み

「見込み客」の管理を視覚化する

インサイドセールスにおいて、資料送付後や商談後に「その後のフォロー」が漏れることは、取れたはずのアポイントを失うことを意味します。複数PJを抱えた状態では、この追客漏れが起きやすい状況にあります。

カレンダーを使った見込み客管理:

資料送付をした先・商談を行った先・今後再架電が必要な先を、カレンダー上で目印と色付けをすることで、「この先はまだフォローしていない」「この先は今日再連絡するタイミング」という状態が一目で把握できます。

追客のルール設計:

  • 資料送付後:1〜3日以内に再連絡を行う
  • 商談後:商談翌日または翌々日に感謝と確認の連絡を行う
  • 担当者不在・再架電約束:約束した日時の前日にリマインド設定をしておく

このルールをカレンダー上で管理することで、「フォローするつもりだったが忘れた」という状態を防げます。

「名前を覚えてもらえる関係構築」で追客効率を上げる

追客の効率は、「相手が自分の名前と顔を覚えているか」によって大きく変わります。初回連絡から数回コミュニケーションを重ねることで、相手が「この人からの連絡なら出ようかな」と感じる状態を作ることが、追客のアポ転換率向上の鍵です。

何度もコミュニケーションを取り、相手に自分の名前を覚えてもらえるレベルの関係を構築した上でアポに繋げることで、「担当者との会話→アポイント取得→商談」という流れがスムーズになります。

4. リストの優先順位設計──架電タイミングと媒体の最適化

「いつ・誰に架電するか」の設計が接続率を決める

架電の接続率は、「誰に架電するか」だけでなく「いつ架電するか」によって大きく変わります。業種・業態によって担当者に繋がりやすい時間帯・時期が異なるため、この最適化を行わずに全てのリストに同じタイミングで架電すると、接続率が下がります。

架電タイミングの優先順位設計:

月初・月末の活用:業種によっては月初や月末に担当者が業務の切り替えで動いているタイミングがあり、「新しい提案を聞く余裕がある」という状態になりやすい時期があります。この時期に合わせて架電優先度を上げることで、接続率が向上します。

求人掲載時期の活用(人材関連サービスの場合):求人を掲載している時期の企業は、採用に関連するサービスへの関心が高い状態にあります。「求人掲載中の企業」というフィルターでリストを絞り込み、掲載期間中に架電することで、担当者の関心を引きやすいタイミングでの接触が可能になります。

リスト化のスピードを優先する:架電先リストの優先順位をつける際に重要なのは、「マッチしている媒体からスピーディーにリスト化する」ことです。「完璧なリスト」を作ろうとして時間をかけすぎると、架電可能な期間が短くなります。80点のリストを素早く作り、架電しながら精度を上げる方が、最終的な架電数・アポ数が増えます。

5. 複数PJ同時進行での実践成果

7件のPJで各初月から目標達成

複数のプロジェクト(不動産ポータル、人材紹介、工業機械、ホテル・リラクゼーション予約、ITサービス等の業界)を同時に担当しながら、タスク管理・追客・リスト優先順位の3つを設計して実現した成果は以下の通りです(プロセルトラクション実績, 2024年度)。

達成率(一部PJの詳細):

  • リラクゼーション予約系サービス:160%達成
  • 人材紹介サービス:137%達成
  • 工業部品メーカー向けサービス:110%達成(1日平均15分稼働で達成)
  • 不動産テックサービス(1ヶ月のみ稼働):133%達成

7件のPJを同時進行しながら少ない稼働時間の中で、ほぼ各PJにてスタートから目標達成を実現しました。工業部品メーカー向けサービスのPJでは1日平均15分という極めて短い稼働時間で達成したことが、優先順位管理の精度の高さを示しています。

リーダーとしてのチーム運営との両立

これらの成果は、リーダーとしてのマネジメント業務と並行して実現されました。複数のPJを担当しながらプレイヤーとして架電営業を行い、かつリーダーとしてチームメンバーへのサポートも行うという高い負荷の中での達成です。

メンバーが苦戦している際には1人1人に寄り添いながらチーム全体を支え、クライアントが困っている際には積極的な提案で関係構築を深めた結果、PJ終了後に再依頼が来るという成果にも繋がりました。

よくある質問

複数PJを同時に担当する場合、何件くらいまでが現実的ですか?

プロジェクトの稼働時間やKPIの難易度にもよりますが、タスク管理と追客設計が整っていれば5〜7件の同時進行が可能です。ただし、各PJの稼働時間を視覚化して管理し、判断コストを最小限にする仕組みが前提となります。

追客のフォローはどのタイミングで行うのが最も効果的ですか?

資料送付後は1〜3日以内、商談後は翌日または翌々日が目安です。追客のタイミングが遅れるほどアポ転換率は下がるため、カレンダー上にフォロータスクを登録して漏れを防ぐことが重要です。

架電リストの優先順位はどのように決めればよいですか?

「業種・業態に合った架電タイミング」と「見込み度合い」の2軸で判断します。求人掲載中の企業や月初・月末など担当者が動いているタイミングを優先し、かつ過去に接触済みで関心が見られた先を新規より優先して架電します。

1日平均15分のような短い稼働時間でも目標達成できるのですか?

可能です。ただし、架電前のリスト調査で接続率の高い先を絞り込み、追客ルールを徹底して見込み客を取りこぼさない設計が前提です。短い稼働時間だからこそ、1コール・1フォローあたりの精度を上げる設計が成果を左右します。

まとめ──少ない稼働時間で複数PJの目標を達成する3つの設計

複数プロジェクトを同時に担当しながら各PJで初月から目標達成するための実践手法をまとめます。

タスク管理の設計:

  • カレンダーでタスクを色分け・細分化し、各PJの稼働時間を視覚化する
  • 「いつ何をするか」を事前に決めておき、判断コストを削減する
  • 期限・達成率・追客タイミングを基準に優先順位を判断する

追客設計:

  • 見込み客はカレンダーで目印・色づけし、アポが取れるまで追客する
  • 資料送付後は1〜3日以内に再連絡するルールを徹底する
  • コミュニケーションを重ねて「名前を覚えてもらえる」関係を構築してからアポに繋ぐ

リスト優先順位の設計:

  • マッチする媒体からスピーディーにリスト化し、完璧を求めすぎない
  • 月初・月末・求人掲載時期など、架電タイミングの優先順位を設計する
  • 業種・業態に合わせた接続しやすい時間帯を把握して架電に臨む

これらの設計を組み合わせることで、稼働時間が限られた複数PJの同時進行でも、各PJで目標達成を実現する体制が構築できます。

複数PJ運用の設計プランを相談する

この記事の執筆者

長谷川 裕樹(はせがわ ゆうき)
株式会社プロセルトラクション 代表取締役

リクルートにてSMB〜エンタープライズの新規開拓・ソリューション営業・マネジメント・営業企画を経験後、新規事業責任者としてBtoB新規事業横断セールス統括を歴任。複数事業のセールス・マーケティング組織およびCSチーム立ち上げを経て、2018年コムレイズ・インキュベート設立、2021年プロセルトラクション設立。100を超えるBtoB新規事業のセールス・マーケティング支援実績を持つ。