インバウンドマーケティングとは、こちらからの一方的な売り込みではなく、見込み顧客自ら興味関心を持ってもらうためのマーケティング手法を指します。
この手法をうまく取り入れると、コストを抑えた顧客獲得が期待できます。しかし、実際には「何からすればよいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、インバウンドマーケティングの基礎知識から実践ステップ、成功事例などについて解説します。自社で一から始めてみたい方はぜひご覧ください。
この記事の目次
インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングとは、顧客が興味のある情報をブログやeBookといったコンテンツの形でWebに公開し、見込み顧客の購買意欲を育成していくマーケティング活動です。
ここでのポイントは、顧客にとって価値ある情報を自然なコミュニケーションで伝え、信頼関係を築くことです。そのため、顧客のニーズや購買に至るまでの行動を仮定して、戦略を練る必要があります。
アウトバウンド型からインバウンド型へ変化した背景
従来は、テレビCM・DM・テレマーケティングなど、一方的な売り込み型のアウトバウンドマーケティングが主流でした。しかし、インターネットの普及により誰もが情報を調べられるようになり、次第に自分に必要な情報以外は受け取らない、気になる商品は自分で調べる、というように消費者行動が変化していきました。
その結果として、買い手が情報収集をしている段階からニーズに合った有益な情報を提供する「インバウンドマーケティング」が必要とされるようになったのです。
それぞれの具体的な手法は、以下のようになります。
アウトバウンドマーケティング=一方的に売り込む手法
・テレビCM
・広告
・DM
・テレマーケティング
・訪問営業 …など
インバウンドマーケティング=興味関心をもってもらう手法
・ブログ
・ホワイトペーパー
・メールマガジン
・イベント&セミナー
・動画コンテンツ
・SEOマーケティング
・SNSマーケティング …など
インバウンドマーケティングのメリット
インバウンドマーケティングは、あらゆる面においてメリットがあります。
高い費用対効果が望める
インバウンドマーケティングは、自社メディアでの情報発信が基本となるため、外部メディアへの出稿などに比べコストがかかりません。獲得できた見込み顧客は、もともと自ら興味・関心を持った状態で訪れるため、高い確率で購入に繋がりやすいでしょう。
そのため、コストをかけずに確度の高い見込み顧客を獲得できます。
コンテンツが資産になる
最初のコンテンツ準備は大変ですが、一度作成したコンテンツはその後も企業の資産としてWeb上などに残り続けます。さらに有益なコンテンツは顧客のリピート購買を促進するため、よりよいコンテンツを作るほど長期的に企業の利益に貢献します。
ただし顧客のニーズは日々変わっていくため、定期的な中身の改善や更新作業が欠かせません。
クレームが起こりづらい
テレマーケティングやダイレクトメールなどのアウトバウンド型だと、「しつこい」「売り込みの圧力が強い」などと、顧客から悪い印象を抱かれ最悪クレームに発展しかねません。
対してインバウンドマーケティングは、顧客が求める情報を自ら見に来てくれるため、悪い印象を持たれることなく、自社のファン獲得にもつながります。
営業成果につなげやすい
インバウンドマーケティングで獲得するリードはもともと興味関心が高い傾向があります。その後リードをナーチャリングプロセスに組み込めば、購買意欲をより育てていくことも可能です。
購買意欲が高まった段階で営業に共有すると、成約率や売上の向上にもつながります。
インバウンドマーケティング実践のための5ステップ
これまで、インバウンドマーケティングの基本知識やメリットを見てきました。では実践するためには何をすべきなのか、必要なステップを見ていきましょう。
ステップ1:自社がめざす姿の明確化
まずは自社がインバウンドマーケティングによって達成したいゴールを明らかにします。
リードの獲得や自社ブランドの強化など、目的によって戦略の方向性や実施する施策が変わるためです。併せて「何月までに○○件新規リードを獲得する」など具体的な期限や数値目標も設定しましょう。
ステップ2:ターゲット企業の分析
自社のターゲットとなる顧客はどんな企業のどんな人物なのか、ペルソナを設定します。過去取引があった顧客を分析するなどして、ターゲット像の深堀をするとよいでしょう。ペルソナを決めると、コンテンツの方向性もおのずと見えてきます。
ステップ3:成果に繋がる戦略・戦術の考案
顧客とどのように接触をもつかという「タッチポイント」と、購買プロセスに応じたアプローチ方法を示す「コミュニケーション戦略」を計画します。
その後は、具体的な戦術を考えていきます。効果がありそうな戦術はいくらでも実施して問題ありませんが、自社リソースにも限りがあるため優先順位をつけるとよいでしょう。
ステップ4:購買プロセスに応じたコンテンツが必要
顧客は購買までに、段階を踏んで興味関心を大きくしていきます。このプロセスに応じ、ユーザーに求める行動(=目的)は異なり、適した施策やコンテンツ内容も変わります。
より効果を上げるためにも、目的にあったコンテンツ作りを意識しましょう。
以下は、一般的な購買プロセスとそれにおける目的、施策例です。
【認知】「気づいてもらう」が目的
施策例:SNS、ブログ、記事広告、外部セミナー、プレスリリース
【理解】「知ってもらう」が目的
施策例:メルマガ、eBook、ホワイトペーパー、自社セミナー
【比較検討】「選んでもらう」が目的
施策例:製品詳細ページ、導入事例、お客様の声、価格表
【リピート】「ファンになってもらう」が目的
施策例:ユーザー向けサイト、顧客サポートコンテンツ
ステップ5:PDCAを回しながらの実行
SNSや自社Webサイトなどを通じて、コンテンツを発信します。この段階で大事なのが、見込み顧客の反応を分析しながら、中身の改善を続けることです。インバウンドマーケティングは顧客起点の手法のため、顧客の反応を分析しない限り、継続的な成功は叶いません。
プロセルトラクションがインバウンドマーケティングの構築をサポート
この記事でインバウンドマーケティングの概要を説明していますが、自社のビジネスモデルに合わせた戦略を構築することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチした戦略のご提案から実践までサポートしています。
インバウンドマーケティング成功事例
ここからは、インバウンドマーケティングを上手く活用している事例について紹介します。法人向けと個人向け、それぞれの例を見ていきましょう。
事例1:会計サービス
ある会計サービスの事業会社では、経営全般をテーマとしたオウンドメディアを運営しており、メインターゲットである中小企業や個人事業主向けに、コンテンツを発信しています。
・中小企業向けには、
会社設立、経営戦略、経理・財務、人事・労務、上場準備、働き方改革など
・個人事業主向けコンテンツでは、
開業、確定申告、経理の基礎知識、フリーランスの働き方
とターゲットのセグメントごとに求められている情報を分かりやすくコンテンツ化しており、ユーザーやファンの獲得につなげています。
事例2:インテリア・DIYショップ
インテリアやDIYショップを店舗とオンラインで手掛ける企業では、YouTubeチャンネルを活用したインバウンドマーケティングを行っています。
動画の内容は、自社製品を使ったDIYの手順を紹介しているものがほとんどですが、
・コンテンツの作りが、初心者でもわかりやすい・見やすい
・動画の概要欄からECサイトへ遷移できる
と、興味関心~購入までのユーザー誘導がスムーズなのがポイントです。
使い方が若干分かりづらい製品を扱う場合は、こういった動画コンテンツも一つの方法かもしれません。
インバウンドマーケティング実施の際の注意点
インバウンドマーケティングを成功させるために、あらかじめ下記の点において注意しましょう。
関係部門を巻き込む
インバウンドマーケティングの成功には、関係部門との適切な連携が欠かせません。
特に重要なのが、営業部門との連携です。ターゲット像を明確化する際や、各施策の精度を高めるうえで、顧客情報を持つ営業部門と密な情報共有が必要になります。
マーケティング部門だけでは足りない知見は、積極的に他部門の力を借りるつもりで計画しましょう。
継続可能なチーム体制を組む
インバウンドマーケティングは一度コンテンツを作成して終わりではありません。継続的にコンテンツの見直しや拡充を行い、ナレッジや資産が蓄積され、徐々に費用対効果が上がるものです。
しかし、人員が少なく属人的だと、退職などにより担当者がいなくなれば、施策もストップしてしまいます。そうならないように増員や外部委託も検討し、長期的に継続可能な運用体制を確保しましょう。
必要な際はアウトバウンドも併用する
例えば、「この製品は目玉商品になるので、大々的に宣伝したい」という場合、インバウンド型のアプローチだけでは、即効性に欠け、影響力も不十分な可能性があります。
即時的に大きなインパクトを与えたい場合は、CMや広告などのアウトバウンド型の手法を取るのも一つです。
ただし、アウトバウンド型に偏り過ぎると、ユーザーに不快感を与えかねないリスクもあります。メリット・デメリットを考慮したうえで、適切な手法の選択を心掛けましょう。
インバウンドマーケティングは優良顧客獲得の第一歩
インバウンドマーケティングについて実践するイメージが湧いてきたでしょうか?
複雑な戦略設計のスキルやツールを熟知する必要は必ずしもありません。一番大事なポイントは、顧客の理解です。顧客の課題感や知りたい情報を理解して初めて、戦略や戦術の方向性が決まり、顧客獲得に繋がるのです。
まずは、実際に顧客にヒアリングした経験や、Web上の行動データを元に、顧客が本当に求めているものは何なのかを紐解いていきましょう。
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