マーケティングを行う上で重要なのは「顧客ニーズ」の把握です。売れ続けるモノやサービスを世に出すには、顧客がどのような商品を求めているかを的確に捉えてアプローチしなければなりません。
この記事では、顧客ニーズを把握する方法や実際に顧客ニーズを満たしたことで売上を伸ばした企業の事例をご紹介します。マーケティングについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
顧客ニーズの概要と種類
ニーズとは、マーケティングを行ううえで最も重要な概念と言えるかもしれません。私たちは、今の日常生活に様々な不満や欠乏を感じながら過ごしています。本当は「こうだったらよいのに」という理想的状態と比べて足りないもの=ギャップを埋めようとする欲求がニーズの正体です。
顧客ニーズとは
顧客ニーズとは、顧客がモノやサービスを購入・利用する理由のことです。顧客が求めているモノやサービス自体を指すのではありません。「壁に穴を開けたい」と顧客が考えているとすると、穴を開けられたという結果そのものがニーズです。
ドリルを使うか、キリを使うのか、また業者に開けてもらうのか、などの手段は問われません。マーケティングにおいて顧客ニーズをつかむとは、顧客が「どうなりたいか」を予測・把握して、実際にどうすれば実現できるかを考える作業が大切です。
顧客ニーズの種類
顧客ニーズは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2つに分類できます。具体例を挙げながら、どうすればそれぞれのニーズを引き出せるのか解説します。
顕在ニーズ
顕在ニーズとは、顧客が自身のニーズを「自覚している」状態です。なぜそのモノやサービスを購入・利用する必要があるか理由が分かっているとも言い換えられます。
顕在ニーズを把握するには、顧客が欲しいモノやサービスについて「なぜ」を繰り返し問うと明確になるでしょう。以下に具体例を挙げます。
○○:「新しいスマートフォンが欲しいです。」
■■:「なぜ新しいスマートフォンが欲しいのですか?」
○○:「今のスマートフォンでは容量が足りないからです。」
■■:「なぜ容量が多いスマートフォンが欲しいのですか?」
○○:「高画質な写真をたくさん撮りたいからです。」
■■:「なぜ写真をたくさん撮る必要があるのですか?」
○○:「子どもの成長を克明に記録して、家族の思い出を作りたいのです。」
このように会話を掘り下げると、単に新しいスマートフォンが欲しいだけではなく容量が多いスマートフォンを求めていることが分かります。欲しいものはスマートフォンそのものよりも、家族の思い出だと分かりました。さらに掘り下げれば家族の思い出=幸せを実感すること、などと言えるでしょう。
「幸せな時間を刻みたい」という真のニーズは、一見分かりづらい形で実は顕在化していることがわかります。
潜在ニーズ
潜在ニーズは、反対に顧客が自身のニーズを「自覚していない」状態です。顕在ニーズで判明した容量が多いスマートフォンを顧客に勧めても購入に至らないとします。
そこで会話を振り返り「写真をたくさん保存するために容量の多いスマートフォンが欲しい」ことから、「家族の思い出を残したい」のならばスマートフォンではなく写真を保存するための記憶媒体を勧めたり、そもそも家族旅行という全く別のサービスをお勧めしたほうが有効かもしれません。
顧客が自身でも意識していない隠れたニーズを汲み取ることが顧客満足度を高め、継続的なモノやサービスの購入・利用に繋がる場合があります。
ニーズとウォンツの違い
ここまで「ニーズ」について説明してきましたが、「ウォンツ」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。似た言葉ですがマーケティングでは、別物です。
ニーズはすでに説明したように状態のことで、「家族で幸せを実感したい」というのがニーズです。
一方でウォンツは、顧客が求めているモノやサービスそのものを指します。前例で言えば「ストレージの大きいスマホが欲しい」はウォンツに当てはまります。
同様に「ロボット掃除機が欲しい」のはウォンツで、「家事にかける時間を減らしたい」がニーズとなります。
顧客ニーズを把握する方法
顧客ニーズを把握するには、以下の3つのアプローチが有効です。どれか1つを行うのではなく、組み合わせることでより具体的で正確な顧客ニーズの把握につながります。
1.市場調査
調査の目的を明確にし、価格設定や競合他社の動向などの調査内容を決定します。市場調査会社のレポートや業界内の論文をはじめとした既存の情報を集め、他にもアンケート調査を行うと良いでしょう。
2.顧客にインタビューをする
ターゲットとなる顧客を選び出し、個別の面談や電話インタビュー、オンラインインタビューなどを行い顧客の意見・要望を収集します。集めたインタビューデータを分析し、共通の要素や傾向を掴んでください。
3.顧客データの分析
最後は顧客の購買履歴やウェブサイトやアプリの利用データの収集です。集めたデータをツールを使って分析し、ニーズや好みを把握します。分析結果を売り出したいモノやサービスの改善に活用しましょう。
顧客ニーズを満たす方法
顧客ニーズを満たすには、顧客との関係構築に限らず常に顧客の目線に立つことが重要です。また、顧客ニーズは常に変化していますので定期的な見直しと改善も必要でしょう。
1. モノやサービスのカスタマイズ
個別の顧客ニーズを満たすにはモノやサービスのカスタマイズ・パーソナライズが有効です。顧客の好みや要求に合わせたオプションや体験を提供しましょう。
すでに購入した顧客を「飽きさせない」工夫も重要です。一度、売ったら終わりではなく、顧客への新しい提案を行いましょう。アップセル・クロスセルの機会にもなります。
2. カスタマーサクセスの充実
SaaSをはじめとして、カスタマーサクセスの成否がチャーンレート(解約率)を左右し、顧客満足度に直結するようになっています。
顧客のロイヤリティ獲得には優れたカスタマーサクセスの存在が不可欠です。
ユーザーフレンドリーで、効率的、タイムリーなサービス提供を目指しましょう。
3. 顧客フィードバックへの迅速な対応
問い合わせフォームやメール、SNSに届いたフィードバックに対して自動返信メール機能を使い、要望や問題に素早く反応し対応するのが大切です。
顧客から受けた問題や課題に対しては、適切な部署や担当者に対応を依頼して顧客満足度をアップさせるとともに、問題の再発防止に努めます。顧客からのフィードバックを定期的に分析して傾向や共通の要望を把握しましょう。
フィードバックに対して行った対策を報告し、顧客に感謝を伝えます。
プロセルトラクションが顧客ニーズの把握・分析をサポート
この記事で顧客ニーズの概要は説明していますが、正確な顧客ニーズの把握はかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社で売り出したいモノやサービスに合わせた顧客ニーズの把握や分析をサポートします。
他社の成功事例
周囲を取り巻く環境や顧客ニーズは刻一刻と変化しており、先を見据えた企画開発が課題と言えるでしょう。この章では中小企業向け補助金・総合支援サイトミラサポplusから新しいモノやサービスの開発を助ける事例を3つご紹介します。
事例1:事業者向け製品を改善し家庭用販売に進出した企業
石材の加工を手掛ける岐阜県の会社では、多角化を目指して焼肉用調理器具の開発などを進めていました。
しかし感染症の流行により売上が落ち込んだことから、同社は巣ごもり需要に目を付けます。今まで飲食店向けに販売していた焼肉用調理器具を、家庭向けにターゲットを変更しました。
自社ECサイトだけでなくAmazonや楽天市場などのECモールへの出店で売上は順調でしたが、納品スピードや顧客対応に課題が残ります。そこで教育にも力を入れ、すべての製品を従業員一人が加工を行えるようにした結果、注文に迅速な対応ができる体制が整いました。
元々の技術や設備、人材と新たな発想をかけ合わせたことで成功した事例です。
事例2:オンラインツアーで新市場開拓
次は、旅先に本当に訪れた気分になれるというオンラインバスツアーで人気の観光バス・タクシー会社の事例をご紹介します。こちらの会社も感染症の影響でほぼすべてのサービスが提供できなくなり、しばらく厳しい状況だったそうです。
そこでWEB会議サービスであるZoomを活用して、自宅で気軽に旅行気分を味わえる「バーチャルとリアルの融合」を目指した「オンラインバスツアー」を考えました。
ライブ中継でガイドの解説を聞けますし、プランナーや現地ガイド、他の参加者と会話もできるので、より臨場感が増すそうです。
事例3:カスタマイズを中心としたホームページリニューアルによる新規顧客獲得
最後に、香川県でカバン製造を中心にビジネスを行っていた会社が消費者向けに販路を拡大した事例をご紹介します。
自分だけのオリジナルカバン製作をメインにホームページのリニューアルを行い、新商品を多くの人に知ってもらうためにイベントにてワークショップも開催したそうです。
その結果、認知度の向上と様々な顧客ニーズを知るきっかけになり、更なる新商品や新規顧客の獲得へ繋がりました。
顧客ニーズを正確に捉えよう
本記事では顧客ニーズの概要や種類、顧客ニーズを満たす方法について解説しました。定期的に調査や分析を繰り返すことで顧客の要求に寄り添ったモノやサービスを提供できます。
成功事例も参考にしながら、顧客ニーズを正確に捉えてターゲットへのアプローチをしましょう。
もし顧客ニーズの把握や分析が難しいと感じた場合は、プロフェッショナルへの依頼も検討してみてはいかがでしょうか。
顧客ニーズの把握・分析でお困りならプロセルトラクションにお任せください
プロセルトラクションではリクルートなどの大企業からスタートアップまで幅広く経験してきた営業のプロが、顧客ニーズの把握から分析までお手伝いします。ぜひお気軽にご連絡ください。