相見積もりを無効化する競合対策とは、商談後の社内検討プロセスまで売り手側から設計し、価格・機能比較の土俵に乗らない状態をつくる営業手法です。無料トライアルが当たり前になり、競合の機能・価格優位が顕在化したセグメントでは、「説明して、資料を渡して、検討を待つ」という従来型の営業は、社内会議で各社の資料が並べられた瞬間に「どこも同じに見える」状態に陥ります。本記事では、年間達成率150%・累計売上歴代1位を実現した営業担当者の競合対策を、①Recap資料による検討プロセス支配、②特別感の3要素、③AI活用による顧客固有の経済合理性、④3ヶ月刻みの長期ナーチャリング、という4つの設計原則で解説します(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)。
最終更新: 2026年7月
この記事の目次
なぜ「相見積もりに勝つ」だけでは不十分なのか──4つの構造問題
相見積もりで負ける営業組織の多くは、「提案内容が弱かった」と原因を捉えます。しかし実際の敗因は、提案の質ではなく「営業担当者がいない場所で何が起きているかを設計していない」ことにあります。
検討フェーズで発生している構造問題は、次の4つに整理できます。
- 検討は「自分たちのいない場所」で行われる──商談・デモ・提案までは営業担当者がコントロールできるが、稟議と最終判断は営業不在の社内会議で進む
- 手元に残るのは資料とスペック表だけ──感動的なデモも相手が席を立った瞬間から記憶でしか残らず、決裁者の判断材料は資料に書かれた情報のみになる
- DMU(意思決定関与者)の大半に直接会えない──現場担当者・運営責任者・決裁者の3層のうち商談で会えるのは一部で、残りには資料経由でしか情報が届かない
- 無料トライアルが比較消費型の検討を定着させた──「とりあえず複数社を試してから決める」流れが標準化し、商談での印象だけでは差がつかなくなった
つまり相見積もりを無効化するには、「商談の場で勝つ」ことに加えて、「検討の場(社内会議)で勝つ」設計が必要になります。
買い手が抱えている4つの本音
似たような印象の資料・体験が手元に溢れている買い手からは、次のような声が繰り返し出てきます。
- 「どの会社も同じに見える。決め手がない」
- 「営業の説明は良かったけど、社内に持ち帰ると伝わりにくい」
- 「結局、価格と機能スペックでしか比較できない」
- 「無料トライアルがあるなら、まずは試してから判断したい」
この状態を放置すると、商談でどれだけ熱量を伝えても、検討フェーズで価格と機能の比較表に押し込められ、最終的にスペックか価格のいずれかで競合に逆転される構造が固定化します。
売り手の認識と買い手の実態のギャップ
売り手は商談を終えて資料を送付した瞬間に「タスクが終わった」と感じますが、買い手にとってはそこから本格的な検討が始まります。この時間軸のズレが、失注の温床になります。
| 局面 | 売り手の認識 | 買い手の実態 | 本来打つべき手 |
|---|---|---|---|
| 商談直後 | 提案完了、検討待ち | 検討タスクの開始 | 当日中にRecap資料を送付する |
| 1週間後 | 進捗確認の連絡 | 資料の整理・社内共有 | 社内共有に使える論点を追加提供する |
| 2週間後 | 結論待ち | 上長・関連部署との議論 | 稟議用の定量効果を数字で渡す |
| 1ヶ月後 | 失注通知 | 価格と機能の表面比較で決定 | 比較軸そのものを自社活用シーンへ移す |
このギャップを埋めることが、競合対策の本質です。買い手の検討プロセスに「想起される存在」として残り続ける設計こそが、相見積もりを無効化する第一歩になります。そもそも狙うべき企業と関与者を先に定義してから接触するABM設計〜テレアポ代行の一気通貫の考え方も、この前提に立っています。
設計原則①:Recap資料で検討プロセスを支配する4つの手順
Recap資料とは、商談中の対話内容を「証跡」として資料化し、打合せ当日中に顧客へ届ける個別ドキュメントです。検討プロセスを支配するための最初の手法であり、今回の事例では数年前から運用を開始し、商談の都度カスタマイズしながら活用しています。
Recap資料の作成手順4ステップ
- デモ画面をキャプチャする──商談中に反応の良かった「実際のデモ画面」を画像として押さえる
- 顧客の課題に紐づけて配置する──顧客の課題・関心が高かったポイントごとにキャプチャを並べ替える
- 顧客固有の活用イメージを添える──その顧客の業務・体制に即した使い方をコメントとして書き込む
- 打合せ当日中に送付する──お礼メールに添付し、商談の熱量が冷めきる前に届ける
ポイントは「打合せ当日中」という即時性です。鉄は熱いうちに打つことで、商談での熱量が残っている状態で証跡を渡すことができ、誠実さの印象も同時に積み上がります。
「機能説明」から「課題解決シーン」への転換
Recap資料の中身は、製品カタログとはまったく違う設計思想で構成します。
- 機能の一覧を並べない
- スペックを羅列しない
- 代わりに、その顧客の課題を起点にした「解決シーン」を時系列で示す
- 顧客が話してくれた「将来の展望」に解決シーンを絡めて再提示する
たとえば、ある事業所が「請求業務の遅延が現場負担になっている」と話していた場合、Recap資料には「現場の請求業務が、どのデモ画面で・どの操作で・どう変わるか」を具体的に図解します。これにより買い手は、社内会議で「自社で導入した時に何が起きるか」を自分の言葉で語れるようになります。
Before/After:製品カタログから「成功のロードマップ」へ
このプロセスを経た資料は、もはや製品カタログではありません。資料の役割そのものが転換します。
| 比較軸 | Before(従来の提案資料) | After(Recap資料) |
|---|---|---|
| 資料の役割 | 製品カタログ | 顧客固有の成功のロードマップ |
| 中身 | 機能と価格の並列説明 | 課題起点の解決シーンを時系列で図解 |
| 送付タイミング | 商談から数日〜1週間後 | 打合せ当日中 |
| 宛先の粒度 | 汎用テンプレートの流用 | その顧客のためだけの一社限定 |
| 社内会議での論点 | 「どの会社の機能が良いか」 | 「この提案で自社がどう変わるか」 |
| 相見積もりへの影響 | 価格・機能の比較表に並べられる | 比較軸が自社活用シーンに移り形骸化する |
論点が「機能比較」から「自社活用シーン」に移動した瞬間に、相見積もりは実質的な意味を失います。競合と同じ土俵で戦うのではなく、土俵そのものを移し替える設計です。
設計原則②:「特別感」を構造化する3つの設計要素
Recap資料が機能するのは、そこに「特別感」が設計されているからです。特別感は感覚的な演出ではなく、次の3要素に分解して再現できます。
| 設計要素 | 具体的な行動 | 買い手側で起きる変化 |
|---|---|---|
| 1. 即時性 | 打合せ当日中に資料を送付する | 「自社を優先してくれている」「導入後も丁寧に対応してくれそう」という信頼の裏付けになる |
| 2. 一社限定 | 汎用テンプレートを流用せず、その顧客のためだけに作成し「御社のために別途作成しました」と伝える | 共通文書として処理されず、特別な文書として社内で大切に扱われる |
| 3. 社内報告しやすさ | 稟議担当者がそのまま流用できる構成・図解・定量効果を盛り込む | 営業担当者が「売り手」ではなく「社内稟議の味方」として認識される |
即時性──「当日送付」が差別化になる理由
多くの担当者は商談から数日〜1週間後にフォローメールを送るため、「当日中の送付」はそれだけで明確な差別化ポイントになります。買い手の視点では、次のような印象が積み上がります。
- 「自社のために優先順位を上げてくれている」
- 「対応が速く、依頼後の動きも信頼できそう」
- 「この担当者なら、導入後も丁寧に対応してくれるだろう」
商談中に得た信頼を、当日中の行動で「裏付け」する設計です。
社内報告しやすさ──「稟議の味方」になる4つの工夫
3つ目の要素は、顧客が社内報告に使いやすい構成です。Recap資料は、買い手側の稟議担当者の負担を減らすドキュメントとして設計します。
- 商談で出た課題と、それに対する解決策を一対一で対応させる
- 数字で語れる定量効果を冒頭に配置する
- 経営層への説明用と、現場担当者への共有用の両方の論点を含める
- 図解を多用し、稟議資料の参考としてそのまま使える品質にする
ここまで設計すると、「この担当者は、自分たちが社内を通すのを手伝ってくれている」という印象が生まれ、最終的な発注判断にも影響します。決裁者・部門責任者・現場担当者それぞれに刺さる言葉を作り分ける発想は、リードセグメント別スクリプト作成・改善スキームの考え方と同じ構造です。
競合対策の設計や、検討プロセスを支配する営業手法の構築でお悩みでしたら、プロセルトラクションの営業代行にご相談ください。
設計原則③:AI活用で「顧客固有の経済合理性」を3つの価値に接続する
Recap資料に加えて、近年取り入れているのがAI活用による顧客個別の経済合理性の可視化です。今回の事例では、福祉施設向けSaaS領域で発生した臨時報酬改定に対し、AIを用いて顧客ごとに試算を行い、独自資料として送付しています。
制度変更を「顧客ごとの数字」に翻訳する4つの要点
- 業界全体に影響する制度変更を、汎用情報のままにせず顧客ごとに翻訳する
- AIで試算ロジックを汎用化し、顧客データを入力するだけで個別資料を生成できる状態にする
- 「うちの場合いくら影響があるのか」という問いに、即時に数字で回答する
- 制度変更が起きるタイミングを、追加コミュニケーションの正当な理由として使う
買い手の本音として典型的なのは「業界全体の話は分かるけど、自社にいくら関係あるか分からない」という反応です。AIで個別試算を即時提供することで、この本音を正面から解消できます。
売上アップ・コスト削減・リスクヘッジへの接続
顧客固有の試算資料は、最終的に経済合理的な3つの価値のいずれかに接続させます。BtoBの意思決定根拠は、ほぼこの3つに帰着します。
| 分類 | 試算で示す内容 | 稟議で語れるようになる言葉 | 主に響く相手 |
|---|---|---|---|
| 売上アップ | 制度変更後の請求単価アップを取りこぼさないための運用設計 | 「いくら売上が上がる」 | 経営者・事業責任者 |
| コスト削減 | 制度変更対応工数の削減効果と、システム化による削減金額 | 「何時間削減できる」 | 部門責任者・稟議担当者 |
| リスクヘッジ | 対応漏れによる行政指導・返還リスクの回避効果(推定) | 「どのリスクが何%減る」 | 経営層・管理部門 |
稟議準備の段階で買い手から頻発するのは、次のような声です。
- 「業界全体の話は分かるけど、自社にいくら影響があるか分からないと稟議に書けない」
- 「経営層に説明するときに、定量効果がないと判断材料にならない」
- 「現場メンバーから『また新しいツール?』と言われると、効果を数字で示すしかない」
これらの本音に対してAI試算による顧客固有の数字を即時提供すると、買い手は稟議の説明資料そのものを社内に提示できる状態になります。営業担当者の役割が「説明する人」から「稟議の伴走者」に変わる瞬間です。
BEYOND THE PROPOSAL──「配るもの」から「想起させるもの」へ
ここまでの設計を通じて、提案資料の役割は根本的に変わります。「BEYOND THE PROPOSAL」という言葉で表現されるように、提案資料は「配るもの」から「顧客の成功を想起させるもの」へと進化します。
- 配るもの:商談の場で渡し、検討で他社と並べられる文書
- 想起させるもの:商談後も顧客の頭の中で再生され続ける記憶装置
この設計の本質は、「マインドセットの強化」ではなく「営業プロセスのシステム化」にあります。担当者個人の熱量で乗り切るのではなく、商談後の顧客社内に届く資料の中身まで含めて勝てる仕組みを組み立てる。誰が運用しても一定水準の成果が出る再現可能な仕組みになっているかどうかが、競合対策の成否を分けます。
設計原則④:3年越しナーチャリングで競合を排除する3ステップ
検討プロセスの支配と並行して、もう一つの軸になるのが長期ナーチャリングです。今回の事例では、機能不足で検討対象外と言われた顧客に対し、3ヶ月刻みの接触を積み上げ、初回打合せから2年半後に提案アポイントへ到達しています。その時点で競合は事実上排除されていました。
ステップ1:リスト交換ルールを「定期接触の正当な理由」に変換する
この事業現場には、次のような運用ルールが存在します。
- DMリストは2ヶ月で交換される
- 「次回の会話の約束」がある場合のみ、3ヶ月先までTODO設定が可能
これを制約と捉えると長期顧客の関係維持は困難になります。しかし発想を逆転させ、「ルールの制限を、定期接触の正当な理由に変換する」と考えると、次の3つの行動原則が導けます。
- リストが流れる前に、必ず「具体的な宿題」を創出する
- 「いつか連絡します」ではなく「3ヶ月後にこの変化を確認します」と約束を具体化する
- TODOを3ヶ月刻みで繋ぎ続け、関係を切らさない
買い手から見ると、この設計で接触してくる営業担当者は「節度を持って、必要なタイミングで情報をくれる人」として認識されます。営業色の強いフォローではなく、「次回の宿題」を具体的に持って連絡する構造が、長期関係の土台になります。
ステップ2:「機能の不足」を「将来の約束」に変える対話術
長期ナーチャリングの実例では、初期段階で接点を持った顧客が競合と比較検討しており、自社サービスには決め手となる機能がない状態でした。そこからの経過は次の通りです。
- 1年目:機能不足を理由に検討対象外と言われる
- 「実装時には必ずお伝えします」と約束し、ナーチャリングを開始
- 3ヶ月ごとに現状把握と社内必要事項のヒアリングを継続
- 信頼関係の土台を時間をかけて構築
買い手の本音として典型的なのは「機能がない時点で検討の余地はない。話を聞くだけ無駄」というものです。加えて「他社から似たような提案が定期的に来るので、また説明されるのは正直疲れる」という疲労感も、長期検討顧客には溜まっています。この本音に対して、機能のアップデートを「将来の約束」として設計しなおすことで、関係を切らさずに維持できます。
「将来の約束」として設計する際の対話のコツは、3つあります。
- 自社サービスの実装ロードマップを、開発チームと連携して把握しておく
- 顧客の課題と、ロードマップ上の機能リリース時期を紐付けて伝える
- 機能リリース時には、約束通り真っ先に連絡する運用を徹底する
この3つを徹底すると、顧客は「この担当者は、自社の課題を覚えていてくれる人だ」と認識します。営業色のある定期接触ではなく「将来の約束を履行するための連絡」という位置付けに昇華するため、断られることなく接触を継続できる構造になります。
ステップ3:顧客社内の「チャンピオン化」で代弁者を獲得する
3年目になると、その顧客社内に検討チームが組成されました。そこには、長期ナーチャリングを通じてやり取りを続けてきた現場担当者が参画していました。検討の場で、この担当者は次のような立ち回りをします。
- 競合がどれだけ提案してきても、「自社サービスかゼロかの2択」に持ち込む
- 営業担当者がいない場所でも、自社サービスの良さを社内に伝える
- 競合の提案が出ても、その都度、検討軸を自社サービスに引き寄せる
結果として、最初の打合せから2年半後にやっと提案アポイントが組まれ、その時点では競合は事実上排除されていました。買い手社内のチャンピオン(強力な推進者)が機能している状態をつくることが、相見積もりを無効化する最終形態です。
このエピソードのもう一つの示唆は、対象顧客の規模感です。この担当者は「12事業所を束ねる、1人で運営しているオーナー」でした。決裁権を持つキーパーソンとの3年越しの関係構築が、最終的な大型受注を生み出した構造です。長期で追うべき相手を見極める観点は、高受注率×高LTVリードの見極め・スコアリングの発想とそのまま重なります。
挫折からのV字回復──3ヶ月で87事業所導入を実現した構造的対応
ここまでの設計が機能していた一方で、長期にわたる連続目標達成が一度途切れた局面がありました。短期の数字積み上げと長期の検討プロセスのズレが顕在化した瞬間です。
未達を招いた5つの構造的要因
- トスアップ数で目標数字が積み上がる仕組みだった
- 当時、大手法人セグメントを2名体制で担当していた
- 特定の数ヶ月に大手法人の商談タイミングが集中した
- 大手法人はFIXまで数ヶ月かかるリードタイムだった
- 結果、当該月の実績は単月目標の半分しか達成できなかった
学びは、単月の数字ロジックと長期パイプラインの構造的なズレを直視することの重要性です。短期の積み上げと長期の関係構築が両立していないと、検討リードタイムの長いセグメントでは月次の波が大きくなります。
次の3ヶ月で実行した並行運用と結果
未達を踏まえた次の3ヶ月では、検討フェーズに入っている長期案件の同時進行と、新規検討喚起のためのRecap資料運用を並行させました。
| 期間 | 実績 | 効いた施策 |
|---|---|---|
| 未達月 | 単月目標の50% | 大手法人の商談集中・リードタイム長期化が重なる |
| 1ヶ月目 | 前月比で大幅回復 | 検討フェーズの長期案件を同時進行させる |
| 2ヶ月目 | 前月水準を維持 | Recap資料による新規検討喚起を並行 |
| 3ヶ月目 | 単月最高更新 | 長期案件のFIXタイミングが重なる設計が機能 |
| 3ヶ月計 | 87事業所への導入 | 検討プロセス支配と長期ナーチャリングの両輪運用 |
(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)
直前の停滞を打破した3ヶ月でのV字回復は、検討プロセス支配と長期ナーチャリングが両輪として機能した結果です。最終局面まで運用を止めずに継続する設計が、87事業所への導入に繋がりました。
個人の勝ち筋を組織の型に変換する4つの打ち手
高い達成率を出す担当者の取り組みを組織として再現可能にするには、個人ナレッジの汎用化が欠かせません。具体的な打ち手は次の4つです。
- デモ画面中心の資料テンプレートを、共有資産として配布する
- インサイドセールスとフィールドセールス、それぞれの役割に合わせてナーチャリング手法を解説する
- 商談前準備・商談後の追客フォローを、壁打ち形式でチーム共有する
- 競合への勝ち筋を「ナレッジ」として言語化し、誰でも参照できる形に残す
ここまで徹底すると、クライアントから「売り方開発に協力してほしい」という依頼が届くこともあります。自社の売り方が買い手企業の購買体験そのものを向上させており、商品提供と方法論の両方が価値として認識される状態です。営業組織のアウトプットが、単に自社の数字を作るだけでなく、買い手の意思決定インフラを支える存在へと進化していく構造です。
最終的な実績
月平均22事業所への導入を継続しながら、次のような節目を積み上げています。
| 指標 | 実績 |
|---|---|
| 月平均導入数 | 22事業所 |
| 単月売上 | 単月最高更新 |
| 3ヶ月売上 | 87事業所への導入で目標達成 |
| 年間達成率 | 150% |
| 累計売上 | 歴代1位 |
(出典: プロセルトラクション社内実績、2026年時点)
月次の積み上げと長期検討案件のFIXタイミングを両輪で設計し続けた結果として、この実績が出ています。
長期案件と単月目標を両立させるパイプライン設計でお悩みでしたら、プロセルトラクションのインサイドセールス支援にご相談ください。
まとめ:相見積もりを無効化する4つの設計原則
本記事で紹介した取り組みから抽出できる設計原則は、次の4点に整理できます。
- 検討プロセスを売り手側から設計する──商談の場だけでなく、商談後の社内会議も含めて勝つ設計を組む。Recap資料による「想起される存在」化が、検討プロセス支配の起点になる
- 「特別感」を3つの要素で構造化する──即時性・一社限定・社内報告しやすさを揃えることで、買い手から「売り手」ではなく「社内稟議の味方」として認識される
- AI活用で顧客固有の経済合理性を即時可視化する──業界全体の話を顧客固有の数字に翻訳し、売上アップ・コスト削減・リスクヘッジのいずれかに接続させて稟議の説明材料を渡す
- 3ヶ月刻みのナーチャリングで競合を排除する──リスト交換ルールを「定期接触の正当な理由」に変換し、長期で関係を切らさず社内チャンピオンを育てることで、相見積もり自体を形骸化させる
4つの原則が接続する経済合理的価値
| 分類 | この設計で生まれる効果 |
|---|---|
| 売上アップ | 相見積もりを無効化することで価格競争を回避し、適正単価での受注を確保する |
| コスト削減 | 長期ナーチャリングを仕組み化し、毎回ゼロから関係を作り直す工数を削減する |
| リスクヘッジ | 単一案件依存から脱却し、3年スパンの関係を複数同時進行することで月次の数字変動リスクを分散する |
これらの効果は、年間達成率150%・累計売上歴代1位・単月最高更新という具体的な実績として現れました。属人的な努力の結果ではなく、設計に基づく必然の成果として再現可能な形で残っている点が、本事例の最大の価値です。
「マインドセット」から「システム化」への進化
本事例の最大の示唆は、営業の成果が「気合と根性」や「個人のセンス」ではなく、設計とシステム化によって再現可能であるという点です。Recap資料のフォーマット、AI活用の試算ロジック、3ヶ月刻みのTODO設計は、いずれも他のメンバーが再現できる仕組みとして整っているため、組織として横展開できる前提があります。
属人的な「できる人の勝ち筋」を、組織の「再現可能なナレッジ」に変換する。この転換ができた組織だけが、競合の機能・価格優位が顕在化したセグメントでも、安定的に高い達成率を出し続けられます。顧客の生の声を訴求と資料の改善に接続していくVOC起点のPDCAを回し続けることが、その土台になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相見積もりを無効化する競合対策とは何ですか?
相見積もりを無効化する競合対策とは、商談後の社内検討プロセスまで売り手側から設計し、価格・機能比較の土俵に乗らない状態をつくる営業手法です。商談・デモ・提案までは営業担当者がコントロールできますが、稟議と最終判断は営業不在の社内会議で進み、そこでの判断材料は資料に書かれた情報のみになります。そこで、①Recap資料による検討プロセス支配、②即時性・一社限定・社内報告しやすさという特別感の3要素、③AI活用による顧客固有の経済合理性の可視化、④3ヶ月刻みの長期ナーチャリングという4つの設計で、社内会議での論点を「どの会社の機能が良いか」から「この提案で自社がどう変わるか」へ移し替えます。
Q2. Recap資料の作り方・4つの手順は?
4ステップで作成します。第1に、商談中に反応の良かった実際のデモ画面をキャプチャします。第2に、顧客の課題・関心が高かったポイントに紐づけてキャプチャを配置します。第3に、その顧客固有の活用イメージをコメントとして添えます。第4に、お礼メールに添付して打合せ当日中に送付します。中身の設計は、機能一覧やスペックを並べるのではなく、顧客の課題を起点にした「解決シーン」を時系列で図解し、顧客が話してくれた将来の展望に絡めて再提示するのが原則です。買い手が社内会議で「自社で導入した時に何が起きるか」を自分の言葉で語れる状態をつくることがゴールになります。
Q3. 従来の提案資料とRecap資料の違いは何ですか?
従来の提案資料は「製品カタログ」として機能と価格を並列で説明し、商談から数日〜1週間後に汎用テンプレートを流用して送られるため、社内会議で他社資料と並べられて価格・機能の比較表に押し込められます。一方Recap資料は「顧客固有の成功のロードマップ」として、課題起点の解決シーンを時系列で図解し、その顧客のためだけに作成して打合せ当日中に送付します。結果として社内会議の論点が「どの会社の機能が良いか」から「この提案で自社がどう変わるか」に移り、相見積もりが形骸化します。資料の役割が「配るもの」から「顧客の頭の中で再生され続ける記憶装置」へ転換する点が最大の違いです。
Q4. 長期ナーチャリングはどのくらいの頻度・期間で続けるべきですか?
本事例では3ヶ月刻みの接触を約3年間継続し、初回打合せから2年半後に提案アポイントへ到達しています。ポイントは頻度そのものより「次回の宿題」を毎回具体化することです。「いつか連絡します」ではなく「3ヶ月後にこの変化を確認します」と約束を具体化し、TODOを3ヶ月刻みで繋ぎ続けます。機能不足で検討対象外と言われた場合も、実装ロードマップを開発チームと連携して把握し、顧客の課題とリリース時期を紐付け、リリース時には約束通り真っ先に連絡する運用を徹底することで、接触が「営業のフォロー」ではなく「将来の約束の履行」として受け止められ、断られずに継続できます。
Q5. プロセルトラクションの競合対策・営業設計支援の特徴は何ですか?
プロセルトラクションは、300社以上のBtoB営業支援実績(出典: プロセルトラクション、2026年)をもとに、商談前のターゲット設計から商談後の検討プロセス支配までを一気通貫で支援します。ABM設計〜テレアポ代行の一気通貫で狙うべき企業へ接触し、高受注率×高LTVリードの見極め・スコアリングで長期で追うべき相手を特定し、リードセグメント別スクリプト作成・改善スキームで決裁者・部門責任者・現場担当者それぞれに刺さる訴求を作り分け、ナーチャリング→商談トスアップまでを運用します。VOC起点のPDCAで顧客の生の声を資料と訴求の改善に接続し、属人的な勝ち筋を組織の再現可能なナレッジへ変換する伴走を行います。
商談後の社内会議で何が起きているか、そこで自社の提案がどう扱われているか──Recap資料の設計、稟議を通すための定量効果の作り方、長期ナーチャリングの運用ルール化についてお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。価格と機能の比較から抜け出す営業の型を、一緒に描いていきます。
この記事の執筆者
長谷川 裕樹(はせがわ ゆうき)
株式会社プロセルトラクション 代表取締役
リクルートにてSMB〜エンタープライズの新規開拓・ソリューション営業・マネジメント・営業企画を経験後、新規事業責任者としてBtoB新規事業横断セールス統括を歴任。複数事業のセールス・マーケティング組織およびCSチーム立ち上げを経て、2018年コムレイズ・インキュベート設立、2021年プロセルトラクション設立。200を超えるBtoB新規事業のセールス・マーケティング支援実績を持つ。







