自社の商品やサービスをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えた時、重要になるのがUSPの設定です。これは、自社の商品やサービスが顧客に対して提供できる独自の価値を意味します。

似たような製品があっても、自社オリジナルの強みを明確に強調することで顧客に選ばれる可能性は高まります。

今回の記事では、企業が自社の商品やサービスに関してUSPをどのように定めればよいか、設定のための注意点を解説してます。正しいUSPを設定し、自社の商品やサービスの価値を上げましょう。

USP(Unique Selling Proposition)の設定とは

企業が商品やサービスを販売して利益を出していく場合、自分たちの強みを明確にし、競合他社とどこが違うかを打ち出す必要があります。そこで重要になるのがUSPです。この項目では、正しいUSPを設定していくための基本を解説していきます。

USPの定義と重要性

USPは英語の「Unique(独自)」「Selling(売り)」「Proposition(提案)」の頭文字をとった言葉です。自分たちの独自の強みを見つけ、競合他社との違いを表すものがUSPです。

自社だけが独占的に特定の商品を開発、販売できるケースはきわめて稀です。画期的なサービスを生み出しても、瞬く間に競合が現れて価格競争に巻き込まれることのほうが多いでしょう。自社が後発となる場合は、シェアの獲得が一層困難になるかもしれません。

USPを定めることで、自社の独自性・優位性を顧客に伝えて競争で優位に立つことができます。USPはキャッチコピーとよく混同されますが、USPは自社の特徴について独自性を追求するもので、キャッチコピーはUSPをわかりやすく伝える手法のひとつです。

USPの要素と特徴

USPを設定する際に考えるべき要素を紹介します。

1:コストパフォーマンス

商品やサービスを購入する際に、価格が比較されないことはまれです。「業界最安値」のように安さを訴求できる場合は、USPを定めやすいと言えるでしょう。安さは商品を購入するきっかけになるためです。

2:品質

品質の優位性もUSPの要素となります。競合製品と比べるだけでなく、自社の既存製品と比べて進化したポイントを数値を用いて伝えられると説得力が増すでしょう。

機能を伝えることも可能ですが「顧客満足度○年連続第1位」など、客観性・具体性のある伝え方をするとUSPとして機能するでしょう。

3:充実したサービス

さらに充実したサービス内容もUSP設定の要素となります。

「無償保証」「アフターサービス」などがその例です。品質と同様に、価値を言葉で伝えるのが難しいため、具体性があり、客観的な表現を使うと、うまくアピールできるでしょう。

選択肢の広さも、サービスの一部としてとらえられます。消費者が商品やサービスを選ぶ際に、ラインナップが幅広いことやオプションを柔軟に設定できることもPRポイントとなるためです。これも「最大1000種類の組み合わせ」などとUSPとして設定できるでしょう。

選択肢が広いと、多くの商品やサービスの中から自分に合ったものを選べるようになります。これが顧客にとっての大きな価値になるのです。

USP設定のための5つのポイント

どのようにUSPを設定するのか、具体的な方法を解説します。

・ターゲットを絞る
・自社商品の強みを探る
・競合他社の強みをリサーチ
・自社のセールスポイントを見つける
・顧客のベネフィットに変換できるかチェック

以上の5つのステップ順に見ていきましょう。

1:ターゲットを絞る

ターゲットを絞り、狭い範囲の顧客と濃い関係を築く姿勢が大切になります。できるだけ多くの顧客に販売したいと考えると、メッセージが散漫になりがちです。しかし、それでは最も訴求したい対象にも、自社商品の魅力が伝わりづらくなります。

特徴がないと感じられた商品やサービスは、だれの心にも響きません。

そこでターゲットを狭く濃い範囲に設定し、対象が悩んでいる課題、欲している内容などを深く検討します。

2:自社商品の強みを探る

正しくUSPを設定するために、自社の商品やサービスの強みを研究します。自社が考える強味と、ユーザーの捉え方は必ずしも一致しません。

そこれでカスタマーサポートに寄せられたユーザーの声を参考にしたうえで、開発やマーケティング、製造など複数部門の担当者が集まり、意見を出し合ってみましょう。特定の手法に偏らず、またはじめから決めつけずに、幅広く意見を集めることも重要なステップです。

色々な角度からランダムに強みを挙げていき、さらに顧客側から見た特徴も挙げていくようにしましょう。そのなかで他社を圧倒すると考えられるほど突出した強みだけを残し、USPを設定しやすくします。

3:競合他社の強みをリサーチ

自社の強みだけではなく、競合他社の強みもリサーチします。自社独自の強みだと思っていたものが、他社も同様であれば、ユニークな強みとはいえません。他社の強みも調べると、業界内で誰も踏み込んでいない領域がハッキリします。

新しい領域に踏み込める可能性がありますし、自社の方が優れている強みがあれば、それはUSPとして使えるでしょう。他社の強みをリサーチすると、差別化できる独自性が見つかります。独自のサービスを追い求め、一歩踏み込んだサービスでファンを生み出せるでしょう。

4:自社のセールスポイントを見つける

すでに解説した自社の強みを見つけるという方法から、さらに一歩踏み込んでセールスポイントをハッキリさせます。これは、単なるキャッチコピーではなく、独自性と専門性を盛り込んだUSPとして使えるセールスポイントの設定です。

商品やサービスの開発にも強く関連するのですが、競合他社が扱っていない独自性や、自社だけが持つ専門性などは、効果的なUSPを設定する際の強力な武器になるでしょう。

5:顧客のベネフィットに変換できるかチェック

セールスポイントを設定できたら、それが顧客の価値になるか再確認しましょう。顧客が求める価値は、単純ではありません。仮に低価格だけを売りにしても、それが顧客の求める価値に直結しているとは限りません。

低価格を実現する取り組みは競合も実践している場合が多く見られます。価格だけて訴求すると、いわゆる価格競争、値引き合戦を招いてしまいます。だからこそ「価格」と「品質」をかけ合わせ、価格以上の品質を持つ商品だと訴える必要があるのです。顧客の求める価値を生み出すためには、価値のかけ合わせが重要です。

このようにして自社の強みをかけ合わせで作り上げていきましょう。それが唯一の価値のあるものとなり、ターゲットとなっている顧客に受け入れられるのです。

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この記事でUSP設定の概要は説明していますが、新規事業で効果的なUSPを設定し、利益を出していくのはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたインサイドセールスのご提案から実践までサポートしています。

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USP設定の際の3つの注意点

USPを設定する際の注意点について解説します。

ターゲットのニーズに応えているか確認

USPは、ターゲットに設定した顧客のニーズに応えるものでなければなりません。

ターゲット層がどんな課題を抱えていて、どのようなサービスを求めているのか。ニーズは常に変化していくため、自社に「ズレ」が起きていないか定期的に確認しましょう。

そして設定したUSPによって商品やサービスがどんな価値を提供できるかがニーズに沿ったものになっているかも繰り返し確認します。

商品やサービスを買うとどのようなメリットが得られるのかを、顧客となっているターゲットに正しく理解してもらう必要があるのです。

一度設定したUSPの価値を守り抜く

USPは顧客との間の固い約束とイメージするとよいかもしれません。仮に「30分で商品を届ける」デリバリーの仕事は、スピードが最も求められます。「100人乗っても壊れない」商品は、堅牢さこそが命になるのです。

USPは顧客のニーズに必ず応えるものであり、商品や企業としての誓いを簡単に変えるべきではありません。設定したUSPは、商品の存在価値にかかわるものです。。

USPは1つにしぼらなくてもよい

USPは必ず1つにしなければならないというルールはありません。1つに絞るとピンポイントに刺さる可能性はありますがしかし複数のかけ合わせで新たな価値が生まれるケースもあるのです。

はじめからUSPを1つに絞るのではなく、ターゲット顧客にどのようにしたら伝わるのかを考えましょう。その結果、顧客の求めに応じて複数のUSPを設定しても問題はないのです。

USP設定の分析に使える3つの方法

他社にはない自社だけの強みを発見していくのが、USPの設定の主な目的です。だからこそ効果的なUSPの設定は難しいかもしれません。本項目では、USPの設定に使える3つの分析方法を解説していきます。

・自社の強みを知るための4P分析
・顧客の心理に応えるための4C分析
・自社のUSPを明確にするためのSWOT分析

自社の強みを知るための4P分析

4P分析は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促促進)」の4つの視点から商品やサービスのマーケティング戦略を生み出し、実行していていくための手法です。

Productでは、自社の商品やサービスのどんな点が強みなのかを明確に分析していきます。これは、商品やサービスの機能や質だけではありません。デザインをはじめ、カラーバリエーション、サービスのオプションなども含まれます。

Priceでは、価格の設定を分析していきます。価格設定は単純なものではなく、安ければ売れるという時代は終わっています。商品やサービスの本来の価値に加え、市場での人気や希少性などを加味し、十分に分析する必要があるのです。

Placeでは、どこでどのように売るのかを分析していきます。卸売業者を経由するか、メーカーから直販するか、ECサイトで販売するかなどです。一般の流通にのせるとしても設定の仕方はたくさんあります。これらを正しく分析するようにしましょう。

Promotionでは、より多くの商品やサービスを売るために、どのような販促活動をするべきなのか分析していきます。ターゲット層を絞り込むために、商品やサービスの特性を再確認する必要があるでしょう。コストの兼ね合いなども考慮します。

顧客の心理に応えるための4C分析

4C分析は顧客側の視点に立った分析方法です。

「Customer Value(顧客にとっての価値)」「Customer Cost(顧客にとってのコスト)」「Convenience(顧客にとっての利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の4つの要素から、顧客の心理を見つける分析法になります。

Customer Valueでは、自社の商品やサービスがターゲットとなっている顧客に対して、どのくらいの価値を持っているのか分析します。どんなに高品質で高機能な商品であってもそれを必要とする顧客がいなければ意味がありません。

Customer Costは、コストパフォーマンスの高さを意味します。提供される価値に対して、価格は適切か、正しい価格設定であれば顧客も提供側も満足が得られやすくなります。

Convenienceでは顧客にとっての利便性を分析していきます。インターネットが主流になり、商品の流通形態は様々になりました。この時、顧客が自分のアクセスしやすい方法で購入できる点が重要です。使いにくさを感じさせてしまうと、商品を購入してもらえなくなります。

Communicationでは顧客に合わせたコミュニケーションの手法を分析していきます。現代社会では、ウェブサイトやメールだけではなく、SNSも重要な媒体になっています。顧客の好みを分析して、コミュニケーションのツールを選定し分析するのは非常に重要です。

自社のUSPを明確にするためのSWOT分析

最後に紹介するのはマーケティング戦略に使われるSWOT分析です。

まず、内部環境と外部環境に分けて、それぞれプラス面とマイナス面を作っていきます。自社内外に存在する、色々な要素を入れ込んで分析する手法です。

内部環境のプラス面を「Strength(強み」とし、マイナス面を「Weakness(弱み)」と設定します。さらに、外部環境のプラス面を「Opportunity(機会)」とし、マイナス面を「Threat(脅威)」と設定します。

それぞれの箇所に、先ほど解説した自社内外に存在する要素を組み込み、各要素をかけ合わせて具体的な分析をしていくのです。

まずは、内部環境の分析をしていきます。これは品質や価格、人材の数や質などを意味します。これらの要素の強みと弱みをそれぞれ洗い出していきましょう。この時、自社特有の視点から洗い出していくと、効果的に分析できます。

次に外部環境の分析を行います。これは、業界全体と市場規模や成長性、国内経済の状況、流行や話題性などです。外部環境のプラス面である機会を分析します。自社のポジションを見つめなおす作業です。自社が業界でどんなポジションにいて、それが有利なのか不利なのか把握するようにしましょう。

さらにマイナス面である脅威を見つける作業もしましょう。自社外に存在する脅威となる要素を探し出す必要があるのです。これらをしっかり分析すると自社の今後を決める重要な要素を見つけやすくなります。

最後に行うのが、内部環境と外部環境の要素をかけ合わせて行う「クロスSWOT分析」です。それぞれ「強み×機会」「弱み×機会」「強み×脅威」「弱み×脅威」をかけ合わせて分析していきます。これにより、社内・社外のプラスとマイナス面を客観的に把握できます。

USPを設定し独自性を持ったサービスを提供しよう

USPを正しく設定できると、顧客に対して独自性の高い商品やサービスを販売できるようになります。今回の記事では、USPの定義や重要性、設定のためのポイントや注意点などを解説してきました。USPは適切に設定しなければ効果を発揮しません。

効果的なUSPを設定するためにも、本記事で紹介した内容を把握し、実践するようにしてください。そうすれば、自社の商品やサービスをもっと知ってもらえますし、業績向上につながるでしょう。

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