最終更新: 2026年5月

テレアポチームを立ち上げる際、多くの組織が「とりあえず架電させてみる」というアプローチで始めます。しかし、KPIの設計・スクリプトの整備・レポート体制が整っていないまま架電を始めると、「何が課題なのかわからない」「改善の方向性が見えない」という状態が続き、成果が安定しません。

プロセルトラクションが実際の営業支援現場で整備しているテレアポチームの立ち上げ手順を、7つのステップで解説します。KPI設計からスクリプト作成・実行体制・レポート構造まで、チームを機能させるための設計図を体系的にまとめました。

テレアポチームの立ち上げに必要な7ステップとは?

テレアポチームの立ち上げに必要な7ステップとは、KPIシート作成・トークスクリプト作成・架電リスト作成・キックオフシート作成・実行体制確認・レポート体制整備・ナレッジ共有の仕組み化です。この7つを整備してから架電を始めることで、活動開始直後から課題の特定と改善が可能になります。

ステップ内容
01KPIシートの作成
02トークスクリプトの作成
03架電リストの作成
04キックオフシートの作成
05実行体制の確認
06レポート体制の整備
07ナレッジ共有の仕組み化

テレアポのKPIシートはどのように設計するのか?

テレアポのKPIシートは、月間目標を日次の行動量に分解し、架電数・接続率・アポ獲得率などの指標をメンバーごとに可視化するツールとして設計します。朝夕のモニタリングと組み合わせることで、日次PDCAを回す仕組みが整います。

KPIシートを「月間目標」から日次計画に落とし込む方法とは?

KPIシートは、月間目標を達成するために必要な日次の行動量を可視化するツールです。テンプレートを活用して、以下のKPI項目を設定します。

基本KPI項目:

  • 架電数(総架電・日平均)
  • 接続数・接続率
  • アポ獲得数・アポ獲得率
  • 商談数・商談化率
  • 受注数・受注率
  • 売上額・達成率

これらの項目をメンバーごとに管理し、合計シートで全体集計できる構造にします。複数名が稼働する場合はシートのタブを複製して個人別に管理し、合算シートで全体数値を確認できるようにします。

なぜ朝夕のモニタリングが課題発見の速度を上げるのか?

KPIシートの運用で最も重要なのは、モニタリングの習慣化です。朝会・夕会を15〜30分程度で毎日実施し、各メンバーのKPIシートを画面共有しながら目標に対する進捗を確認します。

目標KPIに対してビハインドしている場合は、パイプラインのどこがビハインドしているのかを特定し、そこに対する具体的な対策を実行した上で、翌日の朝会で振り返ります。この日次サイクルが、週単位・月単位での改善速度を決定的に左右します。

テレアポのトークスクリプトを設計する方法とは?

テレアポのトークスクリプトは、受付突破・キーマンリーチ・パーミッション取得・アポ獲得・日時確定の5段階構造で設計します。各段階で相手の心理に合わせた話法を組み込むことで、アポ獲得率を高められます。

スクリプトの「5段階構造」とは何か?

テレアポのトークスクリプトは、以下の5段階の構造で設計します。

1. 受付突破
架電先企業から見ると、見知らぬ企業からの電話は「突然」「知らない企業から」「よくわからない内容」という感覚で受け止められます。受付担当者が最初の判断者となるため、「堂々と」「簡潔に」「わかりやすく」架電趣旨を伝えることがキーマン(決裁者)に取り次いでもらうポイントになります。

受付突破トーク例:
「プロセルトラクションの●●と申しますが、●●部の●●様はいらっしゃいますでしょうか?(バイネームの場合)」
「●●のご担当者様はいらっしゃいますでしょうか?(ホワイトリストの場合)」

受付を「個人として扱い、コミュニケーションを取る」姿勢が、取り次ぎ率を上げます。

2. キーマン(決裁者)リーチ
知らない会社からの電話を受けたキーマンに対して、以下の3点を自然に伝えます。

  • 会社概要・架電趣旨
  • どのような商品(サービス)か(営業的な内容はNG)
  • その商品はどのような会社が導入していて、どのようなメリットがあったか

「何のための電話か」「自分の会社にどのようなメリットがあるのか」を明確に伝えなければ、「忙しいので不要です」となってしまいます。

トークスクリプトには、会社の信頼性を高める要素を盛り込みます:

  • 社会的証明:サービス開設から8年で●万人にご利用頂いている等
  • 希少性:国内で唯一の●専門の求人サイトを運営している等
  • 権威:国土交通省が推進している●に携わっている企業等

3. リード情報及びパーミッションの取得
インサイドセールスでリードを確定させるために必要な情報を取得します。

必須取得項目:

  • 担当者名・部署・役職
  • 住所(オンライン商談の場合は割愛可)
  • メールアドレス
  • 電話番号(できれば直通番号)
  • 継続連絡許諾(パーミッション)

パーミッションは「今回のアプローチに限って使用するもの」ではなく、「継続的にアプローチを行う」ためのものです。パーミッションを取らないままメールやナーチャリングなどの継続活動を行うことは、継続接触許諾を得ていない状態での活動になります。

4. アポイント獲得
アポイントを獲得する際は、「この話は聞いた方が良さそうだ」と思わせることが必要です。具体的なトークには触れませんが、以下の要素を盛り込むことでアポ獲得率が上がります。

  • ベネフィット(優位性)
  • 他社の導入事例
  • 導入後の効果(工数削減・コスト削減・コンプライアンス強化等)

5. アポイント獲得の方法(日時確定 vs 承諾)
アポイントの承諾をいただいた場合、「日時確定」と「アポイント承諾」の2つの方法があります。

  • 日時確定:商談できる可能性は高いが、アポイントの獲得難度は上がる
  • アポイント承諾:アポイント獲得率は上がるが、後から連絡が取れなくなったり商談の確率が下がる

セールスのリソースやエリアを考慮して、運用ルールを予め決めておくことが重要です。

架電リストとキックオフシートはどのように設計するのか?

架電リストはステータス管理をウォーターフォール形式で行い、キックオフシートは案件の設計をチーム全員で共有するためのツールとして設計します。この2つが整備されていることで、稼働初日から統一された運用が可能になります。

架電リストのステータス管理はなぜ成果を左右するのか?

架電リストは、テンプレートを活用して作成します。架電ステータスやNG理由の項目は案件によって異なる可能性があるため、マスタタブで随時更新できる構造にします。

架電ステータスの基本的な流れ:
重架禁止 → 未架電先 → 担当不在 → 受付NG → 担当NG → 資料送付 → アポ取得

このウォーターフォール形式で管理することで、リスト全体の進捗状況が一目で把握できます。

キックオフシートで共有すべき項目とは?

新規案件を立ち上げる際、チームメンバー全員が同じ認識でスタートするためのキックオフシートを作成します。キックオフシートには以下の項目を含めます。

項目内容例
案件名◯◯
ゴール提供したい価値・成果
CL副担当者名◯◯さん
稼働期間◯月◯日〜◯月◯日
KPIシートURL(リンク)
架電リストURL(リンク)
トークスクリプトURL(リンク)
会議体系例)隔週水曜日12時に定例を実施
アポイントのトスアップ方法「備考:」(Google カレンダーの情報)
架電ツール例)jvry
日報テンプレート本日の活動報告・数値・goodポイント・badポイント等

実行体制とレポートはどのように設計するのか?

実行体制はシフト管理と議事録による安定稼働の仕組みとして設計し、レポートは活動結果・リスト状況・NG理由・リード獲得・アポ/成約理由の5構成で成果を可視化します。

なぜシフト管理と議事録が安定稼働に不可欠なのか?

毎月の稼働メンバーの確認と稼働時間を把握した上で、シフト表を作成します。メンバーが欠勤する場合は、SVや業務委託のメンバーの所属元にも必ず報告します。

朝会の議事録は、以下の構造で毎日記録します。

  • 個人KPI確認(各報告時の現状の数字と課題と打ち手)
  • 共有事項
  • ナレッジ共有
  • 不明点・相談事項

レポートの5構成で成果を可視化する方法とは?

月次レポートは、以下の5構成で作成します。

1. 活動結果報告(パイプラインの予実差報告)
総架電数・接続率・アポ率・アポ実施数・アポキャンセル後再設定数の課題と対策を報告します。CLから重点項目の指定があればその課題と対策を記載し、各項の目標を達成している場合は上手くいった要因も記載します。

2. リスト状況の報告
架電リストの架電ステータスをピボットテーブルで集計し、ウォーターフォール形式のグラフで可視化します。グラフの項目は「架電ステータスが左から順に時系列になるよう」並び替えます。架電リストが複数ある場合は、セグメントごとに分けてリスト集計します。

3. 主なアポNG理由と対策
架電リストのNG理由と架電ステータスを範囲に含めてピボットテーブルで集計します。受付接続時にNGとなった理由を件数の多い順に並べて、各NG理由ごとの対策と件数・率を記載します。

4. アポ取得した企業と資料送付(リード獲得)
アポ取得した企業の会社名・部署名・担当者名・メールアドレスを記載して表にして共有します。

5. アポ獲得理由・成約理由の共有
アポを獲得できた理由と、商談まで実施している場合は成約理由を集計して共有します。

なぜナレッジ共有の仕組み化がテレアポチームの成果を安定させるのか?

ナレッジ共有の仕組み化がテレアポチームの成果を安定させる理由は、「架電はあくまで手段であり目的ではない」という共通認識と、インサイドセールスの専門用語の統一が、チーム全体の改善速度を底上げするためです。

インサイドセールスの目的を全員で理解する方法とは?

テレアポチームの成果を長期的に安定させるためには、「架電はあくまで手段であり、目的ではない」という認識をチーム全員が持つことが重要です。インサイドセールスの活動の目的は、以下の5段階の流れで整理されます。

フェーズ目的
1. リード情報の取得担当者情報・パーミッションの取得
2. アポイントの獲得初期商談の設定
3. ナーチャリング(醸成)継続連絡許諾が取れている企業への継続アプローチ・商談タイミングの見極め
4. クロージング(契約)最終的な契約の意思確認
5. ヒアリング対象企業の課題・実現したいこと・BANTC情報の収集

架電者と管理者が密にコミュニケーションを取り、一定の数値を基に改善を行っていくことが、インサイドセールスを成功させる秘訣です。

インサイドセールスの用語を共通言語として整備する方法とは?

チーム全員が同じ言語で議論できるよう、インサイドセールスの基本用語を共有します。

用語意味
リードコンタクト履歴があり、部署名・役職・担当者名・メールアドレス・住所・電話番号などが取得できているもの
MQL(Marketing Qualified Leads)マーケティング部門が営業部門(インサイドセールス)に渡すべきと判断するリード
TQL(Teleprospecting Qualified Leads)営業部門(インサイドセールス)が担当するリード
SAL(Sales Accepted Leads)営業部門(フィールドセールス)が担当する、より購買意欲の高いリード
SQL(Sales Qualified Leads)案件化されフィールドセールスがフォローすべきリード
アポイント商材・架電趣旨を架電先企業の担当者が理解出来ていて、商談の承諾を得られているもの
BANTC情報B(予算)・A(決裁権)・N(ニーズ)・T(時期)・C(競合)
パーミッション継続連絡許諾のこと。パーミッションが獲れていないものはメールや電話でのナーチャリングなどの継続活動が不可能となる

よくある質問

テレアポチームの立ち上げに何日かかる?

7ステップの整備に通常2〜3週間です。1週目でKPIシートとスクリプト設計、2週目で架電リスト・実行体制、3週目でレポートとナレッジ共有を仕組み化する進め方が効率的です。

KPIシートのモニタリング頻度はどれくらいが適切?

朝夕の1日2回が推奨です。朝は前日の結果確認と当日の目標設定、夕方は実績確認と翌日の計画調整を行います。この頻度で課題発見速度が上がり週単位の改善サイクルが機能します。

まとめ──テレアポチームの成果は「立ち上げの設計」で決まる

テレアポチームを機能させるために必要な7ステップをまとめます。

KPIシートとモニタリング設計

  • 月間目標から日次行動量に落とし込む
  • 朝夕会15〜30分でKPIをモニタリングし、日次PDCAを回す

スクリプトの5段階設計

  • 受付突破→キーマンリーチ→パーミッション取得→アポ獲得→日時確定の流れで設計
  • 社会的証明・希少性・権威をスクリプトに組み込む

レポートの5構成

  • 1. 活動結果報告 2. リスト状況 3. NG理由と対策 4. リード獲得企業 5. アポ/成約理由

ナレッジ共有の仕組み化

  • インサイドセールスの目的を全員で共有する
  • 用語を統一し、同じ言語で議論できるチームを作る

これらを整備してから架電を開始することで、「とにかく架電する」ではなく「課題を特定しながら改善していく」体制が最初から機能します。


Produced by 株式会社プロセルトラクション
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この記事の執筆者

長谷川 裕樹(はせがわ ゆうき)
株式会社プロセルトラクション 代表取締役

リクルートにてSMB〜エンタープライズの新規開拓・ソリューション営業・マネジメント・営業企画を経験後、新規事業責任者としてBtoB新規事業横断セールス統括を歴任。複数事業のセールス・マーケティング組織およびCSチーム立ち上げを経て、2018年コムレイズ・インキュベート設立、2021年プロセルトラクション設立。100を超えるBtoB新規事業のセールス・マーケティング支援実績を持つ。