ベンチャー企業やスタートアップの増加に伴い、営業職の需要も高まっています。

大手企業に就職せずあえてベンチャー企業でチャレンジする魅力や、ベンチャー企業での営業だからこそ得られるスキルに関心がある人も多いのではないでしょうか。

経営のスピード感や、若手でも任される責任範囲が広いことなどはベンチャー、スタートアップならではの醍醐味と言えるでしょう。

この記事ではキャリアアップを目指す営業パーソンのためのスキルアップ方法やベンチャー企業の営業の魅力などを解説します。

ベンチャーだと成長するチャンスが多い

ベンチャー企業では一般的に人材の成長速度が速いと言われます。営業担当者も営業業務だけではなく、さまざまな業務に携れるからです。

大手企業では「営業部は営業だけ」と役割がはっきり分かれる場合が一般的でしょう。それに対し、ベンチャー企業は組織が小さいので1人の社員が複数の業務を担うことが多いです。

幅広く会社の事業に携われることはそのまま自身の成長チャンスにつながります。

携わる業務の幅が広い

新規事業の立ち上げや新製品の発売時期、いわゆる初期段階ならかなり多くの業務に携われるはずです。

営業の体制構築や、営業ツール作成、ターゲットのリスト作りのほか、製品開発にも取り組む必要があるかもしれません。もしベンチャーで「直接的な顧客へのセールスにのみ専念したい」と考えるなら、それは自身の可能性を狭める思考です。

結果的に開発やマーケティングなど他チームへの理解も深まり、営業パーソンとしても大きな気づきを得られるでしょう。自身で商品の価値を考えて、売り方も設計し、実際に数字を作っていくわけです。

単純に「言われた商品を、渡されたリストに対して営業する」よりも自身の成長スピードが速くなると期待されます。

ベンチャーの営業は柔軟に評価される

「営業は結果がすべて」とはよく言われることですが、ベンチャーではよりシビアに結果が求められるでしょう。

大企業では守らなければならないルールが重要視されがちです。決められた枠組みの中でどう結果を出すかも一つの能力には違いありません。

一方のベンチャー企業では、制度やルールが整備されていないケースもあります。言い方を変えれば自分なりの営業スタイルで結果さえ伴えば、それが新たな営業方法のスタンダードにもなるかもしれません。

またひとりの営業パーソンでも自身で判断して進められる裁量が大きいとされます。営業結果を出すことに根差した行動、思考であれば、短期的には結果が出なくても評価される可能性もあります。「結果がすべて」という言葉と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、正しい思考、正しい行動には後から結果がついてくることもあります。

ルールにしばられずに自分の工夫で働きたい人には、ベンチャー企業は魅力的な環境と言えるでしょう。

ベンチャー企業の営業で得られるスキル

ベンチャー企業の営業ではセールスパーソンとしての「個の力」に加えて、営業ディレクションやマネジメントのスキルも早期に身につけられる可能性があります。

少人数の組織では、年齢にかかわらず優秀な人材を重要なポジションに登用する傾向が強いからです。大企業でも完全な年功序列制度は少なくなってきたとも言われるものの、やはりベンチャーとの環境の差があるのは間違いありません。

またフィールドセールスとインサイドセールスが分かれている規模の組織なら、あれもこれも一度に学ぶのは事実上不可能です。ベンチャー営業はなんでも自分でやります。「広く浅く学ぶ」ことにはなるかもしれませんが、営業パーソンとしての一通りの業務を実践できるのはメリットです。

ベンチャー企業での営業職として実践を通じてスキルを磨きつつ、結果を残してディレクション、マネジメントに関わるチャンスをつかめばさらに成長速度は早まるでしょう。

ベンチャー企業の営業の報酬やキャリア

ベンチャー企業での営業は大手企業での営業とは違った特色やメリットがあります。ここではベンチャー企業の給料体系や、どのようなキャリアを歩んでいくのかを見ていきます。

ベンチャー企業での営業の報酬

ベンチャー企業での初任給は一般的に大企業と比べて低くなることが多いでしょう。もちろん業種によっても多少異なります。

ベンチャーの中にも規模によって報酬はかなり違いがあります。メガベンチャーと言われる、大企業と遜色ない規模で業績もよい企業では大企業を上回るケースもあります。

一方でシードやアーリーステージなど従業員数で10名前後の場合は、最初の給与水準は低め。ただしこうした小さな企業も会社そのものが急拡大する場合があります。創業者や創業メンバーは億単位の報酬を手にできるかもしれません。

営業自身の成果も認められれば、普通の会社ではまずあり得ない給与アップを果たせる可能性も。もちろんすべての会社が急成長するわけではなく、ずっと業績が伸びない、または事業撤退も想定されます。

極端な例を除いたとしても、自身が営業成績をあげ会社が順調に成長、さらに要職に昇進すれば20代で年収1000万円も十分に視野に入れられます。

ベンチャーの営業だから得られるキャリア

ベンチャー営業を経験すると、さまざまな業務に携われること。また新規事業の立ち上げなど、経営スピードが速くて人材が少ない分、中核となって経験できる点が財産となるでしょう。

大企業だから得られる経験、知見もありますが、責任者・マネージャとして携わったベンチャーでの経験は多くの企業で必要とされる傾向にあります。

一方、ベンチャーでは早々に部長、役員などを経験する人は珍しくないため「肩書」はあまり意味をもちません。具体的にどのような成果を出したかが、今後のキャリアアップの上でも重要な指標になります。

大手とベンチャーの営業の違い

営業現場に出てみると、大手企業とベンチャー企業の一番の違いはブランド力だと答える営業パーソンが多くいます。

ベンチャー企業は当然、会社の認知度がまだまだ足りない状態です。大手企業なら社名を告げるだけでアポイントが取れる相手に警戒されてアポイントが取れないという悩みは少なくはありません。

大企業からベンチャーに転職した際、こうしたギャップに驚く経験をした営業パーソンも多いでしょう。製品がどんな役に立つのか、その価値を端的に伝える能力が求められます。

「相手が知らない」ことは不利とも言えますが、やりがいがあるとも言えるでしょう。顧客の課題解決に役立ったら「知らなかったけど、あなたが営業してくれたおかげだ」と感謝されるかもしれません。

ベンチャーの営業の流れ

具体的な営業の業務の流れを見ていきます。

最重要のポイントは自分自身で考えて、行動することです。受け身になり指示を待つのが普通というサラリーマンもいるかもしれませんが、ベンチャーの多くでは「待ちは何もしていないのと一緒」とされることさえあります。常に主体的、能動的な姿勢が求められます。

ベンチャーに入ってから営業するまで

ベンチャー企業の営業では入社したその日から電話がけ開始などということもあります。

大企業ならば入社後、しっかりした研修があります。とくに新卒では資格の勉強など座学が中心で営業現場に配属されるまで半年などというケースもあるほど。

ベンチャー企業では人手が余っていることはまずないので、研修というよりは見て学ぶ、OJTになることが多いはずです。

営業方法を自分で考えたり、教わったトークでアポが取れないなら自分で改善したり、工夫次第ですぐに成果を出せる可能性もあります。どんどんトライアンドエラーを繰り返すことです。

またベンチャー企業の場合は、製品開発など他部署とも距離が近い場合が多くあります。仕事、仕事以外ともに会話が増えれば営業に生かせる製品の知識も得られるかもしれません。これは分業が進んでいる会社では起こりません。

できるだけ高い視座を身につけていくとよいでしょう。

ベンチャーでの営業活動

営業がカバーする領域は多岐に渡ります。

セールス先の選定、アポ取り、他の営業パーソンの管理、他部署との調整、商談、受注後のフォロー、カスタマーサクセス。これらを一人でカバーしなくてはならないケースもあります。

直接お客様の声を聞きながら、マネジメントも学べ、商品やサービスのシェアを他社と競って新しく市場開拓するなどやりがいも感じられるでしょう。

また、売上が少ないうちは、自身の受注結果で会社の売上が昨年比300%アップさせたなどの成果も不可能ではありません。自分のパフォーマンスと会社の業績が密接にかかわっていて、自身の成長が目に見えてわかりやすいのも特徴です。たくさんのやりがいをベンチャー営業では感じられます。

ベンチャーの営業で成功するコツとは

ベンチャー企業で営業することは簡単なことではありません。ベンチャー企業の営業で成果をだすにはどのようなことを注意して働けばいいのか今までの話を踏まえながら紹介していきます。

ベンチャーの営業ならではの成長を楽しむ

会社と自分自身の成長を楽しむことがポイントです。

ベンチャー企業はまだまだこれから会社そのものも大きくしたいはず。その分やるべき仕事内容も多くハードワークが求められることも多いでしょう。

その中で自分が成長できるチャンスも多いと捉えて前向きに取り組むと、営業としてのスキル向上、自分の手で自分と会社を成長させる実感を得られるのではないでしょうか。

さまざまな仕事のプロセス、成果と自身の成長を通じ、自分が大きく羽ばたく姿をイメージしてみてください。

営業でも毎日チャレンジをする

決められた営業だけを淡々とするのではなく、何か新たなチャレンジを積み重ねましょう。

ベンチャーは少数精鋭な上にスピード感を持って成長していかなければなりません。ベンチャーの採用担当者に話を聞くと、「誰かが導いてくれるのを待つタイプ」ではなく「自分で考えて実行する力を求める」会社がほとんどです。

日々の工夫を重ねていくと、半年後、1年後には工夫しなかった人に大きな差をつけることになるでしょう。たとえば、自身の送ったメールの内容を振り返り、レスポンスがよかった原因を分析し次に活かすこと。また失注した際も「運が悪かった」で済ませずに、なにが足りなかったか原因を突き止めるなど、自身の仕事の質を高める努力は大切です。

成果が出るまで諦めることなく継続する

ベンチャー企業の営業はとにかく継続することが大切です。

会社や商品・サービスにブランド力がない場合が多く、自身のセールス能力が結果を左右する環境はハードかもしれません。しかし、努力を続けた人だけが成果を出し、成功をつかめるのも真理です。

あす大きな受注が決まるかもしれません。1つの契約で大きく評価が高まる可能性もあります。

営業のよいところは、一定以上の量を行えば徐々に質が高まり、成果にもつながる性質があることです。ぜひ努力を続けてください。

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