ブランディング戦略とは、企業が顧客からどのようなブランドイメージを持たれたいかを考えることです。顧客からモノやサービスを「選ばれ続ける」にはブランディング戦略が大きな意味を占めます。
ブランディング戦略に成功すれば、既存の顧客からの信頼を深めるのみならず新規顧客の獲得にもつながり、さらなる事業の拡大へ取り組めるでしょう。
この記事では、ブランディング戦略の立案によるメリットや、具体的な戦略の立て方を紹介します。企業自身やモノ・サービスのブランド力を高めたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
ブランディング戦略とは
企業が顧客から持ってもらいたいブランドイメージを練り上げるのがブランディング戦略です。
ブランドの名称に始まり、ロゴや商品コンセプト、広告に起用するタレントなどの選定により「おしゃれなブランド」「品質が良いブランド」などのイメージが顧客に出来上がります。
中小企業でも新しいブランドの立ち上げに取り組み、顧客に「どのような企業でどのようなモノ・サービスを提供しているかを知ってもらうこと」は売上に大きな影響をもたらすと言えるでしょう。
ブランディング戦略が必要な理由
企業そのものやモノ・サービスになぜブランディング戦略が必要なのでしょうか?理由については以下の3点が挙げられます。
1. 価格競争を避けられるから
ブランディング戦略を行いブランドバリューが高まっていれば、競合他社との差別化につながるため価格競争をせずに済みます。「●●ならこの商品」というイメージが定着している状態なら、顧客がモノ・サービスの質で選ぶため、価格を下げなくても問題ありません。
質を保つためには、明確なブランディング戦略が必要です。
2. コピーされても簡単にはシェアを奪われないから
今までにないような新しいモノ・サービスで市場に参入しても、いつかは競合他社が現れます。しかし、ブランディング戦略によって優れた点を持っていれば、簡単にマーケットシェアを取られてしまうことはありません。
自社独自の低いコストで利益を生み出す方法というような厚い壁があれば、競合他社には仕組みまではコピーできないでしょう。
3. 企業の規模に関係なく行えるから
ブランディング戦略は大手企業に限らず、中小企業でも行えます。規模にかかわらず全ての企業が取り組むべき施策で、かえって中小企業の方が価格競争に巻き込まれないためにも必要です。場合にもよりますが、低価格であることが必ずしも良いイメージにつながるとは言えません。
ブランディング戦略を立てる4つのメリット
ブランディング戦略は全ての企業に推奨されることが分かりました。次に、ブランディング戦略の立案によりもたらされる4つのメリットをご紹介します。
1. 消費者からの認知度がアップする
例えばパソコンを買うときに名前を見聞きしたことがある有名なメーカーを使いたいと思う人は多いのではないでしょうか?これもブランディングの効果によるものと言えます。
ブランドの名前や特徴が消費者に広く知れ渡ればモノやサービスを購入・利用してもらえるようになるでしょう。
2. 価格を高めに設定できる
ブランディング戦略によって競合他社との差別化ができると、多少価格を高めに設定したとしても顧客は信頼を寄せているブランドとして選んでくれる可能性が高いです。
そうすれば価格競争をしなくても良くなり、高い利益率を維持したまま選ばれ続けるモノやサービスとなっていきます。
3. ブランドロイヤリティを獲得できる
ブランドに対しての良いイメージが広まれば、顧客から安心や信頼を得られます。企業と顧客の結びつきが強まると、モノ・サービスを継続的に購入・利用してもらえるだけでなく、口コミによる新規顧客の獲得にもつながりやすいです。
4. 競合他社との差別化ができる
競合他社のモノ・サービスにはない価値を提供することも、顧客に自社のモノ・サービスを選んでもらえる要因となります。似たようなモノ・サービスを比較した際は、安心できて良いイメージがある方が選ばれる可能性が高いです。
例えば、美味しいコーヒーが飲みたいという理由のみで特定のカフェを選んでいるだけではなく、そこで落ち着いて過ごせる時間がカフェを選ぶ理由の場合もあります。
株式会社セブンデックス|ブランディング
「セブンデックス」は東京都渋谷区の顧客体験からコミュニケーションまで一気通貫でデザインし、企業価値の向上と事業成長を支援する デザイン&マーケティングカンパニーです。UXUIデザイン・ブランディング・マーケティング・DXと、幅広い支援を行っています。
ブランディング戦略の成功事例3選
ここまでブランディング戦略を立てる必要性やメリットについて解説しました。
次にブランディング戦略に取り組み成功を収めた企業を中小企業向け補助金・総合支援サイトミラサポplusからご紹介します。
事例1:ブランディング失敗を乗り越えて販路拡大へ
北海道にある消臭液・土壌改良材の製造メーカーは、事業の引継ぎをきっかけにターゲットの若返りを目指してパッケージデザインを変更しました。しかし、結果は思うようにいかなかったため行ったのがブランディングの徹底です。
社名変更に始まり、ブランドロゴの作成やブランドコンセプトを明確にして、社内外への周知にも尽力したおかげで販路が広がり、利益率の向上にもつながりました。
事例2:商工会のサポートを受け新規ビジネス立ち上げ
福岡県にあるヤギのミルクを使用した加工食品の製造・販売を行う事業者の事例をご紹介します。地名の由来に着目して、町おこしのきっかけになるのではと考え、地元の商工会からアドバイスを受けながら新規ビジネスを立ち上げました。
百貨店へ新たな販路を切り開いたり、ふるさと納税の謝礼品への登録をしたりと様々なブランディングを実行して売上を伸ばしています。
事例3:時代に合わせた新ブランドの創設
奈良県にある創業100年を超える老舗の編針メーカーでは、1980年代にはOEM(※)などの形態で海外へ裾野を広げ売上を伸ばしていたそうです。
しかし次第に順調とは行かなくなったため、自社ブランドの見直しを行いました。ターゲットやコンセプトを明確にし、ブランディングデザイナーの協力も得たこともあり海外からも再び評価され、売れ行きは好調となりました。
※OEM……Original Equipment Manufacturerの頭文字をとったもので、他社ブランドの製品を製造すること。
出典:中小企業庁「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/)をもとにプロセルワークス溝の口作成
ブランディング戦略立案のサポートはプロセルトラクションにお任せください
この記事でブランディング戦略の概要は説明していますが、新規事業のブランディング戦略を立案することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたブランディング戦略のご提案から実践までサポートしています。
効率的なブランディング戦略の立て方
実際にブランディング戦略を立てる場合の手順を3つのステップで見ていきましょう。こちらの記事でもご紹介したSTP分析というフレームワークが活用できます。
1. 参入する市場とターゲットを決める
まずは、市場を細かく分類して自社がどの市場に参入するかを決定します。市場を細かく絞り込むことで狙いたい顧客層が分かりやすくなり、ターゲットも決めやすいです。
これはSTP分析ではセグメンテーション(Segmentation:市場の細分化)とターゲティング(Targeting:狙いを定める)に当たります。
2. 自社が置かれている環境についての分析
次に、自社のブランドがどのくらい知られているのか、顧客がどのようなイメージを持っているのか、競合他社との相違点を洗い出しましょう。
競合他社との相違点は、性能の程度を縦軸に置き、価格の程度を横軸に置いてグラフで可視化をすると、自社の立ち位置をどこに定めるかが分かりやすくなります。
併せて、過去に行った戦略や広告が顧客によってどのようなイメージが形成されているのかを確認します。
これはSTP分析ではポジショニング(Positioning:自社の立ち位置の確認)に当たります。
3. コンセプトの設計と具体化
自社の現状が見えたら、次にブランドコンセプトの設計です。顧客に持ってもらいたいイメージを明確にして、それをブランドロゴ、カラーや商品のデザインでどのように表現するのかを検討します。
この際に安いイメージを持たれている企業が高級路線に転換するというように、現状との振れ幅が大きいとブランディング戦略も難易度が増すので注意が必要です。
コンセプトを決めたら、最後にブランドイメージを損ねないためのルールも策定しましょう。
ブランディング戦略を成功させよう
本記事では、ブランディング戦略が必要とされる理由や成功事例、戦略立案の手順について解説しました。ブランディング戦略を立案すると消費者に認知してもらえるだけでなく、価格を高めに設定できるなど様々なメリットがあります。
モノやサービスが溢れており差別化が難しい昨今ですが、ブランディング戦略を行い他社との違いを打ち出すことで、リピーターやファンを増やしましょう。
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プロセルトラクションではリクルートなどの大企業からスタートアップまで幅広く経験してきた営業のプロが、効率的なブランディング戦略の立案をお手伝いします。ぜひお気軽にご連絡ください。