多くの見込み客を、マーケティング部門が獲得し、営業部門に送客を行う。これらを高い確率で確実に成約する。こうしたフローが確立すれば、着実に新規顧客を拡大でき売上は順調に伸びるでしょう。

そのためには近い将来に自社製品を購入する可能性が高い見込み客をいかに囲い込めるかが重要です。こうした見込み客をリードと呼び、質の高いリードをできるだけコストをかけず、安定的に獲得するのはマーケティングの腕の見せ所。

新規顧客の開拓といえば、以前なら飛び込み営業や、大量のテレアポを行うのが定石でしたが、現在はオンライン、オフラインの様々な手法が発達しています。

この記事では、効率的なリード獲得の手法と注意点について解説します。

リードを獲得するとは

リードとは「見込み顧客」のこと、つまり近い将来に、自社の製品を購入してくれる可能性が高い顧客のことです。

リードを多数もっていれば、それだけ直近の営業がやりやすく、また受注が期待できる状態と言えます。したがって、コンスタントに売上を伸ばしていく、新規顧客を獲得し続けるにはリードを取り続けることが重要です。

リードを獲得するための一連の活動を「リードジェネレーション」と呼びます。

「見込みが高い」状態とは

どこからを見込みが高い客と呼ぶかという明確な定義はありません。自社製品の基本情報を認知している、購入したら「こんなメリットがある」と理解している顧客は、一定ラインより上位にいるでしょう。

ただし、商品の性質や価格、その後の営業活動の質によって成約率は変動します。興味を掘り起こす第一段階、関心を惹きつける第二段階までがリードの獲得であり、相手の様子を見て、購買意欲が高い見込み客をすばやく営業部隊に引き渡すことが求められます。

見込みが高いか低いかを振り分ける手段は様々あります。

例えば、展示会に出展した場合、ブースに立ち寄ってくれる人、通り過ぎていく人がいます。自社のパンフレットと引き換えに名刺を渡してくれる人、簡単な会話だけで立ち去る人もいます。いずれも前者が後者より、「見込みが高い客」となります。真っ先に営業をかけるべき質の高いリードと言えます。

営業先の企業名一覧はリードではない

営業の候補先となる企業名を並べただけのリストは、リードではありません。それらは、自社の製品に対する関心があるわけではない、「こちらが売り込みたい先」をまとめたものに過ぎないからです。

こちらから仕掛けるプッシュ型の営業も重要ですが、リードに営業する場合と比べると、受注までの期間が長く、また成約率も低くなります。まず自社のこと、自社商品のことを認知してもらうことはそれだけ重要なのです。

限られた営業のパワー、時間、費用をかけるべき先を絞り込み、効率的な営業を行いましょう。

リードジェネレーションが重要な理由

リード獲得=リードジェネレーションが重要な理由は様々ですが、主に自社にとっても、顧客にとっても都合がよい点があります。

それぞれの立場に立って、メリットを解説します。

自社にとってのメリット

自社にとってリードジェネレーションが重要なのは、主に効率面です。

昔は「いい商品は黙っていても売れる」と言われた時代がありましたが、今は違います。情報が溢れ、顧客はWebを使えば簡単に競合他社の情報も入手できます。また、情報がある分、検討する時間も長期化するようになりました。

  • 問合せを受ける
  • 初期対応と定期的な接触を行う
  • 商談しクロージングする

これらは分業制となり負担を分散化できます。飛び込み営業や効率の悪いテレアポで疲弊することも減らせます。

顧客にとってのメリット

顧客にとっては自分がほしい情報を得て、自分のタイミングで購買に移せることがメリット。まだ「買いたい」と思っていないのに、繰り返し営業を受けて苦痛に感じた経験のある人もいるでしょう。

期間をかけて情報収集したい人は、企業側から様々な情報提供を受けられます。セミナーに参加したり、メールマガジンを購読したりするのも、情報収集の一つです。

コミュニケーションを頻繁に取ること、必要な情報を得て、初歩的な疑問や不安が解消されていくと、企業側に対して好意が生まれます。企業側にも認知されるでしょう。こうした期間を経て、両者に信頼関係が築かれていくのです。

これは購入後にもよい関係を続けることができ、様々なサポートを得ることにもつながります。

リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い

獲得を意味するリードジェネレーションと似た言葉で、リードナーチャリングがあります。リードナーチャリングには顧客を育成するという意味があります。

リードジェネレーションで見込み客を見つけ出し、リードナーチャリングで顧客の関心を高めて、クロージングに向かうというと分かりやすいでしょう。

個人情報を獲得し、こちらから連絡、情報提供ができる状態にするまでをリードジェネレーションと呼び、接触を重ねて、自社製品の理解を深めてもらうこと、営業にアポイントという形でパスするまでがリードナーチャリングです。

リードジェネレーションは入口を広げ多くのリードが取れる状態にすることを目指します。それに対して、獲得できたリードをできるだけ短期間に関心を高めていくこと、また離脱させないことがリードナーチャリングのミッションとなります。

次の章では、質を保ちつつ、いかに多くのリードを取るかという手法を見ていきましょう。

プロセルトラクションがリード獲得をサポート

この記事でリード獲得の概要や方法は説明していますが、それを自社に当てはめることはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたリード獲得方法のプランニングから実践までサポートしています。

まずは話を聞いてみる

リード獲得の具体的な方法

リードを獲得するには、オフライン、オンライン様々な方法があります。特に最近はWebが発達したため、オンラインでの集客が他社との差別化という意味でも重要度が増しています。オフラインの良さも考慮して、使い分けていくことが必要です。

そのためにそれぞれの手法のやり方や特性を整理しましょう。

SEO対策

SEO対策は、キーワード検索された際に、検索エンジンの上位に表示されるための一連の活動です。

自社のWebサイトを魅力的にすると24時間休まずに営業を行い続けてくれます。Webへの集客を増やすには検索キーワードを含んだコンテンツを追加するなどを実施しましょう。

これまで取り組んでこなかった企業でも1~3か月でじわじわと効果が得られます。

コンテンツマーケティング

コンテンツを充実させることもオンラインでのリード獲得につながります。

SNS、ブログ、ホワイトペーパー、オウンドメディアなど自社メディアの発信内容を充実させましょう。

商品そのものの紹介を行うより、よくある課題を想定し、その解決策を提示するコンテンツが顧客から好まれると言われています。成果が出るまで時間がかかる傾向にありますが、作ったコンテンツは財産となり、安定してリード獲得に貢献してくれるでしょう。

Web広告

Web広告は進化しています。入力した検索キーワードに連動して、結果画面に表示されるリスティング広告や、一度検索した人に繰り返し、こちらのディスプレイ広告を見せるリターゲティング広告など、様々な手法があります。

短期間で少額でも広告出稿ができるのは魅力です。最近は出稿企業が増えて、広告単価が向上していますが、それだけリード獲得には欠かせない手法になっています。特に意中のキーワードで検索した人が競合他社に流れるのを防ぐことも重要です。

LPO

LPOはランディングページ・オプティマイゼーションを意味します。

自社のWebサイトに見込み客を流入させる際に、ランディングページを使うことが定着しています。企業のトップページを見せるよりも、製品説明や課題解決方法を示したランディングページ(LP)を見せるほうが有効です。

LPはコンバージョンを取ることだけを目的とされているので、誘引できた見込み客からどのくらいの確率でリード獲得につながったかを細かく検証します。繰り返しLPを修正し、成果を向上させます。

ウェビナー(セミナー)

Web会議システムの発達で、ウェビナー(オンラインのセミナー)が急速に拡大しました。

ウェビナーは気軽さが魅力で、参加する側に移動時間がなく、参加のハードルが低くなりました。主催する側も会場費がかからないため、開催リスクが抑えられます

ウェビナーでは、課題を解決するような内容を構築します。「新製品!人事管理システムの紹介」ではなく、「人事管理の課題を社労士に聞く」「改正された法律のポイントを解説」など、ユーザーが欲する解決策を提供しましょう。

これで、重要な見込み客ばかりの情報を獲得できます。ユーザーからも「有意義なセミナーに無料参加できた」と好感を持たれるため、その後の商談にもつながりやすくなります。

展示会

展示会では、自社と同業他社がブースを連ねて、製品やサービスの紹介を行うため、来場者(見込み客)は製品を比較検討するというモチベーションを持って来場します。

オンラインの手法と比べて、直接会って話すことで精度を高められることが特徴です。また、そもそも何か自身の課題があり、その解決策を探したいという人が多く参加するので、見込みの高い客が多い場所でもあります。

他の策に比べると、出展費用がかかりますが自社のターゲットに近い客が多く来場するというのは魅力でしょう。

ダイレクトメール

ハガキ、封書、チラシを郵送するダイレクトメールも、返信や問合せを促すことによってリード獲得に使われます。

ITに弱い業界、年配の方が多い場合には郵送はなじみやすいでしょう。また、営業をしかけたい企業名は分かっているが、担当者の名前、そのメールアドレスが分からない際に、情報を届けられます。

コンテンツの印刷、郵送というコストがかかりますが、予算にあわせて件数を調整できます。

リード獲得の落とし穴

よいリードの獲得が、営業効率を高め、企業としての売上にも影響することを見てきました。ただ、リードを追いかけるあまり、以下にあげるような「落とし穴」にはまらないように注意しなければなりません。

陥りがちなポイントを解説します。

マーケティングと営業の対立

リードを獲得するのはマーケティング部門で、それを実際の受注につなげるのは営業部門と分業されている場合、2部門の連携が大事です。

しかし、営業数字が停滞すると、「リードの質が低いから契約が取れない」「いや、リードは悪くない。営業のレベルが低い」など責任のなすりつけ合いになってしまうことがあります

互いの活動内容を可視化し、情報交換を行うことが一致団結のポイントです。

コストが膨大になる

リードの獲得には、時間とコストがかかります。また、いくつかの手法を併用するということも当然あるでしょう。

その際、どの手法がどのくらいの費用を使い、どんな結果が得られたかを明確にしておく必要があります。

目標、目安がなければ効果の出ない策にも、予算を使い続けることになってしまいます。またリードは取れたが、予算を大幅にオーバーしては本末転倒です。費用対効果を考えましょう。

体制が曖昧で中途半端な結果になる

リード獲得に専念する部隊、または人がはっきりした体制作りが重要です。

普段の営業を行いながら、リードも獲得させようとすると、現場にはかかる負担ばかりが大きくなります。片手間では、リード獲得も営業も中途半端な結果になってしまうことはよくある失敗例です。

一人が両方を追うのは避けて、専門の人を新たに雇う、もしくは既存の人員から抜擢して配置しましょう。

営業スキルが低下する

リード獲得を安定的に行うことで、営業力が低下する懸念があります。

良いリードが増えると、営業は労力をかけずに受注できるようになります。これはいいことである一方で、営業担当者の能力が問われづらくなります

そのため、順調なときはともかく、競合が増える、景気が悪くなるなど見込み客の質が落ちてくると、営業結果がそれ以上に落ち込むことがありえます。

リード獲得の費用対効果を把握する

リード獲得を考える上、費用対効果(ROI=Return on investment)は欠かせません。

まず、ROIは下記の式で算出できます。

ROI=利益/投資額

行った手法ごとに獲得できたリード件数を把握し、かけたコストで割るとリード獲得単価も計測できますが、実際にはそう単純ではありません。

それは、どの策で取れたリードなのか特定が難しいためです。例えば、Web広告を見て自社製品を認知していた人がいたとします。この人が、展示会の自社ブースに立ち寄ったら、それは展示会とWeb広告どちらの成果になるでしょう。

もし広告を見ていなかったら、このリードは獲得できなかった可能性があるので、Web広告はアシスト効果を発揮していたことを考慮に入れるべきです。

どの手法にいくらの費用をかけているか、そこから獲得できたリードの件数と、最終的な受注金額を観察するとともに、アシスト効果も意識しましょう。

リード獲得で効率的な営業の実現を

質のよいリードは、各企業が競って獲得を目指しています。それだけ、新規客の獲得=売上アップに欠かせないものだという認識が広がっているためです。

PDCAを回して、たえず改善していくことも重要です。獲得できたリードは、営業の大きな助けになるでしょう。

自社に経験値がない場合には、マーケティングや営業のコンサルティングを外部に依頼するのもおすすめです。

プロセルトラクションがあなたのリード獲得をサポートします

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