最終更新: 2026年6月

インサイドセールスにおけるVALUE設計とは、担当者個人の強みと行動原理(VALUE)を言語化・統合し、継続的な高パフォーマンスを実現するインサイドセールスの育成手法です。

インサイドセールスで継続的に高い数字を出し続けるために何が必要か。「正しいアプローチ設計」「リスト管理」「トーク改善」という答えが浮かびやすい問いですが、12か月連続で150%を超え続けた担当者が重視していたのは、スキルではなくVALUEでした。

株式会社プロセルトラクションの2024年度年間MVP賞を受賞した担当者の実践事例から、サイバーセキュリティ研修向けサービスのインサイドセールスにおいて、「強みを知ること」「4つのVALUEを持つこと」「強みとVALUEを掛け合わせること」という3つのSTEPで、年間売上目標251万円に対して実績489.5万円(達成率195%)・12か月全て150%超え・担当チームでチーム唯一のALL達成を実現した設計を解説します。

「スキルだけ磨いても頭打ちになる」という前提

数字を出し続けるためにVALUEが必要な理由

インサイドセールスで短期間に成果を出すことと、12か月連続で高い水準を維持し続けることは、求められるものが異なります。短期の成果は「正しい打ち手を実行する力」で出せますが、長期の継続は「自分の根本にある行動原理」が支えています。

座右の銘として「凡事徹底」を掲げていた担当者が示した考え方は、「スキルよりも先に強みとVALUEを把握し、それを仕事に反映させる」というものでした。

  • 「何が得意か」を把握しないと、強みを発揮すべき場面で力が出ない
  • 「何を大切にしているか」が曖昧だと、壁にぶつかった時の立ち返り先がない
  • 「強みとVALUEが一致した行動」をとることで、顧客との関係が自然に深まる

12か月連続150%超えという結果は、毎月「何か新しいテクニックを導入した」ことによるものではなく、「強みとVALUEが掛け合わさった行動を継続した」ことによるものです。

STEP 1:自分が発揮できる3つの強みを言語化する

「なんとなく得意なこと」を「言語化した強み」に変える

年間MVPを受賞した担当者が自分の強みとして言語化していたのは次の3つです。

強み1:目標達成力と結果重視の姿勢

目標を達成するためにPDCAサイクルを用いて行動する力です。「達成するためにどう動くか」を考え続けることで、壁にぶつかっても「何を変えれば突破できるか」に焦点が向きます。結果に対する責任感が行動の密度を生みます。

強み2:発想力と想像力

柔軟性のある発想や、相手の立場に立ってみる力です。顧客が「なぜ今これを必要としているか」を想像してアプローチを組み立てることで、一方的な説明にならず顧客の文脈に合った会話ができます。

強み3:コミュニケーション能力

相手のニーズを正確に把握し、信頼関係を築く力です。「話す技術」ではなく「聴いて理解する力」が信頼の基盤になります。

同時に自分の改善点として認識していたのが、「高い基準を追求するあまり自分を追い込みすぎてしまうこと」でした。ストイックさを強みとしながら、柔軟性とのバランスを取ることを自らの課題として設定していた点が、継続的な改善を可能にしていました。

STEP 2:素直・謙虚・感謝・自律の4つのVALUEで一貫性を持たせる

「何を大切にするか」が決まると行動が変わる

継続的に数字を出し続けるためには、「何があっても立ち返れる原則」が必要です。4つのVALUEは、そのための行動原理です。

VALUE 1:素直──周囲の意見やアドバイスを受け入れ、まずはやってみる力

  • 型に従う力を持ち、まず教わった通りにやってみる
  • 素直に意見を取り入れてから、実践して振り返り調整する
  • 「自分の方法の方がいいかもしれない」という思い込みを外すことで、改善の機会が増える

VALUE 2:謙虚──自分の成功や能力を過信せず、常に学び続ける姿勢

  • 相手からのフィードバックを受け入れ、改善につなげる
  • 「聴く力×学ぶ力=誠実さ」という等式で顧客との信頼関係を作る
  • 謙虚であることが、顧客から選ばれ続ける最大の要素になる

VALUE 3:感謝──全ての経験や出会いを成長の糧と捉え、周囲への感謝を忘れない

  • 結果が出た経験も、うまくいかなかった経験も、どちらも成長の糧として捉える
  • 感謝を示す人には「人として信頼したい」という気持ちが生まれ、紹介につながりやすい
  • 長期的な関係を築く基盤が、感謝の姿勢から生まれる

VALUE 4:自律──自ら考え、行動し、結果に責任を持つ力

  • 指示待ちではなく、自ら判断して動くことでPDCAのスピードが上がる
  • うまくいかなかった時に他責にせず振り返り改善できることが、信頼される存在への道
  • 自律して動けると「任せて安心」という評価が顧客からも組織からも得られる

STEP 3:強みとVALUEの掛け合わせで生まれる5つの化学反応

「強みを知っている」だけでは動かない。VALUEと合わさって初めて機能する

強みとVALUEが別々に存在するだけでは、行動に一貫性が生まれません。「目標達成力」という強みが「素直さ」というVALUEと掛け合わさることで、「まず型に従ってやってみて、振り返って自分の数字を改善する」という具体的な行動が生まれます。

実際に機能した化学反応の要素として挙げられていたのが次の5つです。

  • 洞察力: 顧客の言葉の裏にある本当のニーズを読む力
  • 発想力: 既存の打ち手にとらわれず、新しいアプローチを考え続ける力
  • 鈍感力: 断られても落ち込みすぎず、次の架電に向かえる回復力
  • 柔軟性: 相手の状況に合わせてアプローチを変えられる適応力
  • 共感力: 顧客の立場に立って「今この人に何が必要か」を感じ取る力

これらの要素が「素直・謙虚・感謝・自律」のVALUEと組み合わさることで、顧客との関係が単なる「営業と顧客」ではなく「信頼できる存在として選ばれる関係」に変わります。

顧客からいただいた言葉がその証明です。「あなたがいると安心する」「あの時に電話かけてきてくれて良かった」「執拗と熱意は違う。そこを履き違えている人は多いけれど、あなたからは熱意を感じる」という声は、テクニックではなく人間としての姿勢が顧客に伝わった結果です(プロセルトラクション実績, 2024年度)。

実践成果:年間達成率195%・12か月連続150%超え

サイバーセキュリティ研修向けサービスのインサイドセールスでの実践成果です(プロセルトラクション実績, 2024年度)。

個人成果:

  • 年間売上目標:251万円
  • 年間実績:489.5万円(達成率195%)
  • 12か月全て150%超え(最高月8月:444%)
  • 平均達成率:195%

チーム成果(担当チーム):

  • 年間売上目標:500.5万円
  • 年間実績:682万円
  • チーム唯一のALL達成・平均達成率136%

MQLクローザー比較:

  • 個人実績489.5万円に対してクローザー平均352.7万円
  • 差額136.8万円(55事業所分に匹敵)

個人の年間達成率195%という数字は、1か月だけ突出したのではなく、12か月連続で150%超えを維持した安定した結果です。スキルや打ち手の改善ではなく、強みとVALUEを軸にした行動の一貫性が、この継続性を支えた要因です。

よくある質問

VALUEとスキルの違いは何ですか?

スキルは「正しい打ち手を実行する力」であり、短期の成果に直結します。VALUEは「自分の根本にある行動原理」であり、壁にぶつかった時の立ち返り先として長期的な高パフォーマンスを支えます。

4つのVALUEはどのように日常業務に反映させますか?

素直さは「まず型に従ってやってみる」、謙虚さは「フィードバックを受け入れて改善する」、感謝は「全ての経験を成長の糧とする」、自律は「指示待ちせず自ら判断して動く」という形で、毎日の架電・振り返り・顧客対応に組み込みます。

強みの言語化はどのように行えばよいですか?

「何が得意か」「何を大切にしているか」を具体的な行動レベルで書き出し、自分だけでなく周囲のフィードバックも取り入れます。同時に改善点も把握することで、強みを活かしつつ弱みを補う行動計画が立てられます。

まとめ──12か月連続150%超えを支えた3つのSTEP

インサイドセールスで継続的に高い数字を出し続けるための実践的な考え方をまとめます。

STEP 1:強みを言語化する

  • 「目標達成力と結果重視の姿勢」「発想力と想像力」「コミュニケーション能力」を自分の言葉で言語化する
  • 強みだけでなく「改善点」も把握することで、自分の成長に必要なことが明確になる

STEP 2:VALUEを行動原理に変える

  • 素直(まずやってみる)・謙虚(常に学ぶ)・感謝(全ての経験を糧にする)・自律(自ら考え動く)の4つを行動の基準にする
  • VALUEが明確だと、壁にぶつかった時に何に立ち返ればいいかが分かる

STEP 3:強みとVALUEを掛け合わせる

  • 洞察力・発想力・鈍感力・柔軟性・共感力という要素が4つのVALUEと組み合わさると、顧客から「選ばれ続ける存在」になる
  • 「テクニックを磨く」より「強みとVALUEが一致した行動を継続する」ことが、長期的な高パフォーマンスの基盤になる

「凡事徹底」という言葉が示す通り、当たり前のことを当たり前にやり続ける力が、12か月連続150%超えという結果につながりました。

プロセルトラクションのインサイドセールス支援サービスでは、IS担当者の育成設計から新規事業・SaaSの営業組織づくりまで一貫して支援しています。

この記事の執筆者

長谷川裕樹

長谷川 裕樹(はせがわ ゆうき)
株式会社プロセルトラクション 代表取締役

リクルートにてSMB〜エンタープライズの新規開拓・ソリューション営業・マネジメント・営業企画を経験後、新規事業責任者としてBtoB新規事業横断セールス統括を歴任。複数事業のセールス・マーケティング組織およびCSチーム立ち上げを経て、2018年コムレイズ・インキュベート設立、2021年プロセルトラクション設立。200を超えるBtoB新規事業のセールス・マーケティング支援実績を持つ。