営業フローは、担当者のさまざまな営業手法を可視化する取り組みです。

営業成績をさらに高めるため、障害となっている問題点を特定し、組織全体の底上げにつなげられます。

古くは、営業はセールスパーソンの個性、自由裁量で進められていました。売上金額や受注件数のように最終結果のみが顕在化し、途中経過は重視されませんでした。ただし、それでは、うまくいっている事例を他人が真似しづらいでしょう。

今回は、営業フローの考え方、作り方を解説します。営業シーン別の注意点や実際に作成した営業フローを現場の改善にどう生かすかについても説明します。

営業フローとは

営業フローとは、営業活動における事前準備からアプローチ、商談・提案、受注・契約までの一連の流れや、各段階でとるべき具体的な営業手法を可視化したものです。

適切な営業フローは、扱う商品・サービスや顧客、営業担当者のスキルによって異なります。

営業フローと似た言葉に営業プロセスがあります。営業フローと営業プロセスはいずれも営業の流れを可視化する点では同じです。しかし、営業プロセスが営業活動の流れのみを表すのに対し、営業フローはさらに細部のアクションまで可視化したものを指します。

営業フローを整理する

大まかには営業のフローは以下のように一次的に分解できます。

  • 事前準備(リスト作成、商品知識の習得など)
  • アプローチ
  • ニーズのヒアリング
  • 顧客に合わせた提案
  • 受注、契約締結
  • アフターフォロー、カスタマーサクセス

販売する商品や顧客層によって流れは異なります。また商談のプラットフォームも直接訪問、オンライン、またはメールのみかなどの細かな差異はありますが、以上が基本の流れと言ってよいでしょう。

その上で、重要なポイントが2つあります。

細かく行動ベースに分解する

まず、より細かな「行動ベース」に分解するのがポイント。具体的に何を行うのか新人向けのマニュアルを作成する感覚に近いかもしれません。

例えば、「リスト作成」の業務を行動ベースに分解してみましょう。

  •  直接応対したなど自分の面識のある企業が最優先
  •  次に、半年以内に問合せしてきた企業
  •  メールアドレスがないデータは一旦除外
  •  最初は100件を目安にする

などと定義すれば、誰もが同じ考えに基づいてセールス先のリストを作成できます。

現状の数値を細かく記入する

2つ目のポイントは現在の数値を入れることです。

月間のアプローチ件数、そこからアポイントに繋がっている件数、受注件数と、実績件数を把握します。これで、どこに改善ポイントがあるかが分かります。

アプローチ数は十分なのに、アポイント件数が少なければアポ取りのフローが要改善でしょう。

パターン別の営業フロー

ここからはケース別に、重要な要素を見ていきます。

訪問営業、インサイドセールス、BtoCのときでは求められるフローが異なるので、とくに差が生じるポイントを解説します。

新規開拓のため訪問営業するケース

新規開拓を狙って訪問営業する際に重要なのは、顧客に刺さる提案を行い、確率高く受注を取ること。

アプローチの質、アポイント獲得も重要ですが、訪問営業は一度に多数の件数をこなせません。したがって商談の成功確度を高めることが優先です。

顧客に合わせた提案はできているか、ニーズのヒアリングはできているかを検証し、顧客への質問項目の見直し、ロープレの実施などの対策を行うと効果的でしょう。

問合せに対応するインサイドセールスのケース

インサイドセールスでは、能動的に問合せをしてきた顧客などに連絡するケースが多いはずです。問合せ客の対応にスピード感をもって、求められた情報を速やかに提供することが求められます。

したがって、1日あたりの対応件数や、フィールドセールスにパスできた件数などが問われます。仮にアポ件数が水準に達していない場合に、課題があるのは量なのか、セールスの質なのか、それとも両方なのかが分かるので、その後の手が打ちやすくなります。

BtoC営業のケース

BtoCの最大の特徴は、購入者と決裁者が同じである点です。企業の社長も似たところがありますが、それでも一定規模の組織としては、「社内の承認」が必要ということがあるでしょう。個人では、ひとりで購入を決断するのがほとんど。

保険、自動車、住宅などの高額な商品と、低価格商品ではやや営業フローは異なります。前者のほうが、企業向けの営業に近く、検討期間が長期化する傾向があります。

またBtoCでは個人の性格など変動要素が大きくなります。一回の商談で異常に長時間かかるケース、競合との比較をして価格交渉ばかり行うなど、巡り合わせは運不運に左右されるケースもあります。

ミスリードを避けるため特殊事象は除いた数値の算出が一般的です。

  • Aさん:10人の顧客に対して、商談時間は5時間だった   → 平均商談時間 30分
  • Bさん:10人の顧客に対しての商談時間は7時間だったが、1名3時間を要した顧客がいた。
       イレギュラーを除き、9名で4時間かかったと考える → 平均商談時間 27分

実は後半の営業パーソンのほうが、平均商談時間は短かったことが分かります。

プロセルトラクションが営業フローの見直しをサポート

この記事で営業フロー可視化の概要は説明していますが、新規事業で自社製品に合わせた手法を見つけて実施することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたリードジェネレーションの手段のご提案から実践までサポートしています。

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営業フロー作成のメリット

営業フロー作成には様々なメリットがあります。まずは、営業のプロセスを可視化するだけで営業個人別の活動内容を確認できます。

その上で分析もしやすく、どこに課題があるかも分かります。また各工程をトレースしやすくなるので、対応漏れが起こるなど営業品質の低下を防ぐことにもつながるでしょう。

より具体的にメリットを説明します。

営業活動の確認が容易

営業フローを振り返ると、手順通りに営業できているか営業パーソン自身が確認できます。同じくマネージャーが各人の業務の進め方をチェックするのも簡単です。

月末月初に、月間営業目標の達成度を振り返る組織が多いはずですが、この際に営業フローに沿って振り返ると、メンバーも整理しやすくなります。営業フローに改善を加える際にも、このような定例会議で行うと効率的でしょう。

数値化によりボトルネックが分かる

営業フローに重要なのは数値の記入です。架電件数、通話できた件数、メールのレス、アポイントの獲得、成約と、各ステップの件数を記入するとコンバージョン(転化率)が明らかになります。

件数も重要ですが、パーセンテージのチェックも必要です。それにより、改善すべきポイントが分かり「ボトルネック」解消にもつながるでしょう。改善により大きく営業結果が伸びる可能性があります。

<数値化によるメリットの例>

  • 見込み顧客は多かった、アプローチ数も十分だったがアポイントに至っていない
    >>> アプローチ方法に課題がある。レスポンスの悪い顧客に時間を取られていないか。
  • 受注件数は多かった。ただし売上金額が予想の半分だった。
    >>> 客単価が低い。提案しているメニュー、提案の流れに問題はないか。

このように具体的な手が打てるのです。

営業部門全体でスキルアップできる

複数の営業メンバーが同じ営業フローで業務を進めても、成績の良し悪しが分かれます。優れた営業パーソンには必ず他と違う特長があるはずです。

例えば、「商談が終わった後にクロージングのメールを送る」フローは全員やっているが、優れた営業マンだけが「1時間以内に実行」しているとします。

些細なことと思われるかもしれませんが、「神は細部に宿る」の格言の通り、真似しなかった営業パーソンの成績は変化がなく、1時間以内のメールを実践した営業パーソンの売上だけがアップすることは実際に起こりえるのです。

この差をマネージャーらが見抜いて、組織全体に共有すれば、全員の営業成績は上がるでしょう。

営業品質を保つ

顧客からの問合せに対応する営業パーソンによって差が生じないようにしたいものです。

サービス提供のスピード、内容などは差がつきがち。特に慣れない担当者は、次に取り組むべき活動を把握しておらず対応が漏れてしまうなどはもったいないことです。

営業フローがあれば、対応のノウハウが属人化されることを防げます。最低限の営業品質を保つことは顧客のクレームを減らし、満足度アップにもつながるでしょう。

営業改善策の検討

営業フローの分析によって様々な課題が見つかるでしょう。それに対して、改善策を考えて対策を打たなくては結果は変わりません。

よくある原因と、その改善につながりやすい代表的な施策を紹介します。

アタック先の見直し

営業をかける相手は合っているでしょうか。またもっと優先度の高いリストはないでしょうか。

アウトバウンド営業のように、こちらから相手を選んでアプローチする場合にはターゲット先がずれているとアポイント獲得数などが大きく落ち込んでしまいます。

様々な属性の顧客が混ざったリストに新たにアプローチする際は、1週間ほどトライしたところで、その中でもどんな属性のものが感触がよいかを振り返ります。

セールストーク、セールスツールの再構築

初期段階のセールストーク、セールスツールには必ず改善の余地があります。

顧客に響いたポイントを強調する、逆にあまり反応がなかった箇所は削ぎ落すなどの改良を行うと、成約率の向上につながるかもしれません。

業務の外注化

課題、弱点が把握できたら、その業務を外注するのも有効な手段の一つです。

自社での改善に比べて即効性が高く、短期間で結果を改善できるでしょう。営業の業務を請け負う、「営業代行会社」は以下のような役割を担います。

  • 新規客のターゲット選定からアポイント獲得
  • リードナーチャリング(見込み客の育成)
  • 受注獲得(クロージング)
  • 書類回収、入金管理
  • 営業コンサルティング

営業戦略の策定や、営業人材の育成など組織としての仕組みづくりにもパートナーとして参画してくれます。

業務の自動化(セールスオートメーション)

セールスオートメーションを使うと、営業活動の一部が自動化できます。

直接的な営業活動以外の様々な付帯業務にはRPAなどで自動化できるものが多数あります。見積書の作成、送付などのほか、メール作成・送信、スケジュール調整などのルーティンから解放されるため、営業パーソンは顧客との対話時間、訪問件数を増やせるでしょう。

さらにメールを開封した顧客、しなかった顧客へ次のメッセージを自動作成して送付するなど、人間よりもきめ細やかな対応をすばやく実現します。上手に活用すれば営業成果は飛躍的に高まるでしょう。

営業フロー見直しで売上アップにつなげよう

営業フローを細かく作成し、丁寧に見直せば、気づかなかった改善ポイントを見つけられます。

これまで漠然と行っていた活動や、成果を出している一部の営業パーソンだけが取っていた行動にスポットを当て、改善、共有すれば全体結果は大きく向上するでしょう。

外注化、自動化も効率アップの有効な手法の一つです。

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