業種や企業規模にかかわらず、マーケティングツールを利用する企業が増えています。

マーケティングツールは、企業におけるマーケティングの情報収集・分析・予測などの作業をサポートするインターネットツールです。

これまで、受注の大部分を個々の営業スタッフのスキルに頼ってきた企業には、なぜマーケティングツールが重要視されるのかイメージしづらいかもしれません。

この記事では、マーケティングツールの活用法・メリット・注意点を紹介します。後半でおすすめのマーケティングツールも紹介しているので、ぜひチェックしてください。

マーケティングツールとは?

マーケティングツールの導入を検討するには、そもそもマーケティングツールがどのようなものかを理解する必要があります。

まず概要や利用用途、昨今注目を集めている理由について解説します。

マーケティングツールは情報収集と分析に使う

マーケティングツールとは、マーケティングに必要な情報収集や分析を行うアプリケーション、ソフトウェアのことです。

近年企業が利用しているマーケティングツールの多くは、SaaS型のモデルで運用されています。利用料金は月額もしくは年額のサブスクリプションで課金されるタイプが一般的です。

マーケティングツールの用途

マーケティングツールを活用する企業の目的は、以下のいずれかです。

  • 売上アップ
  • コスト削減

売上アップには、見込み顧客のデータを分析し販売数を増やす、顧客単価のアップなどの方策があります。一方コストを削減するには、営業の効率化や自動化などが常道。

マーケティングツールを効果的に活用すれば、売上アップとコスト削減のいずれか、あるいは両方を実現できます。そのためにデータ収集・分析・コミュニケーション機能などが駆使されるのです。

マーケティングツールが注目されている理由

マーケティングツールが注目されているのは、以下の理由によるものです。

  • テクノロジーやITネットワークの進化により、大量の情報を安価で手軽に管理できるようになった
  • 顧客側が多くの情報を簡単に取得できるようになり、営業側はそれ以上の情報を効果的に活用する力が求められるようになった
  • オンライン商談やインサイドセールスなど、営業の進め方が変化し科学的な営業アプローチが不可欠

業界、業態、自社の課題によって違いはありますが、マーケティングツールを効果的に活用すれば情報収集が素早く正確になるので、分析も容易、また結果を営業に活かせるようになります。

またマーケティングツールの注目が高まっていることを示す根拠として、ツールの一つであるマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入率の推移を紹介します。

2018年2019年2020年2021年
導入率6.4%7.7%8.9%11.4%

こちらは、上場企業を対象としたランダム調査に基づく導入率です。

まだ水準としては高くありませんが、順調に導入率が伸びていることがデータから見て取れます。

マーケティングツールを導入する4つのメリット

マーケティングツールは非常に便利なツールです。

ただし、メリットを把握せずにやみくもに導入しただけでは、強みを活用しきれません。

この章では、マーケティングツール導入の4つのメリットをご紹介します。

営業の費用対効果が高まる

営業の費用対効果の向上は、マーケティングツール導入の最大の目的です。

マーケティングツールを導入するとこれまで活用できていなかった顧客情報を最大限に活用でき、売上アップを実現しやすくなります。またメールの自動送信、情報共有、シチュエーション別のシナリオ作成、顧客データ管理など営業効率化のための機能も備わっています。

マーケティングツールを活用すれば、収益アップにつながりやすいと言えるでしょう。

営業部とマーケティング部との連携が取れる

大半のマーケティングツールの機能は、営業部とマーケティング部の領域にまたがっています。

マーケティングツールを機能させるためには、マーケティングと営業が密にコミュニケーションを取り、共通目標をイメージする必要があります。

営業部とマーケティング部が別部署、別フロアの場合には意思疎通を図りにくい組織もあるかもしれません。マーケティングツールの活用を機にコミュニケーションが円滑になるでしょう。

コミュニケーションが円滑化されると業務のムダが解消され、生産性が高まる副次効果も生まれます。

PDCAを高速で回せる

マーケティングツールを活用すると、さまざまなデータをリアルタイムに営業戦略に反映させられます。予測や推測が間違っていた場合であっても、即座の軌道修正が可能です。

営業では多くの種類のデータを分析するため、データ収集・分析に時間が費やされます。分析の精度も従来とは比較にならないほど向上するでしょう。

顧客満足度・エンゲージメントの向上

顧客情報を営業戦略に反映することで、顧客のニーズ、悩みに合致した商品を市場に展開できるようになります。また顧客にとって望ましくないタイミング・手法での営業アプローチが減少し、不快を感じさせるケースも減少が見込めます

結果的に、マーケティングツールは顧客満足度の向上にも大きく貢献するでしょう。

プロセルトラクションがマーケティング ツールの導入をサポート

この記事でマーケティングツールの概要は説明していますが、自社に最適な運用を始め、継続していくことはかんたんではありません。そこでコムレイズインキュベートではあなたの会社にマッチしたマーケティングツールの導入から運用までサポートしています。

まずは話を聞いてみる

ツールを使いこなすために知っておきたいマーケティングプロセス

マーケティングツールは、誰でも手軽に利用できるように設計されています。それでも、ツールをうまく活用するためには基本のマーケティングプロセスを把握する必要があります。

この章では、マーケティングプロセスの基本、進め方を紹介します。

市場分析

市場分析とは、市場の特性や業界の動向などを自社・他社の強みや弱みと関連付けながら分析することを指します。

いわゆるレッドオーシャンなど、勝算のない市場で戦っても疲弊するのみで利益は得られません。市場の見極めは重要なプロセスです。市場分析は、通常以下のフレームワークが用いられます。

  • 3C分析:自社(company)・競合他社(competitor)・市場(customer)の強み弱みを分析します
  • SWOT分析:強みと弱みに関して、内的要因・外的要因の両面からピックアップします

市場分析の精度を高めるには、客観的で信用のできるデータを集めることが重要です。

STP分析

STP分析も頻繁に使用されるマーケティングのフレームワークです。

  • Segmentation(セグメンテーション):市場の構造を細分化して、把握します。BtoB商品の商材の場合、顧客の企業規模・業態・地域などで細分化します
  • Targeting(ターゲティング):自社の商品やサービスが、どんな顧客に価値を提供できるか、刺さるかを見極めるます
  • Positioning(ポジショニング):ターゲティングした顧客層に自社の位置づけを明確にすること。自社の強みや他社との差別化のアピールにより、市場でのポジションを明確にします

すべての顧客に支持される商品はありません。誰に対してどのように売るかを決定することが重要です。

ーケティングミックス

マーケティングミックスとは、マーケティング施策実行のための戦略を立案することです。

マーケティングミックスにてよく用いられるフレームワークは、4P分析です。

  • Product:製品
  • Price:価格
  • Place:流通
  • Promotion:プロモーション

一つの商品・サービスについて、上記の4項目を分析して以下の3点を考慮します。

4Pのバランスがきちんと取れているか?
4Pの間にそれぞれ矛盾が生じていないか?
4Pの間に相乗効果が生まれているか?

さらに、自社商品だけではなく競合に関しても同様の分析し、自社ポジショニングをより明確にします。

実践と振り返り

マーケティングミックスにより立てた戦略をじっこうに移します。

必要に応じて、KPI(重要業績評価指標)を設定して、経緯を確認しながら施策を実施しましょう。

マーケティング施策を実行に移したら、適宜振り返りをおこないながら施策をブラッシュアップして、営業案件の獲得を目指します。

マーケティングツールの種類

マーケティングツールには、用途によっていくつか種類があります。自社の課題に合わせて必要なマーケティングツールを導入することで、ツールの効果を最大化させることが可能です。

また複数のツールを連携させることでより強力なツールにすることも可能です。この章では4つのマーケティングツールの種類をご紹介します。

マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは、情報収集・分析・マーケティング作業の自動化ツールです。

MAを使用すると、人力に頼っていたことや手間がかかりすぎるためにできなかったことを、手軽に実行できます。

MAツールの機能は以下のとおりです。

  • セグメントにもとづいたDMやステップメールの送信
  • Webサイト構築
  • アクセス解析
  • スコアリング(顧客の興味関心の度合いを点数化して一覧表示させるもの)
  • ウェブ広告との連動・分析

以上のように、マーケティング活動全般の精度を高め、効率を改善してくれる作業です。

営業支援システム

SFA(営業支援システム)を導入すると、営業活動の可視化・標準化・効率化の効果が期待できます。具体的にその効果・メリットをチェックしてみましょう。

  • 顧客管理(社名・住所・担当者などの基本情報など)
  • 商談管理(担当者情報・提案内容・案件の進捗状況・過去の提案履歴など)
  • 営業担当者管理(当日のスケジュール・ToDoリスト・目標管理など)
  • 書類発行(請求書・見積書の発行など)
  • 売上予測(実績やデータにもとづいた売上の予測)

機能が重複していることから分かるように、SFAは一部マーケティングの領域もカバーしています。ツールをいかに効果的に営業に活用できるかがポイントとなっています。

CRM

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とは、特定顧客との関係を記録し、売上につなげるための効率化システムです。営業支援システムとも関連がありますが、商談を管理するSFAに対して顧客そのものを記録、管理する点が違いと言えるでしょう。

具体的な機能は、以下のとおりです。

  • 顧客データベース(基本情報・過去の自社とのやり取りのデータベース)
  • プロポーション機能(会員登録機能・メール配信・問い合わせ管理・SNSとの連携など)
  • マーケティング機能(顧客のセグメント・顧客情報の整理など)
  • レポート機能(情報の出力など)

CRMは、SFA、MAなどとも連動して、マーケティング・営業の領域で基幹的な役割を担います。

ABM

ABM、アカウントベースドマーケティングでは、大企業のような大口顧客をひとつのデータとして捉えて、その企業に関するあらゆる情報を一元管理します。

  • 顧客データの作成
  • ターゲット企業の選定
  • 過去の売上や購買頻度のデータを可視化

世の中に多くの企業がある中で、自社の利益を最大化する少数の企業に絞って営業活動をしますので、多数を管理するSFA、MAとは若干性質が異なります。

MAツールやSFAを利用してABMを実行することも可能ですが、ABM特化ツールを使用するとさらに業務を効率化できる可能性が高いでしょう。

おすすめのマーケティングツール5選

マーケティングツールには、さまざまな種類があります。

それぞれ機能や使い勝手が異なるため、どのツールを選ぶべきかわからないという方のためにおすすめのマーケティングツールを5点ご紹介します。

「SalesForce」(SFA・CRM)

グローバル規模で最も多く利用されているSFA・CRMといえば、SalesForce(セールスフォース)。

営業・マーケティング・顧客管理のあらゆる範囲をカバーしているので、中小企業から大手エンタープライズまであらゆるユーザーにとって効果的なツールとなるでしょう。

20年以上の実績を持ち、世界シェアNo.1のマーケティングツールです。

「マーケティングオートメーション」(MA)

NTTマーケティングアクトの「マーケティングオートメーション」は、コールセンターやコンタクトセンターとの連携に優れたマーケティングツールです。

NTT西日本グループによるプロダクトなので、ビジネスフォンやコールセンターとの機能面の連携が優れています。

さらに、導入・運用に関してNTTマーケティングアクトの厚いフォローが受けられるため、運用できるかどうか不安な起業でも安心して導入できるツールです。

Microsoft dynamics 365(CRM)

Microsoft dynamics 365は、マイクロソフトが提供しているマーケティングツールです。マーケティング市場でSalesForceに次ぐシェアを誇ります。

Microsoft dynamics 365の大きな特徴は、Office製品との連携がスムーズである点です。エクセルで作成したデータから、手軽に営業レポートが作成できるなど、スムーズな連携が期待できます。

eセールスマネージャー(SFA)

純国産のSFAで最大シェアを誇っているのがソフトブレーン株式会社のeセールスマネージャーです。

eセールスマネージャーには、日本のビジネスに見合った機能が過不足なく搭載されているため、担当者の負担を最低限に抑えられるでしょう。

Market(ABM)

Marketは、PCソフトウェアで有名なアドビが提供するARB専用のツールです。

700もの外部ソフトウェアとの連携が可能であるという拡張性の高さが、あらゆるビジネスシーンへの適用を可能にしています。

5,000社への導入実績があり、日本国内でも多くの企業が導入しています。

まとめ

情報が多様化・複雑化する今、効率的・効果的なマーケティング活動を実践するにはツールの活用が欠かせません。

まずは自社の商品・サービスの市場での位置づけや改善点などをイメージして、大まかな方向性を検討したのちに、ツールの導入を検討するとよいでしょう。

MA・SFA・CRM・ABMなどのマーケティングツールを導入すると、処理できる情報量や分析の精度が人力よりも圧倒的に向上します。

メリットを最大限に活かすために、個々のツールの強みや特徴を把握することも重要です。ぜひ、本記事をマーケティングツール選定の際の参考にご活用ください。

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