これまで接点のない客先(企業)にアプローチをかける際に、最初の入り口となるのがホームページに設置されているお問い合わせフォームです。担当者の氏名、電話番号やメールアドレスが分からなくても、問い合わせフォームからフォーム営業をかければコンタクトできる可能性があります。
当記事では、問い合わせフォームを用いた「フォーム営業」を導入するメリットや注意点、コツなどを含めて解説します。
あわせて「問い合わせフォームに営業をかけて返信率を高める工夫」「フォーム営業の効率を高める方法」「定型文の作り方」などを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
フォーム営業とはなにか
フォーム営業とは、各企業がホームページに設置している「問い合わせフォーム」からアクションをかける営業方法です。
まずフォーム営業の「基本概念」「メール営業との違い」「重要性」の3つを詳しく解説します。
フォーム営業の基本概念
企業によっては「カスタマーサポート」や「製品に関するサポート」、「総合窓口」などと複数の問い合わせフォームが設置されている場合がありますが、基本的にフォーム営業で扱うのは「総合窓口」のみです。
問い合わせフォームは、送信側がメールアドレスや問い合わせ内容を入力することで誰もが企業に対してメッセージを届けられる仕組みになっています。そのため営業としてアプローチしたい先の部署名や担当者、電話番号やメールアドレスが一切把握できなくても、こちらからレスポンスを求めるメッセージを届けられます。
専用の問い合わせフォームに送られたメッセージは、内容によって企業側で振り分けられ、メールでの折り返しの連絡が来る流れが一般的です。
この一連の工程を活かし、営業の内容を含んだメッセージを送信することで商談のアポイント設定を図ります。
フォーム営業とメール営業の違い
フォーム営業と同一の手法としてよく間違えられるのが「メール営業」です。
この2つの営業手法は相手にメッセージを配信する工程は同じですが、プロセスが異なります。
< フォーム営業 >
・各企業が用意している問い合わせフォームから送信する
・面識の有無に関わらずアプローチすることができる
・開封率が高いとされ、担当者・決裁者の目に留まりやすい
< メール営業 >
・営業個人から担当者へメールで送信する
・アプローチ先のメールアドレスが必要
・本人には確実にメッセージを届けられる
・退職などで相手のメールアドレスが無効になる場合がある
メールアドレスが「個人」に紐づくのに対して、問い合わせフォームは会社そのものにアプローチする手法だと言えるでしょう。
フォーム営業の役割と重要性
新規開拓営業を進めるうえで、多数の企業にアプローチをかけられるフォーム営業は、非常に有効な手段になります。
新規層を開拓することに対して重要な手段ではありますが、企業によって向き不向きがあります。
それぞれに対応する企業の特徴を紹介します。
フォーム営業が向いている企業 | 不向きな企業 | |
特徴 | ・自社やサービスの認知度が低い ・アプローチ先の情報が少なく、早く顧客を開拓したい | ・ターゲット企業がわずかしかいない ・テキストでは魅力を伝えづらい体験型の商品 |
サービス・商品 | ・企業向け ・検討に時間を要する商品 | ・個人向けのもの ・即断即決できる商品 |
フォーム営業は、不特定多数を対象に、かつ組織が大きく決済権者の特定が難しい場合には特に効果を発揮します。ただしフォーム営業は、送信からレスポンス、商談のセッティングまである程度の時間が必要なので、即断即決型で安価な商品のセールスとはやや相性が悪いと言えるでしょう。
またフォーム営業では、アプローチ段階では実際にサービスを体験してもらうことができないので、あくまでも文字情報のみで魅力を伝える必要があります。
フォーム営業のメリット
フォーム営業に対する認識が深まったタイミングを想定して、フォーム営業を実施するメリットを解説します。
アプローチできる企業の幅が広がる
問い合わせフォームを設置している企業なら、メールアドレスや電話番号が分からなくてもアプローチできます。そのため従来よりも営業の機会が広がりやすくなるでしょう。
自社でターゲティング、リストアップした企業に対して同時にアプローチし、短期間での商談化が見込めます。
キーパーソンの閲覧率が高い
相手の連絡先に直接送るダイレクトメッセージやメールは、破棄されてしまったり受信ボックス内で未読のまま放置されてしまったりすることも珍しくありません。
しかし問い合わせフォームに、顧客からの意見集約や自社の営業機会の獲得を期待している企業、特に中小企業では問い合わせフォームで受け取ったメッセージを経営者・決裁者が目を通しているケースも多くあります。
権限を持つ人たちから直接返信をもらえるた場合には、すぐに商談化できるだけでなく、商談成立まで導ける可能性も高まります。
業務の効率化
あらかじめアプローチしたい企業のフォームがあるURLをリストアップし、定型文を用意しておけば、1時間に数十社へ営業をかけられるでしょう。基本的には手作業のため数千社・数万社へのアプローチには人海戦術が必要ですが、開封率の低いメルマガや、相手が在席しているタイミングでなければならない電話に比べ効率的な営業方法と言えます。
プロセルトラクションがフォーム営業をサポート
この記事でフォーム営業の概要は説明していますが、新規事業でフォーム営業を運用することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたフォーム営業のノウハウの共有から営業代行まで幅広くサポートしています。
フォーム営業のデメリット
メリットだけではなく、フォーム営業がもたらす可能性のあるデメリットも3つ解説します。
便利な反面、思わぬトラブルとなり、かえって生産性を落とす可能性もあるので、ぜひ認識しておいてください。
クレームの危険性
数多くのメッセージを配信できることが強みのフォーム営業ですが、一部企業では「営業NG」といった規約を設けている場合があります。
そういった規約を無視した場合、「営業NGといったのに規約を守らない迷惑企業」とレッテルを貼られて、商談機会を失うだけでなくクレームにつながってしまうかもしれません。何気ないアクションとして送ったメッセージが、責任者クラスによる謝罪や再発防止策の報告が必要になると、かえって企業としての生産性を下げてしまうでしょう。
実際にクレームとして返ってこなくとも、サイレントマジョリティーとして悪い評判が広まってしまうリスクがあるのでので注意が必要です。
返信にはつながりづらい
問い合わせフォームから届いたメッセージは、目を通すだけで終わってしまうケースも少なくありません。窓口の担当者が適切にメッセージを振り分けて、各担当社員に返信を促したとしても、メッセージで興味を惹きつけられなければ回答は返ってこないでしょう。
「数撃てば当たる」という戦略ではなく、返信をもらいやすいメッセージの研究や、自社商材とマッチする確率の高い企業群をリストアップするなどの対策が必要です。
地道な送信工程
あらかじめ、フォーマットとなるひな形の文言を用意しても、1件ずつ手打ちになってしまいます。企業ごとに問い合わせフォームの形式はさまざまで入力必須な項目、入力の順番なども異なるためです。
メッセージ記入欄だけでなく、返信用メールアドレスや氏名、住所や電話番号などが求められる場合もあります。自動入力ツールなどの導入によって解決できる可能性もありますが費用がかかるほか、セッティングに労力が必要となるでしょう。
フォーム営業の手順
フォーム営業を実施する際、最初にやるべきことから改善までの一連の流れを具体的に解説します。
フォーム設計の基本原則
ここまでで記してきたことを含みますが、原則として留意するポイントを4つ挙げます。
・送付する際に問い合わせ窓口は「総合窓口」を選択すること
・規約を必ず一読し、「営業NG」の場合は送信しないこと
・返事が来ないからといって、頻繁に送らないこと
・企業名とURLをリストアップし送信文のフォーマットを用意すること
これらの要点を意識したうえで、まずは企業名とURLのリスト化、定型文の作成を行いましょう。
フォームの配信と収集を行う
まず送信したい企業名の一覧を作成し、各企業のホームページで問い合わせフォームの場所を特定します。
定型文をペーストしたうえで、企業名や訴求するメリットをカスタマイズして送信します。興味を示す企業から返事がきますが、基本的に反響を示す企業は購買意欲が高いのが特徴です。商談の前に、具体的な提案や不安に対する解決策を準備することで、商談成立の可能性が高まるでしょう。
フォームの改善と最適化を行う
反響を基に、フォーマットや送信時の文面の改善を継続して行います。
何種類かのフォーマットで、反響を比べるとより早い改善につなげられます。
反響や効果、意見を収集して比較・検証を継続的に続けていくことで、成果を高められるのもフォーム営業ならではのスピード感です。
フォーム営業のコツ
フォーム営業の効率をより高めていくために、多くの企業が試行錯誤を繰り返しています。
反響率を上げ、時間効率をより高める定番を3つ紹介します。
送信フォーマットの最適化
先に述べていますが、営業というアプローチから商談成立という結果に繋げるためには、適切な内容を書く必要があります。
フォーム営業をかける際、適当かつ王道な要素を3つ解説します。
1. 自分の情報
自身の名前やどこの企業に勤めているのか、悪印象にならないよう丁寧に名乗りましょう。
フォームで企業名や氏名の入力が必須になっている場合も、メッセージ記入欄の冒頭で自己紹介するのがよいでしょう。
2.なぜ連絡をしたのか
内容が整理されていなくて何を伝えたいのか分からない文を送ってしまうと、相手の読む気を下げてしまいます。
お問い合わせフォームを使って営業をかけるので、どんなことを何で伝える必要があるのかを相手が読みやすいように書きましょう。
3.自社の商材でなにを望めるのか
自社の商材を扱うことでどんなメリットがあるのか、明記する必要があります。
「この商品は軽いです!」や「このサービスは安いです!」などと比較しづらい抽象的な内容は避けたほうが、相手に価値が伝わりやすくなります。
「この商品は軽いです!」
→ 「この商品は類似商品と比べ3分の2の重量で、体にかかる負担は半分で済みます」
「このサービスは安いです!」
→ 「弊社のサービスは、低価格を意識して開発しました。同価格帯の商品と比べ、受けられるサービスが豊富です」
ファーストインプレッションを重視
問い合わせメッセージを受け取った側は、内容の全体像を把握するために、「件名」に注目します。
件名に相手が反応したくなる工夫を加えると印象が変わります。
例:「(企業名様)へのご案内」
「アポイントのお願い」
「勤怠管理にかかるコスト削減のご提案」
「売り込みたい」というこちらの思惑はできるだけ隠したいところです。同時に「何か気になる」「話だけでも聞いたほうがいいのではないか」などと第一印象で思ってもらうために件名を変えてみましょう。
どのような件名なら興味を引いてもらえるのか、相手目線に立って考えることが重要です。
自動化ツールを活用して工数を減らす
入力する文のフォーマットや企業のリストアップは完了しているが、問い合わせフォームにアタックする人員が足りないケースがあります。
営業リストの作成を自動化するツールやAIが問い合わせフォームに自動送信するツールなど、便利なものが数多く存在するので、自社に適した自動化ツールを利用するといった方法があります。
全て人力で行わなければならないといった決まりはないので、リソース不足に悩んでいる場合は、自動入力ツールなどを導入を検討しましょう。
フォーム営業を取り入れるために
自社の新しいスタイルとして、フォーム営業を取り入れようと考えている方に向けて実施メリットや手順を、既に取り入れている企業にも役立てるようなコツなどを解説しました。
フォーム営業は数多くアプローチできるのみならず、確度の高い反響を得やすいという非常に魅力的な手法です。
取り掛かりやすくメリットが大きい反面、相手企業の設けている規約や送信文の内容の正確さに意識を払わないと悪影響を及ぼす可能性があります。
コツや注意すべき点を押さえ、効率の最大化を目指していきましょう。
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