アップセル・クロスセルは顧客単価を高め、LTVを向上させるためのマーケティング手法です。新規顧客の獲得が難しい状況下では、既存客に対する営業が重要になるのは言うまでもないでしょう。
この記事では、アップセルとクロスセルの違いやメリット・デメリット、成功させるポイントについて解説します。それぞれの戦略についてもご紹介しますので、アップセル・クロスセルの導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
アップセル・クロスセルの違い
アップセルとクロスセルは、顧客単価を上げるという目的としては同じですが、達成までのアプローチ方法が違います。
アップセル | 今現在購入したものまたは購入を検討しているものよりも、上位のプランや商材の購入を促す方法のこと。 |
クロスセル | 既に購入したものや購入を検討しているものに関連する別の商材を提案し、購入を促す方法のこと。 |
アップセル・クロスセルが重要になった背景
まず、アップセルやクロスセルが重視されるようになった背景を解説します。
新規顧客の獲得が困難になってきた
高度成長の時代から、売り上げを拡大するには新規顧客を獲得するのが近道だと考えられてきました。
しかし、現代の日本は少子高齢化によって人口が減少する局面になっています。言わばパイの奪い合いになりやすく、多くの業態・サービスで新規顧客の獲得が難しくなってきたと考えられいます。
情報やモノにアクセスしやすくなった結果、他の競合商材と比較されやすくなり、成約までの期間やコストがかさむようになったことも新規顧客の獲得が難しくなった理由の一つです。
顧客生涯価値(LTV)の向上が重要となった
顧客生涯価値(LTV=Life Time Value)とは、取引を開始してから終了するまでの期間、1人の顧客がどれだけの売上をもたらすかを示す指標です。
サブスクリプション型ビジネスモデルでは、顧客に継続してサービスや商品を利用してもらうことが、そのままLTVの向上につながりますが、より上位の商品を購入または、数多く購入してもらうことが一層重要になります。
LTVを向上させるための手段としては、アップセル・クロスセルは最も有効な手段であり、ビジネス拡大にも直結します。
プロセルトラクションがアップセル・クロスセルの導入をサポート
この記事でアップセルとクロスセルの概要は説明していますが、新規事業でアップセル・クロスセルを導入することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたアップセル・クロスセルのご提案から実践までサポートしています。
アップセルとクロスセルのメリット・デメリット
アップセルとクロスセルの成果が出るフェーズになれば効率よく売上アップが見込める一方で、反応が芳しくないときはデメリットの側面が大きくなる懸念もあります。
メリット1:顧客満足度を上げやすい
アップセル・クロスセルによって、顧客が求めているニーズを満たす提案を行えれば顧客の満足度は自然に上がるでしょう。購入時点でプラスの評価を持っている場合には、家族や友人に勧めたり、リピート購入につながったりする可能性も高まります。
メリット2:営業効率がアップ
自社の営業効率もアップセル・クロスセルがうまくいっている場合には、大きく向上が見込めます。
新たな顧客を獲得するには、リード獲得にはじまって交渉、事前のアポイントなど多くのプロセスを要します。コストや労力がかかる割に契約率が低いと営業効率はアップしません。
しかし既存顧客の場合は、関係が既に構築されており、自社のサービス内容にも一定の理解があるため、営業活動を効率的に行えます。キャンペーン告知や営業メールなどによって、直接営業パーソンの手を介さなくてもアップセル・クロスセルにつながるケースもあります。
提案時に商品のメリットを的確に伝えられれば、その場では購入が見送られたとしても、必要性が生じた時点で選択肢の一つとして挙げてもらえるでしょう。
メリット3:顧客単価を上げる
一般的に新規顧客を獲得するには、既存顧客への販売に比べ、5倍のコストがかかると言われています。そのため、より多くのコストをかけて新規顧客を開拓するより、アップセルとクロスセルを実施し、既存顧客のLTVを最大化を実現する方が、利益率が高くなるでしょう。
アップセルは一回あたりの購入金額を増やすこと、クロスセルは購入点数を増やすことにより顧客単価が上昇します。
デメリット1:顧客が離反する可能性がある
アップセルとクロスセルは、本来顧客に新たな価値を提供するものです。しかし顧客が価値を感じていなければ「単にコストが増える」と受け取られかねません。
そのため営業パーソンは顧客に対し、的確に購入メリットを伝える必要があります。自分の意見ばかり伝えることやニーズに合っていない商品を提案すると、信用を失い顧客が離れてしまう恐れがあります。
アップセル・クロスセルを行う際は、顧客ニーズに沿った商品の提案をすることが大事になってきます。
デメリット2:顧客の判断が遅くなる可能性
アップセル・クロスセルを行うということは、顧客に対しさまざまな選択肢を示すことになります。
どのプランを導入するか、どのくらいの数量(アカウント数)を購入するかなど、顧客にとっては決断しなくてはならない項目が増えるわけです。そのため予算との兼ね合い、本当に必要な機能か、乗り換えた場合どうなるか、など検討にかかる期間が増すことが予想されます。
最終的には売上アップという結果が得られるかもしれませんが、短期的な営業成績を気にする場合には決定まで長期化するデメリットが上回るかもしれません。
アップセルを成功させるポイント
アップセルとクロスセルを実施する上でのメリット・デメリットを頭に入れていただいたうえで、アップセルを成功させるポイントについてご紹介します。
顧客ロイヤルティを向上させておく
アップセルを成功させるためには、顧客ロイヤルティを向上させておく必要があります。
顧客ロイヤルティとは、自社の商品やサービスに対して顧客が感じている愛着や信頼のことです。顧客ロイヤルティが低い顧客よりも、自社商品に信頼を寄せている顧客ロイヤルティが高い顧客に対してアップセルを行うことで、成功する確率が高まります。顧客ロイヤルティを可視化するNPS(ネットプロモータースコア)やCRMを活用してみるのも1つの手段です。
見込み客の見極めをする
アップセルを行う顧客を見極めることも重要なポイントです。顧客ロイヤルティを示すNPSや顧客管理システムを指すCRMを利用することで、顧客ロイヤルティが高い顧客を探し出すことができます。そのためには行動履歴などを分析する必要があるでしょう。
その役割を担うNPSは、企業やブランドに対し、どのくらいの信頼や愛着があるのかをアンケート調査を元に計算できます。
CRM、顧客管理システムを使うと、「どのくらいの頻度で購入・利用し、継続しているのか」などのデータから、顧客の購買意欲を分析し、適切なアプローチを実現できます。商品を購入している顧客に購入後のサポートの連絡をしたり、お問い合わせをした顧客に対しては、セミナーの案内したりすることが可能です。
具体的にメリットを提示する
商品開発や商談の段階から、具体的にメリットを提示し、アップセルを行う準備を進めると、顧客単価を念頭に置きながら営業活動を行えるでしょう。
実施するタイミングを見計らう
アップセルとクロスセルを行うべきタイミングは異なります。
アップセルにおいては、キャンペーンや無料お試し期間の終了間際・プランの更新時になります。
アップセルの方法を考える
実際にアップセルを行う方法を紹介します。
有料へアップグレード
サブスクリプションなど、一定期間の無料提供を経て、有料プランやサービスを勧める手法になります。いきなり有料プランを導入するのは難しいので、無料期間を設けて、そのサービスの利便性を感じてもらえるよう、顧客にアピールしましょう。また導入後に活用できるクーポンの提供も効果的です。
類似製品
例えば、ある家電を購入しようとしている顧客がいるとします。購入予定の家電の特性を詳細に説明した上で、より多くの機能を備える上位モデルの商品を提案していきます。顧客の求めているものを分析し、メリットを丁寧に伝えることでアップセルが成功する可能性が高まります。
割引付き
割引付き商品の提案は、化粧品などのよくリピートする商材に適した手法になります。日常的に利用している商品より高額なものに特定の割引を付けることで、高価な製品を購入してもらう機会を作れます。この提案は、既存顧客にとって魅力的に感じさせ、顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。
クロスセルを成功させるポイント
次にクロスセルを行う上での特記事項もチェックしましょう。
顧客のニーズに合わせて提案する
顧客単価を上げたいという目先だけの利益だけを望むと、顧客はそれを感じ取り解約に繋がってしまうケースがあります。そうならないためにも、顧客が商品やサービスに対する満足度合い、不満などをさりげなく聞き出し、ニーズに合わせた提案をすることがクロスセルを成功させるポイントになります。
押し売りをしないようにする
デメリットでもご紹介したように、顧客のニーズに合わせず無理に商品を勧めてしまうと、押し売りされたと感じ、将来の利益まで失ってしまう可能性があります。したがって押し売りはしないようにしましょう。信頼関係をまずは築き、気軽に相談できる環境を作りましょう。
アフターフォローは必ず行う
顧客に商品やサービスを購入・利用してもらったら、それで終わりではなく、定期的なアフターフォローも行うことが大切です。丁寧なアフターフォローを心がけ、相談できる体制を作っておくと、次回の購入時クロスセルに繋がりやすくなります。
具体的にメリットを提示する
クロスセルの場合、購入した関連商品の価値に気付いていないこともあるため、購入をまとめてすることのメリットや勧める理由を具体的に提示すると良いでしょう。
実施するタイミングを見計らう
クロスセルにおいては、顧客満足度が高まった時や購入を決めた直後に行うのがおすすめのタイミングです。
クロスセルの戦略
追加購入
クロスセルの一般的な手法になります。顧客が購入しようとしているアイテムの関連商品を勧め、追加購入してもらうことで顧客単価を上げます。
例えば、パソコンを購入しようとする顧客に対し、マウスやパソコンカバーを紹介します。購入してもらうことで、パソコンをより効果的にそして長く愛用してもらえます。結果として、顧客満足度も上げられるでしょう。
季節
季節ごとのイベントに応じて、クロスセルを取り入れることができます。7月や8月は夏アイテムとしての水着を購入する人が増えます。その際に、日焼け止めやビーチサンダルなどの関連商品もセットにして提供することで、顧客単価の向上に繋げられます。
プロモーション
顧客が購入した商品に関連するプロモーションを提供する手法です。関連商品を購入した際に貯められるポイントカードなどが挙げられます。ポイントカードを作ることで、購買意欲がそこまでなくても、ポイントを貯めたいからと購入に至るケースがあります。この手法は自社のプロモーションになるため、広告コストの削減が期待できます。
アップセル・クロスセルで顧客単価の向上を目指そう
アップセル、クロスセルは既存客から信頼を得ている営業パーソンが的確な提案を行うことで成果が見込めます。
LTV向上につながり、顧客の満足度もアップする可能性があるので重要な施策です。とはいえ、相手のニーズを考えずにこちらが売りたい商品を並べる営業は禁物です。
実施タイミングを見計らいつつ顧客のためになることをイメージしながら実践するとよいでしょう。
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