営業パーソンとして培ってきたノウハウは、現在の勤務先のためにだけ使うのはもったいないかもしれません。異なる商品であっても、営業に求められる能力や仕事の進め方は、根本的には変わらないからです。
企業側の目線でも、「営業を業務委託する」選択肢が急速に広まっています。すなわち営業力のあるセールスパーソンには、自分が売りたい商品を売って副業収入を得るチャンスが広がってきています。
今回は営業の業務委託の受け方、探し方を解説します。
この記事の目次
営業の業務委託は人気が上昇している
営業職の社員を自社で育てるには時間とコストが相当かかるため、即戦力を手軽に補強できる業務委託方式の人気が上昇していると言われています。
受託するセールスパーソンの立場では、自分が得意なジャンルの商品、気に入った企業の商品だけを選べる点が好評です。セールス力の高い人はより稼げる仕組みが整ってきました。
また労働時間も自己裁量で「結果さえ出せばOK」という働き方が広がりつつあります。自分の時間も大事にするライフスタイルが浸透してきたのではないでしょうか。
業務委託の報酬体系
営業の業務委託は、やり方次第で「稼げる働き方」です。業務委託にも固定報酬と成果報酬の2種類があります。成果報酬は売上をあげれば、その金額の一部を受け取れる仕組みで、インセンティブ、コミッションなどと呼ばれます。
ただし会社員は最低の固定給が保証されますが、業務委託の場合は完全歩合制、フルコミッション(フルコミ)でも法律上は問題ありません。
フルコミはハイリスク・ハイリターンなケースが多くなります。会社員ならば、仮に月間に1円の売上をあげられなくても、固定給は振り込まれます。一方でフルコミの場合は売上がゼロならコミッションもゼロ。どれだけがんばったかは関係ありません。
固定の人件費がかからず、また収入ゼロのリスクも考慮して、一般的には業務委託のほうがコミッションの料率が高くなります。
そのため腕に自信があり安定的な結果を出せば、会社員の月収を大きく上回ることも可能でしょう。また複数の企業から委託を受けることはリスクヘッジにもなります。
企業側にとっては、仮にコミッションの費用が高くなったとしても、それだけ売上も伸びたことになるので支払額が増える問題はさほどないでしょう。固定費がないので売れれば売れるだけメリットは大きくなります。
業務委託で稼げる人、稼げない人の特徴
業務委託の営業を請け始めて一気に収入を伸ばした人がいます。その一方で、こうしたスタイルが向かずに思うように稼げない人もいます。
「稼げる人」「稼げない人」の特徴はどう違うのかを解説します。
稼げる人の特徴
1, 時間配分が得意で、優先順位をつけられる
日中の時間が完全にしばられる会社員と異なり、時間の使い方は自分次第。上司や先輩は業務量をコントロールせず、自分自身の管理能力が問われます。もちろん休日や夜の空き時間を使うこともできます。
会社に行く必要もないので、オンラインセールスを極めれば自宅から一歩も出ずに売上をあげられます。オンオフをしっかり分けられる人は向いていると言えるでしょう。
2, 好奇心が旺盛で、のめりこむ
会社勤務の営業職は、自分で売る商材を選ぶことはできません。会社から「これを売りなさい」という商品が決められています。仮に自分が担当する商品を嫌いなら、ほぼ売れなくなることが想像されます。
業務委託を受ける場合、売りたいと思える商品の会社とだけ契約を結ぶのがよいでしょう。
これまでに自分が知らなかったジャンルの商品であっても、どんないいところがあるのだろうと興味を持って調べられる人、好きになれる人は、結果が出やすく収入もアップするでしょう。
3, 長期的な向上心がある
業務委託によって大きく収入を伸ばしている人は「先を見て仕事をしている」と言われます。
会社員のように同じ組織に長く所属するわけではありませんが、自分自身のキャリアアップ、ステップアップを意識している人も多いです。「自分のスキルを高め、営業代行会社を起業したい」「セールスコンサルタントとしてもっと視座の高い仕事をしたい」など目標が具体的なことが特徴。
こうした将来の目標を見据えて行動している人は、日々の自分の仕事にもコミットが高く、結果も出やすい傾向にあります。
4, 行動やレスが速い
思いついたら即行動、メールが来たらまず返信。とにかくフットワークが軽いのも稼げる人の特徴です。営業の鉄則として、セールス結果は、営業の質と実行量のかけ算によって決まります。
「悩む暇があるなら、まず売ろう。売れなかったとしても、そこに原因を見つけて改善していこう」と行動できる人は、短期的にも結果が出やすいです。
稼げない人の特徴
稼げる人の裏返しが「稼げない人」の特徴です。心構え、マインドに問題があることが多く、偶発的に結果が出ることはあっても、継続してセールスするのは難しいでしょう。
1, とりあえず売れればいいという発想
もし売ることだけが目的になっていたら、顧客はあなたを信頼して、再購入してくれるでしょうか。稼げるようになるためにはリピートしてくれる顧客の存在そのものが重要です。
売れれば目の前のコミッションは得られます。ただ毎回、新規客にゼロから説明して売上を立て続けるのはすぐに限界が来ます。長くリピートされるためにも誠実な対応を心がけましょう。
一流の営業パーソンは、「理由を説明できない受注は誇れない」とも言います。「売れれば万事OK」とは対極の考え方と言えるでしょう。
2, 批判ばかり繰り返し、改善案がない
稼げない人は、売れない原因を他者の中に作ります。
「値段設定が高いから売れない」「機能が競合製品より劣っている」「支給されたセールス用の資料が分かりにくい」などの理由で、批判だけする人は自分の力で結果を改善できません。
商品に魅力がなくて売れないケースもありますが、「稼げる人」は魅力の伝え方を工夫する傾向にあります。文句ばかり並べる営業パーソンから買いたいと思う人がいるでしょうか。
売れないままで困るのは自分ですので、問題点があるなら解決のため自らが動く必要があります。
3, 自分は特別な存在というおごり
「売れていたのは自分の力か、会社の看板のおかげか」という観点で、自分の力を過大評価してしまう人がいます。
大企業に所属し、億単位の商談をまとめていた経験がある人などは起こりがちで要注意。
仕事を受注する段階では過去の実績をアピールするのも有効かもしれません。しかし本当に大切なのは、「これから売れるかどうか」です。もちろん発注する企業が委託先を「業者扱い」して下に見るのは考えものですが、受託側がおごった態度では継続して受注を得るのは難しいでしょう。
営業の業務委託の探し方
営業の業務委託を受けるには、Web上のプラットフォームで求人を探す方法と、個人のつてを頼る方法の2つがあります。それぞれのメリットを解説します。
紹介サイト、マッチングサイトを利用する
とくに営業の業務委託を専門に紹介しているサービスがおすすめです。
サービスへの登録人数、依頼している企業数ともに年々増加しているので、希望に合う案件が探しやすくなっていることでしょう。
案件を絞り込むために次のポイントで検索します。
- 時間の制約
- 自宅で働けるか、客先に行く必要がある場合にはその地域
- 得意とする商品のジャンル
- 業務内容
多くの場合は、報酬額の目安も記載されています。条件のよい複数クライアントと契約すれば収入を一気に伸ばせます。
また紹介サイトを使うと、報酬の支払いなどに関するトラブルが減り、業務の内容に専念できるのも魅力です。手数料が発生するものの安心して取引できるでしょう。
個人的なつながりで委託を受ける
友人、知人などの事業をしている人で、人手が足りないケースがあります。手伝いであっても報酬が発生するならそれはビジネスですので、条件を話し合い、業務委託契約書を取り交わすことをお勧めします。
まったく知らない企業よりも、仕事を進めやすいメリットがあります。気軽にコミュニケーションが取れ、お互いの性格が分かっているのはビジネスを進めるうえで安心材料。ただし、プライベートと仕事の一線はしっかり引いて、慣れ合いにならないような注意も必要です。
紹介サイトと比べると、業務委託契約書、秘密保持に関する覚書、請求書の発行など自分で取り組まないとならない業務は増えます。しかしWebサイトで調べられるので、自身の経験のためにも一度取り組んでみるとよいでしょう。
業務委託を受けるためのお勧めサイト【6選】
紹介サイトのおかげで、個人でも業務委託のハードルはずいぶんと下がりました。今や、少々の営業経験があれば、誰でも受託できる時代です。サイトをうまく使いこなせば、効率よく稼げるようになれますし、企業とのミスマッチも防げます。
自動的に月末に報酬が振り込まれるのも、給与振り込みと同じ感覚なのでお手軽に感じるはずです。とくにおすすめのサイトをご紹介します。
登録は無料で初期費用はかかりません。いずれも、報酬が発生した段階でそのうちの一部がサイトに徴収されるようになっているため、稼げば稼いだ分だけ自身もお金が入ります。
KAKUTOKU(カクトク)
営業専門のマッチングプラットフォームです。
最大の特長は、すべて固定報酬型の案件を扱っている点。そのため安定的な収入を見込むことができます。稼働可能な日数や時間帯、リモートか出勤可能か、などの労働条件や、スキルもマッチングできるため、これから始めてみたいという方はまず登録をおすすめします。
Wantedley(ウォンテッドリー)
出会いの幅や質でおすすめです。他のサイトと異なるのは、報酬の記載がない(規約により禁止されている)こと。
同社は、企業の理念や働きがいに共感できるだけ人をマッチングしようと考えています。3万社以上が登録していて、営業人材を求める案件も多数です。社員採用だけでなく、契約のあり方を柔軟に相談に乗ってくれる企業もあります。
セールスハブ
成果報酬型の紹介サイトで企業のために商談アポイントを獲得するミッションが多く募集されています。
ノルマや時間のしばりがないので、「気軽に始めてみたい」登録者が増えています。報酬の相場は、アポ1件で¥10,000~¥30,000が一般的。さらに受注できた場合は成約額の5%程度の報酬が上乗せされます。
サイドビズ
セールスハブと同じく、アポ獲得や受注成果によって報酬金額が増えます。法人でなければ契約できないような高価な商材の募集があります。商品の金額と連動して、報酬もアポ1件で¥20,000を超える高額案件が多く人気が高まっています。
フルコミッション型の業務委託ばかりなので、腕に自信のある方はチャレンジしがいがあるでしょう。
ワークシップ
独自のスコアリングシステムを採用したサイト。
登録セールスパーソンの魅力を数値化して企業側に伝えます。それに基づいたスカウトが届くなど、受託したい側の探す手間が省けるようになっています。週1日のみ稼働や、完全リモートもOKなど、働き方が柔軟な案件の紹介や、即日マッチングの制度を売りにしているサービスです。
ウルマップ
ITの総合商社として全国的に名前の知られるWizが運営するサイト。
アプリや光回線、エネルギーなど、高額案件が多いのが特長です。月額100万円超えの報酬を受け取っている事例が紹介されており、フルコミでバリバリ稼ぎたい方にはうってつけです。
Wizが高い営業力をもつ企業なので、営業ツールもしっかり支給され、サポートも充実しています。
業務委託へはすぐチャレンジできる
企業にとっても手軽で依頼しやすい業務委託はますます増加していくと予想されます。短期間で売上が作れるプロの人材を、一時的に使えるので正規雇用に比べてコストが少なくて済むのが増加理由です。
最低賃金の概念がない点など雇用制度と異なることを正しく理解し、フリーの立場の強みを生かせば、自身にとって収入アップ、営業スキルアップの道が開けることでしょう。
自由度の高い業務委託に挑戦するなら今がチャンスです。