2010年代以降に注目が高まってきた営業手法の一つに、インサイドセールスがあります。インサイドセールスの業務の一部で電話が頻繁に登場するため、テレアポとインサイドセールスを混同されているケースをよく耳にします。
テレアポは「アポを取る」という一つの手段。インサイドセールスは見込み顧客とのコミュニケーション全般を指すので全く別の概念です。
本記事ではインサイドセールスとテレアポの違いについて詳しく解説します。
インサイドセールスとは
インサイドセールスはマーケティング・営業プロセスの一貫で、多くの見込み顧客の中から早期に受注できそうな見込みの高いリードをフィールドセールスにつなぐ役割を担います。
一方、早期の契約が難しい、見込みの低いリードに対しては成約の可能性が高まるまで電話やEメールなど非対面コミュニケーションを継続して、つなぎとめる、顧客レベルを高める営業も行います。
この他、すでに受注している既存客に対し、次回の購入や追加受注の可能性が高まるよう伴走してフォローするケースもあります。古くは営業=客先訪問のみを指していたころと比べて、必要な営業プロセスが分業されたと捉えるとよいでしょう。
インサイドセールスとテレアポの違い
インサイドセールスが担う業務の中の一部として、テレアポのプロセスも含まれます。しかし、テレアポは、アポイントを設定するための手段の1つに過ぎません。テレアポとインサイドセールスの違いを次に挙げる3つの角度から解説します。
- 目的
- 成果指標
- 時間軸
目的の違い
インサイドセールスで電話をかける主な目的は、フィールドセールスに見込みの高い顧客を届けること。
そのため、自社の商品・サービスに比較的関心があり、購買する可能性のある見込み客の興味を惹きつける、またアポ取りのための電話を行う場合もあります。アポイントの設定方法はメールやチャットのケースもあり、電話は1ツールに過ぎません。
一方で、テレアポはアポ獲得が最終目的です。成果、評価もアポが何件取れたかによって決まります。
そのため、顧客がどれくらい自社のサービス・商品を必要としているか、見込みの高い顧客かよりもまず優先されるのは件数です。
インサイドセールスの一環としアポイント獲得を目指す場合にも、もちろんアポイント数は重要です。ただ電話によってのアポ獲得のみを専門とするテレフォンアポインターより、業務の範囲が広いことは理解した方が良いでしょう。
成果指標の違い
目的が異なる場合、成果指標も変わってきます。
テレアポの成果指標はシンプルに、アポの件数です。もちろん「アポイントの質が問われない」わけではありません。ただ多くの場合、電話口の見込み顧客と繰り返しコミュニケーションを取ることは少なく、一回きりの勝負です。
対してインサイドセールスの成果指標は、潜在ニーズや顧客が抱えている課題をうまく引き出すことができたか、顧客の抱えている課題に対して解決策が提示できたかなど定性的な評価も含まれます。アポの獲得件数、定量的な評価に加えて、アポイントの質も問われるでしょう。
インサイドセールスは、同じ見込み顧客と数カ月から1年かけてコミュニケーションするケースも多くあります。したがって、長期的な貢献を計る必要もあるでしょう。
時間軸の違い
テレアポは一時的なスポットの側面が強く、インサイドセールスは長期的な活動となるので、時間軸にも違いがあります。
テレアポは一斉にリストに電話をかけ、その場で何件アポが取れたかが勝負ですが、インサイドセールスはただその場でアポが取れればいいのではなく、長期的なコミュニケーションの中で見込み度を高め、その過程でアポを取り、確実に商談につながる見込み顧客を創出する業務です。そのため、テレアポの時間軸は極めて短く、インサイドセールスの時間軸には短期から長期までさまざまなものが存在します。
顧客の購買決定までの期間は長期化する傾向にあるため、シンプルな一度きりの電話がけだけでは太刀打ちできないケースもあります。長期的な目線でインサイドセールスが顧客と向き合う発想はますます重要になるでしょう。
インサイドセールスの具体的なポイント
目的を定め、担う役割を決めたら、実際にインサイドセールスチームを立ち上げて運用していきましょう。インサイドセールスチームを立ち上げるときには大きく6つのポイントが存在します。
- 優れたトークスクリプトを用意
- リードの管理はBANT条件の「N」と「T」で
- インサイドセールスに、フィールドセールス経験者も配置
- すべてをインサイドセールスで完結しようとしない
- 単価が高い商材なら、マーケティング管掌に
- 業務に面白みを与える工夫を
それでは一つずつ解説していきます。
ポイント1:成果の出ている営業パーソンのトークスクリプトを共有する
インサイドセールスは顧客の顔が見えない場面が多いので、初コンタクトの印象は非常に重要です。インサイドセールスで最も成果を上げている営業パーソンが普段行っているトークをもとにして、チーム全体に共有するトークスクリプトを作りましょう。
よいトークスクリプトがあれば、業務の属人化を防ぎ全員が質の高い営業トークを再現できます。
トークスクリプトはこのように作成するといいでしょう。
- リード獲得経路別の課題聞き取り
- 課題別の詳細なヒアリング
- BANT確認
- 日程調整
という流れに沿って作られています。
営業トークが苦手なメンバーも数をこなすことで良い営業を実行できるようになります。
ポイント2:リードの管理はBANT条件の「N」と「T」で
BtoBのインサイドの肝は、BANT条件のうち「N」と「T」をお客様と合わせていくことです。
BANT条件は顧客の見込み度合いを判断する基準になる4条件のこと。以下の頭文字を取っています。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(ニーズ)
- Timeframe(導入時期)
予算(B)があってもニーズ(N)がなければ意味がないので、まずニーズの確認は重要です。また企業規模によっては「今導入したい」と思っても、予算執行の理由で導入時期が遅れることもあります。
ニーズとタイミングを探る努力を怠らないようにしましょう。
ポイント3:インサイドセールスにフィールドセールス経験者も配置
リード育成型インサイドセールスの場合、「アポをとる」ことにフォーカスし過ぎると成果が上がりづらくなります。アポを取って終わりではなく、その後フィールドセールスに商談を引き継いで最終的に受注確率を高める意識を共有することが大切です。
インサイドセールスの中にフィールドセールス経験者を配置し、連携が取りやすい状態を整えましょう。
ポイント4:すべてをインサイドセールスで完結しない
インサイドセールスはあくまでも案件を獲得するまでのプロセスです。
何でもインサイドセールスでやろうとせず、他のチームに任せたり分担したりしたほうが効率的な場合もあります。
相手によってはオンライン商談ツールが使えない場合もあります。そういう場合にも「ヒアリングはインサイドセールスの役割だから」と固執せず、フィールドセールスにヒアリングに行ってもらうなど柔軟に対応するとよいでしょう。
ポイント5:単価が高い商材なら、インサイドセールスをマーケティング管掌に
単価が高い商材は使い方や導入時に注意すべき点が多く、顧客の状態や環境を踏まえずに売ると解約リスクが高まります。
そのため、単価が高い商材を扱う場合はインサイドセールスをマーケティング管掌にして、きちんとリードナーチャリングしてから商談化するのが望ましいといえます。
ポイント6:業務が単調になりがちなので面白みを与える工夫を
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスのように営業を分業化して誰でもできるような仕組みを整えるほど、セクショナリズムが進むでしょう。
「自分がこの仕事をしている意味は何につながるのだろうか」などと視野が狭くなるメンバーも出てくるかもしれません。その対策として各部署が行った業務に対するフィードバックや、マーケティングやフィールドセールスとの連携など、風通しのよい環境を作り、単純作業化しないようにすると良いでしょう。
メンバーが気持ちよく働ける環境を作ることも必要です。
まとめ
本記事ではインサイドセールスとテレアポの違いから、インサイドセールスを行う上でのポイントについて解説しました。
目先の数字を追うとどうしても視野の狭い、無機質なセールスチームになってしまうかもしれません。働く営業メンバーがいきいき活躍できるように本記事であげたインサイドセールスのポイントを実行できているかチェックしてみてください。
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