コールド=冷たいの名前の通り、コールドコールは関係性がなく、自社サービスへの関心の有無も分からない相手に電話でセールスをかけることです。マーケティングやインサイドセールスによるリードをナーチャリングする活動とは異質で、かつ「迷惑電話」などとも言われかねない営業手法です。

それでもコールドコールの運用は適切な方法で行うことで、メリットがデメリットを上回ることも可能です。この記事ではメリット面に着目して、企業の評判を損なわずにコールドコールを実践する方法を紹介します。

コールドコールとは

電話の受け手が自社商材を認知していない、あるいは興味を示していない状態で、電話を通じでセールスを行うことをコールドコールと呼びます。「感情が現れない」「興味を持っていない」という意味がコールド(cold)にはあり、飛び込み営業と同義と捉えられるでしょう。

まず営業は、認知を促す作業から始めなければなりません。

コールドコールは顧客の新規獲得を目的としたアウトバウンドの一環として行われます。インサイドセールスと重なる部分が大きいですが、商談を獲得しフィールドセールスに繋ぐことだけを目的にはしていません。相手が自社商材に関心があると分かっている状態をウォームまたはホットといい、これらに比べるとコールドリストは成功確率が低いといえます。

コールドコールのデメリット

先にコールドコールのデメリットについて簡単に解説します。

成功率が低く精神的な負担も大きい

営業の立場からすれば、よい反応が期待されるリストにアプローチしたいと考えるのが普通でしょう。そもそも反応が悪く成功率の低いリストはセールス効率が悪いといわざるをえません。ときにはクレームを受ける可能性もあり、精神的にも疲弊しがちです。

企業の評価を損なうリスク

「相手の時間を奪う」という考え方から、営業の電話がかかってくることを嫌う人は少なくありません。「相手の迷惑を顧みない企業」だという悪い印象を持たれるケースもあるでしょう。

だからこそ「無礼な売り込み」と相手に捉えられないような配慮やアプローチの工夫が必要です。

コールドコールのメリット

コールドコールは、古い営業手法と考えられていますが、使い方によってはメリットが上回る場合もあります。

実行が容易

インバウンドマーケティングおよびインバウンド営業は、広告やイベント、SNSなどで顧客との接点となるチャネルを運営する必要があり、相応のコストが必要です。それに対してコールドコールに必要なものは、電話番号のリストとトークスクリプトのみです。こちらから電話を掛けることで接点を生み出せるため比較的、迅速に始められます。

外注しやすい

専門の営業チームを持たない場合やリソースが不足している場合はアウトソーシングを活用できます。ウォームコールでは、既に始まっている顧客との関係を引き継ぐ必要がありますが、コールドコールでは、接点のないアプローチ先だからこそ引継ぎは必要ありません。

顧客にすばやく認知してもらえる

新規事業などでは特に認知度の向上が不可欠です。コールドコールから成約に至るのは難しくても、コミュニケーションを通して商材を認知してもらうことは可能です。

現在は他社の商品やサ-ビスを利用している場合やニーズが表面化していないような場合でも、フォローアップや他社との契約更新の際には状況に変化があるかもしれません。その際は、事前の認知が生かされます。

業界や顧客のニーズが分かる

潜在的な顧客とのコミュニケーションを通して、顧客が抱える問題を把握できる場合があります。これは広告やメールなど単方向では実現できません。顧客の課題や解決によってもたらされる利益などニーズをいち早くつかめます

営業担当者として能力が磨かれる

潜在顧客に認知を促すには自社商材を詳しく理解する必要があります。また、営業お断りの反応に対して切り返すことで、会話が生まれ相手のニーズは引き出されます。そのため営業担当者として能力が試されますが、同時に経験が蓄積されスキルが磨かれます

コールドコールの準備 

コールドコールは一定数は成約まで至る顧客獲得の方法として、現在まで用いられてきた実績があり、決定権のあるキーパーソンに繋がれば、即時成約となることもあり得ます。しかし予算や決定権を持つキーマンにすぐ接触できるとは限らず事前の準備が必要となります。

ターゲットリストの作成 

無作為にコールドコールを行っても成果は期待できません。電話をかける相手の選定とセグメンテーションが大切です。自社の製品やサービスに対しての需要が見込まれる業界の予算や決定権をもっている人物への架電が望まれます。リストを外部から入手するか、名刺やフェイスブック、LinkedIn等のSNS、Webサイトから所属する部署、役職を整理しキーマンのリストを作成します。なお、コールドコールの実施中にも、どの部署に自社商材を売り込むのに最適かを探り、リストを更新します。

セグメンテーションに適合したスクリプト作成 

数少ない情報である業種や区分についての情報を生かすため、スクリプトを個別に調整します。Webサイトや決算情報から情報を整理、分析し、相手のニーズを引き出せるように組み立てます。見積書や資料請求などの予想される質問に対しては答えられるように準備します。相手の予想される反論に対するスクリプトを用意することも重要です。

シナリオを作成しロールプレイング 

実施の際は台本通りにはいかないこともあります。状況に応じて必要なスクリプトを組み直しながら対応できるよう模擬体験にてトレーニングします。この際、内容を録音し自身の会話を聞くことで改善すべき点を見つけやすくなります。

情報の共有と分析のためのツールの用意

相手の反応や、業界の解決したい課題等の情報を今後に生かすため記録します。記録されたデータを分析し、コールドコールのプロセスを改善します。特に、売り込むための最適な部署や人物、業界のニーズについて得られるものがあるとリストやスクリプトを改善できます。コールドコールを行わない方が良い相手の情報も自社イメージを損なわないようにするため共有する準備をします。SaaSを利用すると導入のコストを抑えられます。

プロセルトラクションがリスト作りやテレアポをサポート

この記事でコールドコールの概要は説明していますが、リストの作り方やテレアポの実践により成果をあげるにはさまざまなノウハウが必要です。プロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたコールドコールの準備から実践までをサポートしています。

まずは話を聞いてみる

コールドコールの実施  

コールドコールの実践方法について順番に解説します。

適切な時間に架電する

相手の始業時間や終業時間に合わせることは、もちろんですが、相手が電話に出やすい時間帯に実施することが望まれます。忙しいことを理由に電話を切られてしまっては十分に認知を促すことはできません。相手の不在の時間や忙しい時間を避けるよう考慮します。

相手目線のコミュニケーション

声の調子、ピッチや抑揚に気を配ることで相手に与える印象は良くなります。

機械的になりすぎるとよくある営業電話という印象を与えてしまいます。専門的にも一般的にもならず相手の知識レベルに合わせることも大切なポイントです。

初回の電話では難しい場面も多いですが、相手が求める利益、直面しているリスクやチャンスについて情報を会話で引き出せるよう配慮します。相手のニーズ、インサイトを表面に浮かび上がらせるには、営業担当者の力量が問われます。

まずは「自社の売り込み」という意識を極力排除し、準備したスクリプトを用いて「お断り」を切り返しつつ、会話を続けることが第一です。

情報を得ると同時に認知を促しましょう。

自社からの情報提供

相手や業界のニーズに合わせ、自社の製品やサービスが課題の解決に役立つことを説明します。

このとき、具体的に自社商材を用いた方法での解決を提案できるのが理想的です。続けて、商談日程をいくつか提示しましょう。

常に相手の言葉を傾聴する意識を忘れず「相手に売りたい」ではなく「役に立ちたい」という意識が大切です。

フォローアップ

キーパーソンを聞き出し、次回のアプローチを行うことも意識しましょう。十分な認知のためには数回に分けた会話が必要なこともあります。前回の架電の時には、他社の製品やサ-ビスを利用していた場合やニーズが表面化していなかった場合でも、フォローアップの際には状況が変化していることが考えられます

情報の共有と分析

集められた情報を基に、コールドコールの対象となる部署や人物、業界のニーズについて分析します。コールドコールを行わない方が良い相手の情報も自社イメージを損なわないようにするため共有します。情報共有はクラウドサービス等を利用してリアルタイムで行います。

コールドコールのプロセスを改善

相手や業界のニーズが表面化した場合、相手の利益となるソリューションを提案できるように、スクリプトを修正します。アプローチに適する部門や人物が分かった場合にはリストを修正します。これらの改善を行いながらコールドコールを実施します。

コールドコールのさらなる活用 

単独でコールドコールのみを行い続けるのは、効率的な面から得策とは言えません。まずコールドコールを展開しつつ、次の手段との融合策も検討することをおすすめします。

効率化と自動化

 電話と情報管理システムを統合すると効率よくコールドコールを実施できます

例えばCTI(Computer Telephony Integration)システムを導入すると担当者の負担を軽減できます。CTIシステムは画面に架電対象者のリストや顧客情報が表示され、電話番号をクリックすると自動で架電できるものが一般的です。そのまま相手から得られた情報を同一の画面に入力できる機能を持つものが多くあります。

CRM・SFAなどのシステムと統合でき、リストやスクリプト等の情報の管理や通話データの分析などができます。パッケージやクラウドサービスとして提供されるものが増え、大規模なオンプレミス型と比べ導入が容易になってきています。

デジタルチャネルなどの他の手法との統合

コールドコールをSNSやメール、イベントなどの他のチャネルと組み合わせて行うことを考慮します。セールスケーデンスを設計し、各チャネルの施策の時期、期間を最適なものに設定します。この時、それぞれのチャネルが同調して機能するようにします。例えば、メールの後、どれくらい間をあけて電話を掛けるのか、あるいは、その逆の順序で行うのが最も効果的か、イベントを先行して行うか、満を持すのか等を架電対象のセグメンテーションに合わせて認知、関心を与えるよう調整します。

リレーションシップセリング

顧客との関係を基本とする考え方です。良い関係を築くため、顧客と多くの接点を持ちながら関係を築いていきます。顧客が自社商材を認知しておらず興味を示していない状態から始まるとしても、忍耐強く関わり合います。顧客の言葉に耳を傾け、よく理解し、短期間の関係で終わるのではなく、良い関係が続くよう心掛けます。

コールドコールを正しく準備し効果的な実施を

コールドコールはこちらから電話を掛け新規顧客を獲得できる施策です。同時に、まったく縁のなかった顧客に自社商材への認知を促すことができます。比較的、迅速に始められますが適切な準備は必要です。顧客からニーズやインサイトを引き出すには営業担当者としての力量が問われます。アウトソースを利用することは選択できる方法の一つです。他のチャネルとの連携や長期的な関係の構築まで考慮すると、効果が高まります。

プロセルトラクションがコールドコールをお手伝いします

プロセルトラクションではリクルートなどの大企業からスタートアップまで幅広く経験してきた営業のプロが、コールドコールの準備から実施までをサポートします。ぜひお気軽にご連絡ください。

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